ThinkPad 360Cs (2620-2JD)

755Cの技術を生かした普及機

ThinkPad360Csは、当時のハイエンド機755Cをベースにコストダウンを計ったモデルです。

現在、中古機で安価でよく見かける機会の多い 360系ですが、それは企業向けに相当大量に販売されたことの証しなのかもしれません。
評価の高い755Cをベースにしているだけに、地味ながら堅実で血統の良さを感じさせてくれるモデルです。

 

本機には失礼ですが、特に珍しさもなく、755系に比べるとコストダウンされていて、地味で安っぽい印象は否定できません。

しかし、基本構造は755系に準じたものとなっていて、パーツもそのまま流用されている部分もあるようです。
このため、360CsではDSTN液晶化・音源の省略・CPUやHDDやFDD仕様こそ落とされているものの、同時期の他社同仕様クラスの機種に比べると、使用感はまずまずです。

 

液晶パネル側と本体下回りの筐体の質感の違いに注目。

コストダウンのため、特に下回り筐体の仕様が違うことがあるようです。
このような差異は、キーボード部分や背面コネクタカバーにも見られ、モデルや製造時期、修理時のパーツ代替により、いくつもの組み合わせがあるようで、興味深い所です。
中古で見かけた際には、これらの違いを観察するのも面白いかもしれません。

 

底面は755Cと同じで、横方向に線がモールドされています。

この下回りの塗装は塗膜が薄く、ぺろぺろと剥がれるのではなく、擦れて薄くなっていく感じです。
コストダウンの影響なのかもしれません。

 

背面のコネクタ・ポート類の配置は、一時期の ThinkPadお約束の配置となっています。
電源コネクタは台形4pタイプで、中古ではACアダプタが紛失しているケースも少なくないので要注意です。

 

キーボードには、先代の普及モデル330Csとは違い、TrackPointIIを搭載しています。
(基本的には755Cと同じです)

フロッピードライブは 4モードの755系とは違い、3モードとなっていて、コストダウンされています。

 

キーボードを跳ね上げることの出来る構造も 755系譲りで、こういった優れた基本構造を普及機に転用することで、企業向けとして大きな実績を残すことになりました。

おかげで(?)、現在、私たちが比較的安価で中古機を入手ができるというおまけまでついてきました。(^^;

 

フロッピードライブを取り外すと、これまた例によってメモリ増設スペースが現れます。
メモリはD-RAMカードによる増設で、755系ではDIMMアダプターでの増設も対応していますが、360系はコストダウンのためか残念ながらDIMM増設は未対応です。

左には、バックアップバッテリーが組み込まれています。
そろそろ寿命を迎えるものが多いようで、私の手元の 360Csはやたらと時計が遅れてしまいます。

 

バッテリーパックはNi-MHですが、755Cとは仕様が若干違うようです。
容量が若干小さいようですが、BIOS書き換えくらいの作業なら入れ替えても問題なく使えるようです。
(手元の中古の755Cで、この360用のバッテリーが入ってました)

中古で死んでしまっているものも結構多いですが、755系のインテリジェントタイプよりも渇入れで復活させられる確率が幾分か高いようです。

 

Windows3.1が稼動している、ほぼオリジナルに近い状態の2JD。

DSTN液晶パネルの視認性は決して良いとは言えず、全体的に見ればあまりGUI向きとは言えません。

しかし、750/755系の実績を生かしているだけに、外観はもちろんのこと、全体的に基本がしっかりしていて、扱いやすいモデルという印象です。

基本スペック

CPU    Intel486SX-33MHz
RAM    4MB Max36MB(公式には20MB)
HDD    170MB (2JD)
LCD    9.5"DSTNカラー(256色発色可能)
VGA    WD 90C24A V-RAM 1MB

セットアップやメンテナンスのポイント

非常に入手するチャンスの多い本機ですが、基本的に「性能寿命を過ぎている」ことを念頭に置くべきです。
格安でもあまり安易に手を出すのは避けた方が良いと思います・・・。

 

(2000/08/06 記)

 

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