ThinkPad770E(9548-51J)は、700番代の最高峰
770シリーズの中核モデルと言っていいでしょう。
14インチ液晶搭載モデルを交えて華々しくデビューした初代770、PentiumII化された本770E(D)、SXGAモデルも登場した770X、残念ながら日本版は発売されなかった最終モデル770Z・・・
770Eは770EDに対して低価格モデルという位置付けとなっています。
できれば
770X/Zを・・・というのがささやかな夢ですが、なかなかお目にかかれないというのが現実です。
でも、その貫禄はローエンドモデルの770Eでも十分感じられます。
という訳で(?)、自室でのサブマシンは 560Zから
770Eにバトンタッチしそうです。(^^;
(560Zは仕事用の600Eのサポート専属ですね)
とにかく見かける機会が少なく、売っていても高めな値段の
770系ですが、実際に手にとってみると、最高峰という言葉が本機のためにあるかのような気がしてきます。
本機の筐体は、他の700系マシンに比べると大変個性的です。
底面積と液晶パネルサイズの差から、前面は斜めになっており、更にスピーカーとウルトラベイIIイジェクトレバー等が配置されています。
高級機だけに、この内蔵スピーカーの音質も一線を画しています。
また、PS/55noteを連想させるキータッチや、スクロール機能を持たせたセンターボタン付のトラックポイントIVなど、使ううちに手に馴染むような錯覚を覚える作りです。
左側面には、750系以降お約束といった電源スイッチ、オーディオ系ジャックが配置されています。
そのすぐ下には、従来とは互換性の無くなったHDDベイと、DVD拡張アダプタスロットがあり、前面寄りにはバッテリーベイがあります。
前面部分を見ると、特徴ある斜めの形状がよく判ります。
それまでの角張った姿から、390系以降でおなじみとなったデザインへの過渡期を示していると言えるでしょう。
一方右側面には、770系のウリであるウルトラベイII(770Eではフロッピードライブが標準装備)と、PCカードスロット、モデムジャックの閉鎖板(かなりちゃちです(^^;)があります。
たまたま個体差の問題なのかもしれませんが、PCカードスロットのシャッターがかなり硬くて
PCカードの抜き差しがかなりやりにくく、イジェクトボタンが折れそう(^^;な感じで、非常に使いにくい気がします。
背面はCRTコネクタとパラレルポートと外部フロッピーディスクコネクタが左よりに一まとめに、シリアルポートとUSBポート、PS/2ポート、電源ジャックがそれぞれ独立して右よりに、そして中央に拡張バスがあります。
また760系で一時消滅していた本体の傾斜調整脚が復活しています。
(この画像では持ち上げた状態)
底面の様子。
中央手前には IrDAポートが装備されています。
760系に見られる傾斜部分もなく、ドッキングステーション用の溝が若干ある以外には、比較的ノッペリとしています。
底面銘板の奥寄りには、メモリースロットがあります。
メモリスロットの蓋を開けると、ご覧の様に DIMMソケットが2つと、C-MOSバックアップ用のボタン電池が格納されています。
メモリーは144p/SD-RAM(PC66)で、128MBのDIMMまではおおよそ認識できるようです。
(手持ちで認識できないものがありましたが、法則性は不明)
この画像では32MBのDIMMを搭載している状態で、オンボードで32MBのメモリと合わせて計64MBとなっています。
ハードディスクパックを取り出したところ。
取り外しは容易で、ネジを外して固定レバーをスライドさせればカバーが外れ、ディスクパックを取り出すことができます。
この画像では判りにくいですが、背面寄りにはセキュリティスロットがあり、鍵を取り付ければハードディスクパックを容易に取り外すことはできなくなります。
この辺のセキュリティ重視の構造は、まさに
IBMのお家芸といえます。
特徴あるハードディスクパック。
一般的には、短辺面にコネクタがあるものですが、770系では、長辺面にコネクタがあります。
形状は変わっていますが、構造は簡単で、中身のドライブの交換はとても容易です。
(もちろん、自力での交換は、IBMの保証外になります。念のため・・・)
ディスクパックの格納部の手前には、バッテリーパックが格納されています。
バッテリーパック格納部のすぐ底面には、DVD拡張アダプター用のスロットがあります。
(770Eではオプションとなっています)
取り出したバッテリーパック。
リチウムイオンバッテリーで、公証値で3時間程度持つようです。
重装備で比較的電気を喰う要素の多いモデルですから、かなり稼動時間がふらつく傾向がありそうですが、無線TAカードを使ってウェブサーフしてみたところ、2.5時間程度は稼動できました。
ただ、バッテリー駆動時はCPUのパワーダウンがこまめに機能するためか、引っかかり感が結構ありました。
770EのウルトラベイIIから、FDDをイジェクトしてみます。
ロックつまみを動かすと、イジェクトレバーが飛び出します。
ホットスワップにも対応していて、Windowsではウルトラベイスワップドライバにより画面に操作案内(イジェクトしても良いかどうか等)が表示されます。
レバーを引き起こすと、ウルトラベイIIから装着デバイスがイジェクトされます。
とても簡単にデバイスの交換ができますが、意図としない交換を防止するために、固定ネジでロックすることもできます。
取り出したフロッピーディスクドライブ。
面白いことにハードディスクパックの様に側面にコネクタがありますが、これは外付け時に使用するコネクタで、本体にはこのコネクタと背面のFDDコネクタを接続するケーブルが添付されています。
ウルトラベイII内蔵時に本体に接続されるコネクタは、このコネクタとは別に奥側にあります。
この辺の作りの懲り様は、700系ならではですね。
本体前縁の様子。
液晶パネルが結構張り出しているのが判ります。
本体の厚みも相当のものですし、重量も結構重いので、お世辞にも持ち歩きに向いているとは言えません。
TrackPointIVを操作するの図。
賛否が分かれる所かもしれませんが、センターボタンのおかげでスクロールボタン(ホイール)付マウスを接続しなくても快適に使用できます。
ちょっと話がずれますが、無線TAカード(NEC
AtermRC25)を使用すると、電波の影響でかなり酷くドリフト(マウスポインタが勝手にズルズル動く現象)が発生します。
560Zではドリフトはあまり発生しなかったのですが、やたらと回線が切断されるという現象がありました。
ACアダプターは、現在のThinkPadでは事実上標準になってきたような丸型プラグのタイプです。
765以前のモデルの台形プラグ仕様に比べると、入手はずっと容易です。
大きさ・価格・スペック等々、随分違う
770Eと PC110。
どちらも持ち歩いて誰かに見せびらかしたくなってしまいます。
(さすがに770Eを持ち歩くのは辛そうですが、、、)
でも、よく見ると、液晶パネルのヒンジの端面の処理とか、状態表示用の液晶など、血は争えないなぁって感じさせるものがあります。
CPU PentiumII-266MHz
RAM 32MB Max288MB(128x2)
HDD 5.1GB
LCD 14.1"TFT/XGAカラー (1024x768x32bit color)
CD-ROM/DVD-ROM Option(内蔵可能)
ゲーム以外の一般的な用途であれば、快適この上ないモデルです。
51JはCD-ROMドライブがオプションという点が評価の分かれるところかもしれません。
- ハードディスクはパック式で、必要とあれば自力での換装も容易です。
但し当然ながらメーカー保証外の行為となってしまいますのでご注意ください。
また、パックの形状は770系独自のものなので、壊してしまうと厄介なことになります。- メモリはSD-RAMとなります。入手も容易です。
プラス64MB増設(計96MB)しておけば、一般的な運用なら快適です。- 液晶パネルはXGAで快適ですが、ビデオチップ(Trident Cyber9387)がやや非力に感じるかもしれません。
画像処理でもたつく感じもありますので、メモリ増設を優先したいところです。- ウルトラベイII用のCD-ROM/DVD-ROMドライブは入手困難・高価なので、外付けドライブを検討した方が良いと思います。
もちろん、チャンスがあれば是非入手しておきましょう。- なかなか見かける機会が無く、あっても高価です。
但し、その使用感は抜群ですので、機会がありましたら是非触れていただきたいモデルです。
(2000/7/20記)