ThinkPad 560 (2640-5JA)

スリムなボディに新たな予感・・・

ThinkPad560系列は、IBM初の薄型ノートとして満を持して登場し、CPUなどの仕様を変えながら比較的最近までラインナップに残っていたシリーズです。
現在は 570シリーズにそのコンセプトが引き継がれましたが、基本設計の完成度の高さには目を見張る物があります。

この 5JAは 560初代モデル中のローエンドモデルで、CPUやHDD容量ではシリーズ中最下位クラスのスペックで液晶パネルもDSTNとなっていますが、その血統の良さを十分感じさせる独特の存在感があります。

 

約3cmという厚みは薄型ノート花盛りの現在では驚く数値ではなくなってしまいましたが、質実剛健の ThinkPadシリーズの新たな顔として大きな足跡を残すことになりました。

薄型でも丈夫な筐体は、持って歩いたときの心理面での安心感もあり、デザイン的にもたいへん優れたモデルです。

 

液晶パネルを閉じると、より薄く、美しく感じられます。

手元の本機は比較的持ち運びされていたようで、エンブレムの銀色の「ThinkPad」の文字色が消えてしまっています。(^^;

 

薄型ノートに限らず、最近のA4オールインワンノートでも、キーストロークの僅少化に起因する操作性の低下は嘆かわしいものがあり、勤務先で新しくノートパソコンを導入するたびにがっくりしてしまいます。
が、560ではこの点では現在もなお薄型ノートとしてはトップクラスと言っても過言ではないでしょう。

600Eには一歩及びませんが、打鍵感が確実に感じ取れるキーストロークを確保したキーボードは、本機を傑作機にした要因のひとつではないでしょうか。

 

右側面にはヘッドホンジャック、マイク入力ジャック、ボリューム、PCカードスロットが配置されています。

PCカードスロットはプラスチックの開閉式の蓋になっています。
最近の薄型ノードパソコンには、本機並みの厚みでもシャッター式になっているものもあり、この点では本機はやや不便な点は否定できないところです。

 

背面にはひと通りのポート類が標準サイズで備わっています。

ポートリプリケーターに各種ポートを排除してしまった最近のノートとは一線を画したポリシーは、正にThinkPadならではです。

 

左側面は電源スイッチ、IrDAポート、FDDコネクタという配置になっています。
4側面ともに、ひじょうに飾りっ気の少ないさっぱりとした印象です。

560はA4ファイルサイズということで、755系や760系に比べると奥行きが 1cm程度大きくなっていて、この画像のように見方によってはかなり四角く見えてしまいます。

 

最近の ThinkPadに比べると、底面も非常にさっぱりノッペリといった感じです。
この辺は、最近の高速CPUに比べると発熱が低いことも関係しているようです。
(560Zになると、かなり凸凹な底面になってしまっています)

本体手前側が波型になっていて、本体の厚みの程よさもあいまって、直接手に持って運ぶ時のフィット感が大変よくなっています。

 

本体メモリは8MBでメーカーサポートは32MB増設(計40MB)までですが、BIOSを最新のものにアップデートすることで64MB増設(計72MB)まで増設できます。
(この画像ではメルコのVD8-64Mを搭載しています)

40MBではちょっとどうかな、、、といった容量ですが、72MBとなると、5JAプレインストールの Windows95でかなり快適に運用できます。

 

560のバッテリーパック。

リチウムイオンタイプで、初代560から最終型560Zまで全く同一のものとなっています。

手元の本機は電源系が故障しているようで、本体充電が不可能になってしまいました。
(困ったことに比較的「故障した」という話を耳にすることが多いです)

 

ACアダプタは最近の ThinkPadでは標準となってきた丸型DCプラグタイプで、容量は35Wです。

本機のアダプタを600Eや235などの消費電力の多いモデルに使うと問題が発生する可能性がありますが、逆に56Wタイプを本機に使いまわすことは特に問題は出ないかと思います。

 

560のフロッピードライブです。
中古購入でどうもリース落ち機らしいので、ひょっとしたらオリジナルの物とは違うかもしれません。

コネクタ部分の形状から推測できるように、230Csや 600Eなどと互換性があります。

 

本機は初代560の中でもローエンドモデルで、液晶パネルがDSTNという点が他のモデルとは決定的に違います。
また、視認性がもうひとつということが災いしたのか、その後 560シリーズではDSTNパネルを搭載した物は消滅してしまったようです。
(一般向けDSTNモデルは、本5JAモデルと、同一仕様でプレインストールOSが異なる5J9モデルのみしかなかったようです)

SVGAパネルということで表示できる情報量はまずまずですが、表示色数が 256色までとなっている点が今となっては辛く、電源投入直後の視認性もあまり良いとは言えません。
また、初代560共通の弱点として、液晶パネルに TrackPointの当たり傷が付く可能性があります。
本機もボタンの傷が僅かに液晶パネル表面に付いてしまっています。

 

本機の基本スペック(5JAモデル)

CPU    Pentium-100MHz
RAM    8MB Max72MB
HDD    810MB
LCD    11.3"DSTNカラー (800x600 256色)

セットアップやメンテナンスのポイント

液晶パネルがDSTNという点が唯一にして最大の弱点かもしれません。
その他は高望みをしなければ、まだ十分使えそうです。

 

(2000/5/3記)

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