この WorPad z50は、名称からして
ThinkPadとは異なる通り、PDA系路線のモデルとして発売されたようです。
しかも他の WorkPadが
Palm系であったのにも関わらず、本機では動作OSが WindowsCEとなっています。
個人的にCE機はいくつか乗り換えてきましたが、本機の様なVGA仕様のハンドヘルド機となると、日本では盛況なサブノートジャンルとの線引きが曖昧になり、下位にPalm系モデルが用意されているとなると、存在意義がかなり怪しくなってきます。
そのためかどうかは知りませんが、日本未発表のまま比較的短期間で、このIBMのWindowsCE機シリーズはあっさりと打ち切られることになってしまいました。
普段は CE機を使っていることもあって、現地での発表後、日本での発売も期待していましたが、残念ながら叶わぬ夢となってしまいました。
ただ、冒頭でも触れた通り、日本国内ではサブノートの市場が確立されていることもあって、国内発売されても商業的にうまくいっていたのかどうかは微妙です。
最近でこそ日本でのCEマシンの立場は、一般の方にも認知され、きちんと確立されつつあるものの、以前は燦々たる状況でした。
(使ってて、肩身が狭かったです。(^^;;;)
面白いことに、本機の位置付けをサブノートクラスのマシンと同等と考えていたのかのようなモデル番号(2608)が振られています。
(ちなみに2607は ThinkPad235、2609は
ThinkPad240となっています。如何にも・・・って感じですね)
入手以前から気になっていた箇所。
なんのことはない、液晶ディスプレィのコントラストと輝度調整のボタンでした・・・。
(ボリュームでは機構部品が増えるからこうなったのでしょうか?)
もうひとつ面白いのが、すぐ上のエンブレムで
IBMのロゴの色がブルー一色というところ。
本機は DSTNカラー液晶を搭載しているのですが・・・?
見づらいですが、すぐ下にはちゃんと「WorkPad」と表記されています。
妙なキーボード。ちゃんとトラックポイントを搭載しているところがミソですね。
賛否両論となった 240のキー配列に似ています。
最上段にはFきーではなく、A1〜A12というキーが、INSがー無い(^^;、Home/End/PageUp/PageDownはカーソルキーに吸収され、Windowsキーがあるといった感じで、ThinkPadユーザーからはなんじゃこれは!?という声が聞こえてきそうです。
(そもそも WindowsCE機では、機能上根本的に必要の無いキーがあるので、並べて比較するのは見当違いなところもありますが・・・)
液晶パネルを閉じた
z50。
エンブレムの
IBMの文字が単色というだけで、なんだか不思議な印象を覚えます。
WindowsCEマシンと言うと、液晶パネルがタッチパネルになっている物が多いですが、本機はトラックポイントがポインティングデバイスとなっています。
CE機に慣れてしまった私はついつい画面を突いてしまいがちだったりしますが、、、(^^;
左側面は後ろからモデムジャック(33.6kbps)、オーディオ入出力(モノラル)、PCカードスロットの順に並んでいます。
PCカードスロットは上部シャッター部を外せば、TypeIIIになるとかならないとか・・・
右側面は後ろからシリアルポート(専用ケーブル使用。普段はゴムキャップで隠れています。)、赤外線ポート、コンパクトフラッシュスロット(TypeII)、CRT出力(普段はゴムキャップで隠れています)の順に並んでいます。
コンパクトフラッシュスロットはダミーカードでシャッター代用としているところが惜しいです。
TypeIIですので、マイクロドライブもばっちり使えます。
(さすがは IBM。)
背面は
ACアダプタジャックとバッテリーリリースとロックつまみ、セキュリティキー穴だけで、コネクタ類が全然無いので、デザイン的にとても新鮮に感じます。
バッテリーパックは背面寄り底面に組み込まれています。
細い円筒形でなんとも頼り無さそうな感じですが、ハードディスクを持たない本機では根本的に消費電力が小さいので、この程度でも普通の ThinkPad並みの稼働時間は余裕で持つようです。
画像手前にはドッキングステーション用とおぼしきコネクタ接続口が見えます。
WindowsCE機ではメモリーバックアップ用にボタン電池などを組み込むようになっていますが、本機ではご覧のように単四乾電池にてバックアップするようになっています。
困ったことにこのバックアップ電池の消耗が比較的早めですので、残容量の確認や交換だけをこまめにしないとデータが消えてしまいます。
更に消耗の進行の仕方の関係なのか、電池に液漏れさせやすいようです。
(大事には至りませんでしたが、2回ほどやってしまいました)
ということで底面全体の図。
見ての通り、結構凸凹していますが、元々軽量で本体厚も薄いので、実機を見た感じではそんなにいびつな印象は感じられないように思います。
しかし、側面の画像の通り、本体の前後で厚みがかなりちがうので、鞄の中での収まりはイマイチかな?って気がします。
底面のメモリースロットカバーを開けた状態。
手前側の大きなモジュールに ROM化されている WindowsCEが入っているようです。
その気があれば、日本語版の発売も可能だったのかも・・・
実際には、多くのCEマシンで、将来のOSバージョンアップ(バグフィックス?(^^;)に備えて、ROMの交換が可能なものが多いです。
上側のソケットは増設メモリ用ですが、ソケットのキーが中央にあるところからして、専用メモリで無いと使用できません。
(サードパーティー製もあるようですが、入手可能かどうかは不明)
32MBのモジュールまで組み込みできるようです。
z50のACアダプタ。
その実態は ThinkPad310用のACアダプタそのもののようです。
この
ACアダプタは過熱(?)の危険があるとかで、リコール対象になっていたようです。
手持ちのこのアダプタがリコール済み交換品かどうかは不明です。
海外モデルということで、ACケーブルはアース付き
3pで、ややゴツい印象を受けてしまうのは否定できないところです。
コールドブート時の画面。
WindowsCEでは、サスペンド/レジュームが基本なので、コールドスタート画面は通常は見ることは少ないと思います。
(左上には
CPUのモデル名とクロック、ROMのバージョンが表示されます)
残念ながら
z50は日本語版は発売されず、PDA専門ショップで細々と販売されていました。
(以前、私は Newtonを使用していましたが、その
Newtonを販売していたイケショップで
z50が売っていたそうです)
ミニノートクラスでもユーザーの要求スペックが厳しい日本では、このクラスの
WindowsCE機のウケはもうひとつのようで、商業的にはムリして日本語化しなくても良かったのかも知れません。
(ユーザーとしてはちょっと辛いものがありますが・・・)
CPU NEC VR4121-131MHz (MIPS)
RAM 16MB Max48MB (専用タイプ)
HDD 無し
CD-ROM 無し
LCD 8.2" DSTN (640x480 VGA)
OS WindowsCE 3.0
日本国内での入手はかなり難しいようですが、忘れたころにオークションに出ていたりしますので、欲しい!!という方は地道にチェックしてみましょう・・・。
- WorkPadと言っても PalmOSが動作しているのではなく、本機は WindowsCE機です。普通の Windows95/98等の動作する PC/ATベースのマシンではありません。
- メモリは独自仕様のもので、輸入する以外に入手の道は無いようです。
32MB増設するのが理想的ですが、ストレージカードと組み合わせればそのままの容量でもなんとか使えます。- HDD無しですから、バッテリーの持ちも良く、衝撃によるクラッシュの危険性も僅少です。とは言っても、本体を壊さないように、大切に使ってあげましょう。(^^)
(2001/06/17 記)