2002/1/3

大学選手権 準決勝

関東学院大学 VS 法政大学
関東学院大学VS法政大学
3816前半1123
2TRY1
0GOAL0
2PG2
0DG0
22後半12
3TRY2
2GOAL1
1PG0
0DG0



第一試合も点差が開いたわりには好試合だったが、第二試合はそれ以上に気迫の感じられた名勝負だった。
立ちあがり早々、スピードある展開力で法政がトライを奪うと国立はヒートアップ。対して、そつのない関東学院は法政陣でペナルティを得ると確実にPGを決め、その後も一進一退の攻防が続く。

実力に勝る関東学院に対し、法政はCTB渡辺を筆頭に、まさに朽木をなぎ倒すようなハードタックルの連発。みぞおちに突き刺さるようなタックルは、王者関東学院のアタックにも簡単にはゲインを許さない。何度かターンオーバーする場面もあり、素早くバックスに回し、素晴らしいアタックを披露(ここもSH浅田、SO乗本の巧みな球捌きが光っていた)。
後半には、そのタックルの強烈さにFB角濱はじめ、何人かの関東学院の選手がピッチにうずくまる場面も見られたが、それにもひるまず、焦らず、じっくりと選手全員が状況を見極めて冷静に戦う今年の関東はやはり只者ではない。ここ10年来の大学チームの中でも最強のチームだ、と思う。

前半、16対11とやや苦しみ、法政の早い出足の前に思ったような展開が出来ないと悟ると、その局面を打開するために、後半にはフォワードの縦突破とモール攻撃を中心としたパワープレーで法政フォワードを切り崩しにかかった。
スクラム、ラインアウト、モール、バックスの展開力、組織ディフェンス、密集での球際の強さ、そしてフィットネス。これら全てのプレーに秀でているのが今年の関東学院なのだ。だから負けない。慌てない。

個々のプレーで互角に対抗できるチームはあっても、他のプレーの何処かの部分に必ず弱点がある。法政にスクラムやモールに対するディフェンスに弱さがあると見れば、すぐにそこで勝負を仕掛けてくる。そして波に乗れればペースは関東学院のものになっていく。

法政は、身上のスピード感のあるアタックとハードタックルで良く戦い、国立の観客を魅了させてくれたが、やはり勝負だけを見れば、どんな展開になっても関東学院の勝ちは動かなかったのではないだろうか。敢えてポイントを上げれば密集戦でのプレーの精度の差か。法政は誰かが大きくゲインした後、サポートプレーヤーは良くフォローして追いついていたが、そこに集まるプレーヤーの人数。ラックの球捌きの上手さ。ここに差があり、結局ノットリリースザボールや、オーバーザトップの反則を取られる場面が重要な局面で目に付いた。
後半は3つのトライを奪った関東学院が、法政のトライを2つに押えて、最終スコア、38対23で勝利を治めた。

さて、決勝戦の予想だが、準決勝観戦前までは7対3で関東学院有利と思っていたが、観戦後は、6対4程度に変わった。
早稲田は、SH田原、SO大田尾、CTB山下大吾に怪我もなく、またFL上村が復帰出来たのが大きい。決勝戦には、選手全員がほぼ100%の状態で臨めるのではないか?

特にFL上村は密集戦で関東学院フォワードに対抗するために(早稲田の密集でのマイボールキープにも)必要不可欠な選手だけに、何とか間に合ったのが救いだ。
一方の関東学院には、SO今村のあごの骨折が完治していない事が気がかりだ。まだタックルや密集に巻き込まれる事への恐さがあるはず。それとNO8山口の怪我がどの程度なのかも気になる。法政戦は最後までピッチに立ち続けたが、かなり痛みを伴っていたように見えた。早稲田は100%。関東学院は90%という状況だろう。それでも、この関東学院を倒すのは並大抵ではない。

早稲田には一つのミスも許されない。
ラインアウト。スクラム。タッチキック、タックル等々。基本プレー一つの僅かなミスが大きな綻びへと繋がる。それを完璧にこなす事。まずこれが最低条件だ。

ひとつひとつゲームのポイントを挙げれば、


1、 早稲田CTB山下大吾の個人技はどこまで通じるか?
山下は慶応戦において軽やかで力強いステップで慶応ディフェンスをかいくぐり、2つのトライを奪った。ビッグゲインを得る事もしばしば見られた。関東学院は彼にどう対処してくるのか?私の予想では、かなりマークされても、山下はそれを上回るスキルを持っているように思える。慶応戦と同じようなビッグゲインも何度か見られることだろう。そこで、ポイントはその後の(2)になる。

2.ラックで、早稲田の両FL川上、上村が獅子奮迅の働きを見せられるか?
山下が抜けた後のサポートプレーヤーがどれだけ仕事ができるか、が大きく試合を左右する。
ここで二人の両FL上村、川上が働ければ勝機も見えてくる。上手く動けなければ、関東学院のターンオーバーにあい、苦戦は免れない。

3.関東学院のモールを早稲田は止められるのか?
もし決勝戦が法政戦と同じような展開で、早稲田が先制し、関東学院が苦しむような試合運びになれば、やはり関東学院は後半、パワープレーを多用してくるだろう。特にモールで大きく前進されたり、コラプシングのペナルティを取られるようになれば、関東学院は着実に加点してくる。

4.ゴール前で関東学院フォワードのスピードある縦突進に対して、早稲田は速く厳しいタックルで耐え凌げるか?
これも(3)と同様、早稲田フォワードがどこまで踏ん張れるかにかかっている。
ゴール前、密集サイドでの早稲田のディフェンスにはやや甘さが見られる。この状況を作られれば、いくつかトライを奪われるように思う。

5.関東学院は、早稲田SH田原に素早い球捌きを封じ込めるようなプレッシャーを掛けられるか?
早稲田のスピードアタック、ボールの継続を担っているのはSH田原だ。彼はほとんど自分で抜きには行かないが、状況判断、球捌き、フィットネスには抜群のものがある。彼を封じ込めれば早稲田のアタックは脆くも崩壊する。

6、逆に早稲田は、関東学院SO今村にプレッシャーを掛けられるか?
先に書いたように今村はまだあごの骨折が完治していないため、密集に入るのを極力避けるだろう。(あの痛みに耐えて試合に臨むのは大変勇気のいることでもある)逆に言えば、彼が密集に入らざるを得ないような展開。彼に自由自在に仕事をさせないような試合運びをすれば、早稲田も勝利の糸を手繰り寄せられるのかも・・・。

試合全体として見れば、関東学院はこの法政戦と同じような戦いをしてくるのではないか。
最初はオーソドックスな真っ向勝負。後半、その効果が薄いと見れば、モールやフォワードの縦突破を中心としたパワーで粉砕。それが春口監督の描いている青写真のはずだし、それで勝てる、と確信しているだろう。早稲田もモールで押し込まれれば、自慢の走れるフォワードのフィットネスも徐々に衰えてくる。早稲田にすれば、兎に角先手先手を奪い、リードしながら試合を進めたいところだ。後半20分過ぎまで、早稲田がリードしている事。それが早稲田が10数年振りの大学王座奪回のための絶対条件だ。

最後に、現段階での勝敗及び点数予想をしておきます。決まりごとなので。(^_^)
OBですので、久々の決勝進出でもあり、気合いを入れて早稲田を応援しますが、
関東37点(5T3G2PG) 早稲田27点(4T2G1PG)
10点差で関東の連覇、早稲田及ばずと見ました。(^_^メ)
まあ、なにぶん学生ですので何が起こるか解らない部分もありますが・・・。

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