ThinkPad i1124 (2609-93J)

7.5時間戦えますか?

モバイラーにとって「バッテリー稼動時間」は切実な問題で、サブノートの CPU高性能化はバッテリー駆動時間の低下という厳しい問題に直面することになります。
元々バッテリー駆動時間という面で厳しい評価をされることがあった 240系ですが、この 93Jでは CPUの動作電圧とクロックを変化させる SpeedStepに対応した超低電圧版 PentiumIIIを搭載して、FullDayバッテリーを使用すれば公称値で 7.5時間のバッテリー運用が可能となっています。

 

見た目はまんま i1124(銀の240)ですが、バッテリー駆動時は 300MHz/0.975Vに CPU動作条件を押さえ込むという(逆)力技で長時間運用を実現しています。

一時期 Crusoe搭載試作機が海外の展示会で公開されて 240にも搭載か?と騒がれましたが、結果的には PentiumIIIの搭載ということになりました。
そんなどんでん返しの如く登場した本機は個人的にも魅力的なバッテリー駆動時間とスペックでしたが、実際に入手することになったきっかけは、手持ちの 73Jの真っ白病発病のためピンチヒッターとしてというところがちょっと情けないところです。
(運良く? 中古ショップに在庫があったのを、検品前に無理を言って購入しました)

結局そのまま移動用メイン機に居座ってしまいましたが、240Zの購入により 73Jは手放すことになり、この 93Jは予備機落ちになってしまいました、、、

 

 

93Jに標準添付されているバッテリーパックは、ちょっと不細工な?感じの Lバッテリーで、このバッテリーでの駆動時間は 5時間となっています。

240系標準のバッテリーでも使用可能(この場合は、容量比から約2.5時間の駆動時間になります)ですが、残念ながら(本機で言う)小バッテリーはオプションとして販売されていないのが残念(と言うか不思議な)ところです。

 

 

オプションの FullDayバッテリーを装着した状態。
標準添付の大容量バッテリーに比べると容量は 1.5倍、デザイン的にもグーですね。
(持ち運びの際のホールド感に優れています)

ただ、本機の謳い文句のバッテリー駆動時間7.5時間は、このバッテリーとの組み合わせによるものなので、セールストークとしてはちょっと反則っぽい気がします。(^^;
(*印付きの小さな注意書きに気が付かないかもしれませんね・・・)

 

 

各バッテリーを並べてみました。

奥がオプションの FullDayバッテリー、手前左が 93J標準の大容量バッテリー、手前右がそれまでの標準バッテリーです。
FullDayバッテリーと大容量バッテリーはオプション販売されていて入手は容易ですが、標準バッテリーは保守パーツとしてしか販売されていないようです。

 

 

バッテリーの本体装着部は同一形状なので、相互に互換性があります。

例えば初代240でも FullDayバッテリーは使用できますし、93Jのバッテリーを(稼働時間が犠牲になりますが)出っ張らない標準バッテリーに取り替えることも可能です。
(但し、この場合は標準バッテリーが入手しにくいという問題もありますが・・・)

 

 

240/i1124系には「真っ白病」とユーザーの間で呼ばれている、画面表示がおかしくなってしまう現象が大変多く報告されています。(特に XGA機で発生率が非常に高いようです)

これは手元の93Jですが、どうも真っ白病対策はしていないようです。
先代73Jではご多分に漏れずに発生してしまって、その代走として購入したものなので、非常に不安になります。
予防措置としての交換も可能なので、保証期間内でしたら IBMに相談されると良いでしょう。
(手元の93Jは中古購入で、240Zにバトンタッチしたので、当面様子見といったところです)

ちなみにminiPCIカードは、本来240Z用のモデム/LANコンボカードに交換しています。

 

 

こちらは真っ白病修理から戻った 73Jのものです。

液晶パネルへのフレキシブルケーブルが交換されています。
また、ケーブルを固定する銅箔テープが太いものに貼り替えられています。

中古での購入時に内部を拝むことは難しいと思いますが、可能であればチェックしてみると良いかもしれません。
(但し、必ずしもこの通りの修理になっているとは限りませんので、その点はご注意ください)

 

 

後継機 s30は標準バッテリーで 7時間近くの稼働時間にまで更に伸びていますが、そこには本機での省電力化への経験も寄与していることでしょう。

今では、とにかくバッテリーが持たないという意見が多い 240系でしたが、本モデルの出現はそういったイメージを覆し、後継機にもその影響を与えたことは否定できません。
性能面では s30にその座を譲ってしまいましたが、まだまだ最前線で使えるスタミナマシンですね。(^^)

 

本機の基本スペック(2609-93J)

CPU    Pentium III 500MHz SpeedStepテクノロジ
RAM    64MB Max 192MB(PC-100)
HDD    20GB
LCD    10.4"TFT/XGAカラー (1024x768)
VGA   Silicon Motion LynxEM+ (V-RAM:4MB)
CD-ROM option
FDD   外付
MODEM  内蔵 56kbps V.90

セットアップやメンテナンスのポイント

運用上レガシーポートが必要であれば、後継機 s30シリーズよりも本機の方が魅力的かもしれません。
ただ、他の240/i1124系の抱える問題は当然持っていますので、購入時にはその辺を十分理解しておいた方がいいと思います。

(2002/02/11記)

 

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