第1回万酔会@川崎能楽堂
98/11/28

蝸牛の山伏

昆布売

痺

狂言演るなら一度は演ってみたい曲「蝸牛」 後輩の「昆布売」は自慢できるデキ。 親子で演れるなんて(^^)。「痺(しびり)」

 万作さん・石田さんの門下と合同で演っていたおさらい会が、弟子の数が多くて舞台の調整がままならず今年から完全分離。万酔会第1回がここに発足。早稲田や東大の学生時代に狂言研究会で万之介先生に習っていた面々が中心ではありますが、真打ち・三遊亭龍楽さんや個人的にアプローチした方も多々おります。

 
連吟「若松」(わかまつ)
口開けは、早稲田・東大の狂言研のメンバーによる連吟「若松」。目出度い選曲。
狂言「鬼瓦」(おにがわら)
続いて、東大の現役2人によるもの。駒場祭では「長袴」で演じたそうだが、今回は「大名」で。「大名」の方が開放感があっていい、と本人談。万之介先生も、長より大名だよなとコメント。
狂言「伯母が酒」(おばがさけ)
昨年、十数年ぶりに稽古を復活した方々の上演。面のひもが取れる波乱もありましたが、思いっ切り突っ走った舞台でした(^^;。
狂言「蝸牛」(かぎゅう)
学生時代に一緒にシテ・アドを組んだY君の山伏、並の狂言師よりは切れる先輩F氏、稽古歴の長いH氏の楽しみな組み合わせ。「蝸牛」は狂言を習っている人間なら誰しもが一度は演じてみたい曲。僕も稽古を復活するなら、「蝸牛」は演ってみたい。ただ、この曲はシテの山伏、アドの太郎冠者、主ともに「味」や「軽み」がないと面白くなくなるんですよね。今回は川崎のキャパが145と手頃で、味が観客との呼吸もぴったりあったと思いますね。あの山伏にニヤッとされたら、みんなニヤッと囃してしまいますよ。
狂言「痺」(しびり)
これまた昨年十数年ぶりに稽古を復活した先輩とその御曹司(小学校5年生)の競演。聞くところによると、「中学生に上がってからじゃ、父親の言うことを聞かないだろう」と万之介先生は言ったそう。息も合って、父親の主はもとより後見に座っている先生までも目尻が下がってましたね(^^)。
連吟「海道下り」(かいどうくだり)、「福の神」(ふくのかみ)
はは。自分じゃ見てないんで(^^;。しかし、久々に足袋を履こうとしたら、太って履けない(^^;。小鉤(こはぜ)が引っかからない!という事実に直面して冷や汗。無事、足を押し込めることが出来ました。いやぁ、足首って大きくなるんだねぇ。
狂言「昆布売」(こぶうり)
早稲田と東大の現役2人の上演。昆布売、大名ともぴったり息も合って、良かった。男性と比べ、女性は声とかハンデがありますが、キッチリ出来ていて感心。多分、本日の一番の番組だったですね。昆布が何度もハズレるアクシデントがあって可哀想でしたが、全く評価を下げる理由にはなりません。
狂言「萩大名」(はぎだいみょう)
太郎冠者と茶屋は、大学の先輩方で、大名が、竜楽さん。いやぁ、稽古を見ていたときは大丈夫かと不遜にも心配するんですが、流石芸で身を立てている方。しっかりと見所を掴んでました。
狂言「千鳥」(ちどり)
これまた大学の先輩3人の舞台。女性で酒屋を演らせるのをなかなか許さない万之介先生ですが、遂に実現。
狂言「雷」(かみなり)
切戸のうちにいたのですが、シテアドともに安心して見れる演者ですからね(^^)。最後の天上の舞の時に、足を引きすぎてシテの雷が舞台から落ちそうに(^^;。いやぁ、地謡から見ていて急に視界から消えそうになったんでびっくりした。もし、ここで落ちていたら、「下手だから」と言われるのか、「上手くても」と言われるのか(^^;。僕も雷のシテを演っていますが、本当に見えないんですよ。面を着けての稽古は2、3度程度ではどうしても感覚が掴めないですね。装束は当日まで着けて演れませんから、こういう点でセンスや要領が問われるんかな。