ThinkPad 365ED (2625-J44)

台湾生まれの 300系

ThinkPad365EDは、台湾製(設計も?)の ThinkPad300番系列の最初のモデルの様です。
(正確には365Cというモデルが存在していて、その改良モデルです)
486系CPUを搭載した最後の ThinkPadで、従来機で重視されていた互換性よりも、コストダウンに重点を置いたモデルと言えます。

 

365EDは CD-ROMドライブ内蔵のマルチメディア志向のモデルで、現在の iシリーズの原点とも言えるモデルです。
液晶パネルを閉じた外観からは、意外と変わった本機の特徴は、一見して判らない地味な姿です。

CPUには Cyrixの 5x86C-100を搭載していて、486系マシンとしてはトップクラスの性能を秘めているのですが・・・

 

300系列では同時期に登場した365XDと共に初めて内蔵されたCD-ROMドライブは、ATAPI接続・4倍速で固定式となっています。
他にベースモデルとなった 365Eとの違いとしては、音源チップの搭載、FDDの仕様の違いが挙げられるようです。

 

右側面は、後ろ寄りにPCカードスロットがある点は他のThinkPadに準じていますが、スロットに開閉式の蓋(底面に格納可能)が付いている点が従来機とは異なります。
またPCカードスロット手前には、内蔵モデムジャック用と思われる閉鎖板があります。

 

背面のレイアウトは従来機とは明らかに異なります。
右から電源ジャック、MIDIコネクタとFDDコネクタ、パラレルポート、CRT出力、シリアルポート、PS/2ポート、そして普段は閉鎖板に隠れている拡張バス?の順に並んでいます。
また、IrDAポートも搭載しています。

 

いっぽう、左側面について、オーディオ入出力とヘッドホンジャック、電源スイッチのみの配置となっていて、この面についてはあまり大きな違いは感じられません。
なお、ベースモデルの365Eについては、音源未搭載にも関わらず、ジャックのみ存在するという話を聞いたことがことかあります。(本当なのでしょうか?(^^;)

 

キーボード全体の様子。

基本的には 755CE/CXと変わらない感じに見えます。
TrackPointIIIのボタンは、手前に引いてロックできるタイプです。

普及モデルとはいえ、今時のマシンとは比べ物にならない入力の快適さは、700系譲りです。

 

キーボードを跳ね上げると、構造の違いが目を引きます。

右側にはバッテリーパックが、中央にはメモリモジュール、そして直下にHDD、左がCD-ROMドライブという配置になっており、バッテリー以外は黒いシートでカバーされています。
また、メインボードの一部が見えるなど、それまでのモデルとはかなり印象が違います。

 

CPU付近のクローズアップ。

CPU自身はQFPでサブボードに乗っていて、メインボードにはPGAソケットに刺さっている様に見えます。
ヒートシンクはノートパソコン内部ということもあって、比較的小さなものが付いているだけですが、放熱上は特に問題ないようです。

Cx5x86Cは、AMD5x86より高性能なようですが、キャッシュ制御などが難しくチューニングが必要なためか、載せ替え改造を含めて、採用例はあまり多くないようです。

 

取り外したメモリボード。
ボード上に 8MBのメモリを持っていて、増設用のDIMMソケットが実装されています。

本機が比較的高速な 486系CPUを搭載しながら扱いにくいのは、このDIMMソケットに16MBまでのDIMMしか増設できず、トータルで24MBが上限となっているためかもしれません。
Windows3.1ならまあまあ快適ですが、Windows95ではかなり辛いところです。

DIMMは 72p/3.3Vの物で、ThinkPad230Cs用が適用可能なようです。

 

メモリボードを取り外すと、ハードディスクパックを取り出すことができます。

見ていただくと判る通り、12.7m厚・内ねじ仕様のドライブが換装可能で、E-IDE対応となっていますが、2.1GB以上のドライブではハイバネーション領域が認識できずに起動不能になってしまうようです。
実際問題として、メモリ上限容量から考えた用途から、1GB程度のドライブでも十分活用できると思います。

 

365EDのバッテリーパック。

Ni-MHで、本体内部右側に装着されるため、365系以外のモデルのバッテリーパックとは互換性がありません。
755系の物と形状は似ていますが、切り欠きが左右逆ですので、容易に判別できます。

 

ACアダプターは、丸タイプのプラグの物です。

755CXなどで添付されているタイプのプラグを、台形4pから丸型2pに置き換えただけのような形状です。

なお、スリムタイプのACアダプターでも代用可能です。

 

FDDは3モード対応外付けタイプで、365Eで内蔵されている 2モードタイプとは異なります。

ドライブ自身のP/Nは ThinkPad701C添付のドライブと同じようです。
接続ケーブルを交換すれば、701Cに流用可能なのかもしれません。

 

液晶パネルはDSTN、解像度はVGAです。

まあ、全体的にバランスの取れた低価格機といった印象で、Windows95プリインストールモデルはやや辛そうですが、Windows3.1&OS/2Warp3プリインストールモデルなら、コストパフォーマンスは良さそうですね。

 

本機の基本スペック

CPU    Cyrix Cx5x86C-100
RAM    8MB Max24MB
HDD    540MB
LCD    10.4"DSTNカラー (640x480)
CD-ROM 4x 内蔵

セットアップやメンテナンスのポイント

メモリー食らいの Windows95は不向きではないかと思います。
Windows3.1ベースで使うか、Linuxの学習用なんかが適当ではないかと思いますが・・・

(2000/03/24 記)

 

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