CD-ROMドライブ内蔵の初の ThinkPadだった 9545-9FEは
DX4-100MHzでしたが、これを先行していた 755CXに準じた
CPU仕様(Pentium-75MHz)にパワーアップしたモデルが本機です。
755CXにCD-ROMドライブを追加するのではなく、755CDのCPUをアップグレードした仕様というところが興味深いところであり、惜しいところかもしれません。
外観からは
DX4-CPUモデル(9FE)とは全く見分けがつきません。
しかし
L2キャッシュ付きでPentium化されたことで、見た目以上に性能は上がっているようです。
特にウリのひとつの M-WaveDSP音源は、CPUのパワーアップで発声がかなり安定しているなぁという印象があります。
755CDシリーズの大きな特徴である内蔵CD-ROMドライブ。
9FEの項でも述べましたが、本機も入手時にCD-ROMドライブが失われていました。
そんな訳で、この画像のドライブはオリジナルとは異なる(と思われる)
4倍速のもの(本来は760CD用?)を組み込んでいます。
一時期
T-ZONEで安売りされていた互換品の20倍速タイプとは違い、ほぼオリジナルの倍速タイプドライブと同じ形状のようです。
キーボードを跳ね上げたところ。
FDD内蔵時用のスペーサーは折りたたんだ状態です。
スペーサーで隠れていますが、バッテリーパックは
9FEと同じく Ni-MHとなっていますが、755CXに準じてオプションで
Li-Ionに対応できるように電源回りが手直しされているようです。
(9FEは Li-Ionバッテリーは使用できません)
メモリ増設の状態。
標準では
D-RAMカード方式ですが、手元の本機ではメモリーモジュールアダプタと
DIMMによる増設となっています。
ちょっと判りにくいですが、手前側が 16MBのDIMM、奥側がメルコ製ENL-32Mを改造した
32MB-DIMMで、本体の8MBと合わせて計56MBのフル増設状態です。
(残念ながら 32MB-DIMMを
2枚搭載してもうまく認識できません)
これだけ増設してあげると、Windows95でも画面の狭さと表示の遅さを我慢すれば、比較的快適に使用できます。
この増設方法は、メモリーモジュールアダプタ対応のモデルであれば適用可能な様で、755CX、755C(S)Eの他、370Cでも認識できました。
(但し本体4MBモデルの場合、最大52MBとなります)
FDDは
CD-ROMドライブと排他搭載となりますので、てっとり早く同時使用するには、ポートリプリケータと外付けFDDキットを使ってこんな感じで接続することになります。
あまりスマートとは言いがたい方法ですが、この点は次世代機の760シリーズで本体直結ができるように改善されました。
基本的に
CPUのみのアップグレードに留まったモデルのため、液晶パネルは
VGAのままというのが勿体無いところです。
755CXに準じた SVGA液晶パネルだったら・・・とつくづく思います。
CPU Pentium-75MHz (L2:256KB)
RAM 8MB Max40MB(無保証で56MB)
HDD 810MB
LCD 10.4"TFT/VGAカラー (640x480 32bit Color)
CD-ROM 2x(FDDと排他内蔵)
先代486モデルに比べるとそこそこ性能が上がっているので、画面の仕様を我慢すれば Windows95マシンとしてそこそこ使えます。
とは言え、FDD/CD-ROMドライブ排他方式だったり、M-Wave音源ドライバのインストールの煩雑さを考えると、安価な出物でも初心者の方にはあまりおすすめできない機種です。
- ハードディスクはバック式で、必要とあれば自力での換装も容易です。
但し当然ながらメーカー保証外の行為となってしまいますのでご注意ください。
(17mm厚まで組み込み出来そうです)- メモリは通常は88pinD-RAMカード、メモリモジュールアダプタを使って72pin5V-SO-DIMMが増設できます。
前者は32MBまで増設できますが、32MBカードは比較的高価で僅少です。
後者は16MB+32MB=48MBまで増設できますが、32MB-DIMMは98note用を改造して使用することになり、組み合わせによっては認識できないケースもあったり、何よりもメモリーモジュールアダプターが入手しにくいという問題があります。
入手状況に応じてベストな増設方法を検討しましょう。- 液晶パネルはVGAで、WEBサーフにはやや厳しい解像度になってきました。
外部CRT接続で800x600も表示可能なようですが、ビデオチップが遅いので実用になるのかどうかは疑問です。- もし本機を購入する場合には、CD-ROMドライブの有無を確認しましょう。
特に中古通販やネットオークションでは、後から揉める原因になりかねないので、要チェックです。- フロッピードライブはCD-ROMドライブと排他使用という点については、十分注意が必要です。
ソフトのインストールなどでかなり面倒なことになることもありうるので、別途外付けCD-ROMドライブや、純正にこだわる方ならポートリプリケーターを用意しておくのがベストです。- 音源及びモデム用にMwaveDSPチップを搭載していますが、ドライバの導入が煩雑だったり、通信中にWave再生ができないなど、非常に扱いが難しく、初心者には敷居が高いです。
- トラックポイントのボタンが鈍いものがしばしばあるようなので、もし中古で入手される時には、テストしてもらうのが望ましいです。
(2000/11/27記)