ThinkPad 600X (2645-5EJ)

消え行く傑作機、600系。

ThinkPad600シリーズは、国内でも海外でも非常に高い評価を受けたスリムノートです。
残念ながら ミレニアムシリーズにバトンタッチしてしまいましたが、600シリーズの最後を飾ることになった 600Xは、性能・使用感のバランスが非常に優れたモデルで、直系後継機(600Z)が出現しなかったのはとても惜しいことではないでしょうか?

 

仕事で 600E(5BJ)を使いつづけてきましたが、幸運(? (^^;)にも IBMのアウトレットでの放出で、この 600Xをゲットできました。
使用できるオプションも共通で、いざとなれば 600Eに予備機として登場いただくこともできるので、運用面でとても大きな安心感も得られました。(^^)
(仕事で使っていると、不測の事故や故障が一番怖いですからね・・・)

基本的には 600Eから性能アップしたモデルといった路線になっていますが、細かいところにいくつかの違いを見出すことができます。

 

外観上、誰でも簡単に見分けられる 600Eとの明らかな違いとして、この側面のジャックの数が増えている点が挙げられます。

600Eでは、マイク入力とヘッドフォン出力のふたつだったものが、600Xでは更にライン入力が追加されています。
(あまり使う機会の無いジャックだけに、なぜ追加されたのか少々疑問が残ります)

これに伴い、IrDAポートの窓が少し小さくなっていますが、WindowsCE機のシンクロで試したところ、実用上は特に問題ないようです。
また、FDDコネクタが 600Xでは僅かに前寄りに移動しています。

 

5EJ搭載のウルトラスリムベイDVD-ROMドライブ。
5BJの 2倍速から 6倍速に強化されています。

よ〜く見ると、海外DVDソフトを見る私のような人間には有り難くない「RPC II」という表記があるのが判ります。
RPCIIドライブはリージョンコードがドライブのファームウエア側で固定されているもので、このドライブの場合日本のリージョンコード「2」がセットされているというわけです。
(例えば北米版DVDソフトはリージョンコードが「1」なので、このドライブで読ませようとしてもいきなり跳ねられてしまいます)

使用しているドライブは、東芝の SD-C2302で、リージョンフリー化したファームウエアがそのテのサイトに存在しているそうで、いずれ試してみようかと思っています。

 

あまり判りにくいですが、底面のレイアウトにも変化が現れています。

この底面の凸部面積が 600Eの1.5倍くらいになっているのですが、これが原因で本体荷重がゴム足に均等に加わらない(凸部が机上に設置して重量が逃げてしまう)ので、操作していると本体がズルズル動いてしまうという症状があって、非常にストレスが溜まります。
対策として、バッテリー部分に 2箇所薄いゴムシールと、背面寄りに 2箇所ウレタン脚を追加貼り付けして、滑りを防いでいます。

 

底面形状が変化した原因の一つ、MiniPCIモデム。

従来はMwave(ACP)がモデムに使われていましたが、汎用性を高める目的からか、600Xからは MiniPCIモデム内蔵に変更されています。
MiniPCIは IBMが提唱しはじめた(?)ためか、最近の ThinkPadのモデムは殆ど MiniPCIになっているようです。

モデムだけでなく、イーサネットカードへの対応も考えられているようで、モデムジャック部分の形状が RJ-45ジャックにも変更できるような形に手直しされています。
(本機では内蔵RJ-45ジャックアセンブリの入手ができないようなので、残念ながらユーザー側で LAN内蔵に変更することは難しいようです)

すぐ右にある丸いものは、上述の滑り止めに追加したウレタン脚です。

 

メモリーソケットの様子。
中央の DIMMがソケットに対して両側から挟み込むようなタイプのソケットとなっています。
(600Eでは独立した 2つのDIMMソケットとなっていました)

CPUが PentiumIII/500MHzになったことで、メモリーはPC100対応となりました。
体感的にも 5BJとは CPUクロックの差以上にレスポンスが良くなった様に感じられます。

なお、本体オンボードで64MBのメモリーを搭載しています。
600E(5BJ)では、オンボード32MB+DIMM 32MBという構成のために、増設の仕方によっては標準組込みの 32MB DIMMが無駄になってしまいましたが、本機ではそういったことはありません。

 

目立たない変更箇所、HDDスロットカバー部分。

HDDスロット自体は 12.7mmのドライブまで対応できる空間がありますが、標準搭載のHDDが 12GB 9.5mm厚になったために、スロットカバーに青色(というところが如何にも IBMしていますが)の小さなスペーサーが追加されています。

手持ちの600Eでは最初から 12.7mmのドライブを搭載していたのでスペーサーは付いていませんでしたが、ひょっとしたら以前のモデルでもロットによってスペーサーが付いているのかもしれません。

ちなみに 600E標準搭載の 10GBドライブは、使用しているうちに騒音がかなり酷くなってしまいましたが、本機では今のところは静かに回ってくれているようです。

 

本機のモデル番号末尾は「5EJ」となっていますが、販売型番はキットモデルということで「5GJ」となっています。
で、そのキットとして添付されているものが、この LANカードです。

CardBus、100BASE-TXというところが、今時のカードって感じですね。

 

今日も明日も明後日も(?)、この 600X様を相棒に仕事をしている私です。

この 600Xのおかげで、たくさんの ThinkPadたちと生活を送ることが出来ます。
(感謝 (^^; >>600X)

それにしても、本機が第一線から外れるとき、その買い替えの選択肢の中に恐らく 600Zが無いということはちょっと寂しい気がします。
道具としては本当にいいマシンです。残念ですね、、、

でも、600Eの交代がそうであったように、突然やってくるリタイヤの日まで、600Xは文句も言わず私のデスクの上で頑張ってくれることでしょう・・・。

 

本機の基本スペック (2645-5EJ)

CPU    Intel Pentium!!!-500MHz (FSB 100MHz) 
RAM    64MB Max.576MB
HDD    12GB
DVD    6x RPC2
LCD    13.3" TFT (XGA 16M color)
VGA   NeoMagic MagicGraph 256ZX(AGP) V-RAM:4MB

セットアップやメンテナンスのポイント

600Xの頃から IBMは販売戦略を変え始めてきたので、店頭では思ったより見かけるチャンスが少なかったです。
でも、その基本スペックや可搬性、そして全体の作りのバランスの良さでは、現行モデルと何ら遜色が無いように思います。
iシリーズのようなプレインストールソフトは事実上無い点を除けば、初心者にもパワーユーザーにも安心しておすすめ出来るモデルです。(キータッチは最高ですよ!!)

(2001/03/12 記)

 

 

戻る