という機種の宝庫のThinkPadですが、この 360Pもそんなゲテモノ(という呼び方は失礼ですが、、、(^^;)のひとつです。
360Pは、ペンオペレーションのタブレット機の操作性をノートパソコンに融合したモデルです。
タブレット機自体は特定用途向けとして現在も存在しますし、本機の様なノートパソコンにタッチパネルを装備したモデルも富士通から現在も販売されています。
しかし、本機の様に、世にも恐ろしい変身をするモノは、本機とマイナーチェンジ機の 360PE、本機の祖先とも言える
750P位しか無いのではないかと思います・・・。
(この変身の様子の再現のため、本ページは特に画像が多くて重くなっています。悪しからずご了承下さい。)
見た目は、普通の ThinkPadです。
母体モデルは ThinkPad360Csで、基本スペックは
486SX-33MHz,RAM:4MB,HDD:170MB,DSTN 9.5"カラー液晶となっています。
キーボードのロックを解除してを持ち上げるとオプション交換が可能な「弁当箱」方式の筐体も全く同じです。
・・・と、ここまで書いても、パッとしない感じの本機ですが、ペン入力可能なデジタイザ付き液晶パネルが特徴で、その液晶パネルに更に大きな特徴(機構)が隠されています。
正にその秘密(?)を解く鍵が液晶パネル基部にあります。
左右 2箇所にロックボタンがあり、それを解除するとご覧のようにパネルだけが可動するようになり・・・
この角度から判りにくいですが、頼りない 2本のステーを中心にして、この様に回転します。
ここまで来ると、ホンマに大丈夫かいな?って心配になってきます。(笑)
ついには 180度パネルが反転してしまいました。(^^;
(でも、これでは操作できませんね、、、)
それでは、ということで・・・
反転した液晶パネルが閉じていきます。
ということで、キーボード上に反転した液晶パネルが重なりました。
これでペンオペレーションもチョイチョイ・・・というワケです。
でも、ここまでやるかぁ?ってのが正直な感想ですね。
上の画像では判りにくい所があるので、今度は正面方向からじっくり観察してみましょう。(^^)
まず、最初の手順は、液晶基部のラッチの解除です。
このラッチの部分があるために、液晶基部は液晶パネルの厚みと同じ高さ分立ち上がっており、液晶パネルが揺れやすい傾向があります。
(開閉の際に、かなり不安を感じます。(^^;)
ラッチを解除すると、液晶パネルが回転可能になります。
パネルの下縁を少し引いたところです。
パネルの左側にペンが格納されているのに注目。
液晶パネルが水平まで回転したところ。
このパネルを支えているのが、凹形のフレームです。
実物は画像のイメージ以上に薄くて貧弱に感じます。
このフレーム内に液晶パネルへの信号線や電源ラインが内蔵されていて、しかも頼りない蝶番で繋がっているというのが、凄い(というか恐ろしい)構造です。
4時方向まで回転した状態。
本当はまずいのかもしれませんが、電源を入れたまま(液晶が表示されている状態)でも、この様に反転させることができます。
(この撮影時には電源を切っています)
ご覧になって判る方もいらっしゃるかと思いますが、この液晶パネル以外の下回りは、母体機種の
360C(s)と何ら変わりはありません。
180度反転が完了した状態です。
なんだかオマヌケな姿ですね、、、(^^;
液晶パネルの上端(本来の液晶基部寄り)に、液晶パネルが正面向きになった際に凹形フレームが収まる為の溝があることに注目。
ちなみにこの凹形フレームの外側には、液晶パネルがこの状態になったときにパネルのカバー部に傷が付かないようにゴムが貼ってある部分があります。
液晶パネルを閉じて(?)、操作するの図。
設定上、TrackPointとタブレットは排他使用となっているのが厄介ですが、結構快適に操作できます。
キーボードも標準で具備したペンマシンという着想は面白いのですが、タブレット機として現場で使うには重すぎますし、プレゼンテーションにはやや非力で、ちょっと形になっていない感じです。
側面から見た状態です。
凹形フレームは液晶パネル中心に蝶番で接続されており、輝度とコントラスト調整は、ご覧の通り側面に付いています。
タブレットのパネルが DSTN液晶の上に乗っているので、本来の液晶パネルが奥にかなり入っていることが判ります。
このお陰(?)で、DSTNパネルにも関わらず視野角が広くて見易いという、不思議なものとなっています。
普通に液晶パネルを閉じた状態。
タブレット内蔵の液晶パネルのため、本体下回りと液晶パネルが殆ど同じ厚さになってしまっています。
何ともコメントの難しいモデルです、、、(^^;
でも、プレゼンの際に持ち込んで、相手をびっくりさせてみたいなぁってつくづく思いますね。
ポインティングデバイスとして TrackPointの使い勝手が良い事と、当時のペンOSの熟成度がまだまだだったこと、そして本機の処理性能の限界から、残念ながら以降の発展はすることなく終わりそうです。