本機は
ThinkPad240Zの一般家庭向け版的な位置付けのサブノートです。
小型ながらXGA液晶パネルにレガシーポートを一揃えしていて、サブノートクラスとしては評価の高いキーボードを搭載していますが、従来からの
ThinkPadユーザーにはウケがいまひとつのボディカラーや、持たないバッテリー、そして液晶の表示不良トラブルの多発で、使っていて非常に心配になってしまうモデルです。
240シリーズは
535/235に代わる新世代のサブノートとして登場しました。
長らく続いてきたシリーズですが、他社に遅れてなかなかXGA機が登場しなくて、個人的にも何度も購入を見送ってきました。
(やはり仕事で使うとなると、アプリケーションの都合上、XGAは欲しいところです・・・)
この最終シリーズの 240Z/i1124で、ようやくXGA化が叶い、他社サブノートとの差がようやく埋まりました。
ThinkPad伝統の
7段配列を諦めてしまったキーボード。
初めてのThinkPadが本機であれば、そんなに気にならないかもしれませんが、そうでないとかなり戸惑うことは言うまでもありません。
(私は仕事で種々雑多なメーカー・モデルに触れているので、なんとか大丈夫ですが・・・)
キータッチは「ThinkPadとしては並」なんですが、他社のサブノートが決してよくないので、本機のキータッチが良く感じるのかもしれません。
あとすごく気になるのが、各キーの位置のバラつきで、結構スペースキーは傾いていますし、凸凹だったり斜めになっているキートップが多々あります。
数的にかなり出ているシリーズのためか、はたまた外部委託で生産しているためなのか、残念ながらどうも品質のバラツキが大きいようです。
液晶パネルを閉じた本機。
メタリック系の外装色は iシリーズ故のようですが、スタイリッシュな印象を受けるものの、ThinkPadとしてはなんだか違和感を感じてしまうのは仕方ないところでしょうか?
更に問題なのは本機がわざわざ外装色をメタリック系にしたのにも関わらず、標準添付のFDDや別売のUSB接続CD-ROMドライブの外装色にメタリックカラーが用意されていないという点で、なんだかポリシーがあるのか無いのかよく判らない残念な部分だったりします。
(この反省なのかどうかは判りませんが、s30では色揃いのドライブがちゃんと用意されています)
FDDと並んだ本機。
程良い薄さで、なかなかイイ感じですね。
本機の背面の様子。(液晶パネルは開いた状態)
シリアル・パラレル・CRTと、サブノートクラスのマシンでは割愛されたり、ポトリが必要なコネクタがしっかり押さえられています。
色々と問題のある本機ですが、何よりもこれらのレガシーポートはしっかり本体に搭載している点が大きなポイントです。
勤務先で「現場でシリアルポートに機器が簡単に繋げるサブノートが欲しい」という要望が出た際に、言うまでもなく迷わず本機を選択しました。
本体右側面。
前位寄りから、HDDスロット、赤外線ポート、USBポート、排気口、そして液晶パネル側を切り欠いて
PS/2ポートも見事に収めています。
対して賑やかな左側面。
背面寄りから、セキュリティスロット、モデムジャック、LANジャック(ダミー。ゴムキャップ付き)、FDDコネクタ(ゴムキャップ付き)、オーディオジャック、PCカードスロットの順に並んでいます。
PCカードスロットが1スロットというのは本体厚の制限上仕方ないのかもしれませんが、運用の仕方によっては非常に辛いところです。
個人的に 240系を過小評価してしまう傾向があるのは
PCカードスロットが1スロットしか無いためで、賛否は分かれるところかもしれませんがとても残念な部分に感じます。
FDDコネクタはこのような三角形(?)のゴムキャップがはめこまれている訳ですが、なんとなく想像がつくかと思いますが、持ち歩きの際には紛失の可能性があります。
背面ポート類用のゴムキャップも添付されていますが、大抵の方は購入時そのままで FDDキャップのみ付けているケースが多いと思います。
構造的になんとかなりそうな雰囲気で、改善の余地有りといったところでしょうか?
底面の様子。
さすがにここまではメタリックカラーにはなっていません。(^^;
後部に盛り上がりがある形状は、なんとなく 235に感じが似ています。
左の後方寄りに冷却ファンの穴が見えますが、このファンは普通に使う分にはあまり回らないようで、使っていて特に気になりません。
ハードディスクパックを取り出したところ。
本機はサブノートの部類の中でも非常に簡単にハードディスクの交換が可能となっています。
容量不足や故障時にも、容易且つ迅速に取替えが可能で、このクラスのモデルとしては異例といってもいい位でしょう。
手元の本機に搭載しているドライブは IBM製
DJSA-220(20GB)でした。
このドライブ、ヘッドの退避時に大変豪快な音(ガキンといった強烈な音)を発します。
勤務先に持ち込んで使っていて、一瞬何か壊れたのか?と勘違いする程の音でした。(^^;
(家で使っていたら、最初は相当びっくりするんじゃないかと思います)
本機の標準タイプのバッテリーパック。
かなり小さくペラペラなので、「本当に持つのか?」と心配になりますが、事実バッテリーは全然持たないというのが正直な感想です。
比較的実情に合っている IBMの公称値で
1.8時間ということなので、頑張れば
2時間台に乗りそうですが、外出先で安全確実に連続作業するとなると
1.5時間位が安全圏のようです。
本体の個体差の問題かもしれませんが、ACアダプタを繋ぐと頻繁に充電動作に入ってしまいます。
なので、ひょっとしたらバッテリーが比較的早い時期に悪くなってしまうかもしれません。
メモリーの増設は、本体裏面のネジを3箇所外し、キーボードを外して行います。
オンボードで64MBとなっていて、空きDIMMソケットがひとつあります。
この画像では
128MBメモリを増設して、トータルで192MBという状態になります。
(メモリは
PC100仕様が適用できます。PC66タイプは使用できません)
なお、この作業の際には、キーボードを一気に引き上げないようにしましょう。
本体とキーボードを接続するケーブルを傷めたり、キーボードの撓みの原因となることがあります。
また、ネジが潰れやすいので、精密ドライバで作業すると良いでしょう。
メモリスロットの反対(左)側には、miniPCIスロットがあり、標準ではモデムカードが装着されています。
このすぐ左側面に、モデムジャックとLAN用のRJ-45ジャックがありますが、このモデムカードを専用のコンボカードに交換することで、簡単にLAN内蔵化することができるのですが、残念ながら肝心のコンボカード(本来は 240Z用のもののようです)は入手困難です。
元々PCカードスロットも本体USBポートもひとつずつしか無い本機にとっては希少なアップグレード手段とも考えられるので、別売品として用意されていないというのは非常にもったいない気がします。
なんせ
A20pなんかではオプションでコンボカードが用意されているので、決して不可能では無いとは思いますが・・・。
本機添付のフロッピードライブ(FD-05P2)。
230Cs系の頃から互換性のある FDDコネクタに接続して使います。
最近のモデルでは USB接続のフロッピードライブに切り替わってきていますが、本機ではひとつしかないUSBポートの有効利用の意味もあってか、この古くからある専用インターフェイスタイプが採用されています。
ドライブ自体は
ThinkPad570に添付されているものと同等なようです。
本機のオプション品として指定されている純正USB接続CD-ROMドライブ(33L5151)。
必要なドライバはプリロードされているので接続するだけで即使えるという手軽さ、そしていざというときにはリカバリにも使えるところは純正品ならではです。
しかもバスパワードタイプなので、本体との接続は USBケーブル1本で済みます。
ただ残念なのは、先の外付けフロッピードライブもそうですが、本体色に合わせたものが無いという点です。
(本機のボディカラー故に、ミスマッチ感はちょっと情けないところかも)
この反省もあってか(?)、後継機の
S30では、ボディカラーに合わせた本品と同等のCD-ROMドライブが用意されています。
本機添付のACアダプター。
最近のモデルによく添付されているタイプで、本体サイズに比べると、このACアダプタの大きさはちょっとがっかりしてしまうかもしれません。
ひょっとしたら勘違いかもしれませんが、以前勤務先で購入した
73Jには、このタイプではなく古いタイプのスリムACアダプターが添付されていたような気がします。
(以前のスリムタイプのACアダプタは、長手方向が
2cm近くコンパクトになっています)
全備状態の
73J。
基本設計は非常に良く、他社サブノートと比べても全く遜色ない優秀なモデルですが、どうも不具合の話を聞くことが多いのは悲しいところです。
実際問題、液晶表示不良(画面が真っ白になってしまう)は大変困り者で、勤務先に入れた個体でも見事に発生してしまいました。
今後はこの様なトラブルの無い様に、強く期待したいところです。
CPU Celeron-500MHz
RAM 64MB Max 192MB(PC-100)
HDD 20GB
LCD 10.4"TFT/XGAカラー (1024x768)
VGA Silicon Motion LynxEM+ (V-RAM:4MB)
CD-ROM option
FDD 外付
MODEM 内蔵 56kbps V.90
持ち歩くのはもちろんのこと、運用上レガシーポートが必須ということでしたら、文句無しに本機がおすすめです。
但し、製造上の問題と思われるトラブルが比較的多い様子ですので、まずは情報収集が重要といったところでしょうか・・・。
- モバイルマシンとしてはバッテリー稼働時間が比較的短め(公称値で 1.8時間)です。
お出かけ時の運用では、省電力の設定や大容量バッテリーの利用、電源の確保が結構切実な課題となります。- ハードディスクは必要とあれば自力での換装も容易です。
但し当然ながらメーカー保証外の行為となってしまいますのでご注意ください。
不安な場合は、ショップ等のアップグレードサービスも便利です。- メモリはSD-RAM(PC-100)となります。
増設は1ソケットしかありませんし、仕様では192MBが上限ですから、最近手頃な価格の 128MBメモリの増設がおすすめです。- 液晶パネルはXGAですが、画面サイズが小さい(10.4インチ)ところが難点です。
最も不安なのは、液晶パネルへの内部接続ケーブルに問題があると指摘されている点で、突然画面が白くなってしまい事実上使用不能になってしまいます。
不具合が発生したら、早めに IBMに相談・修理依頼されるのがベターです。- 何せ薄くて小さなボディですので、PCカードスロットが 1スロットしかない点が問題になることがあります。
最近は USB接続周辺機器が豊富ですので、うまく使い分けを考えましょう。
(2001/7/28記)