2002/1/20

日本選手権 一回戦

早稲田大学 VS トヨタ自動車
早稲田大学VSトヨタ自動車
120前半3577
0TRY5
0GOAL5
0PG0
0DG0
12後半42
2TRY6
1GOAL6
0PG0
0DG0


さて、なにから書いて良いものか迷う試合である。

戦前、清宮監督は「弱いチームが強いチームに当たる時のと戦い方を見せる」とコメントしていたが、それはダブルSHというカタチだった。

まず、FBにSH後藤を入れ、SH田原(或いはFB後藤)がボールを投げ入れると、スクラムの後方にいる後藤(田原)が素早くボールを捌きバックスに供給するという目論見だったが、トヨタFWの押しの強さは清宮監督の予想を遥かに上回っていた。猛烈なプッシュで早稲田スクラムはめくり挙げられ、あっという間にトヨタボールとなった。スクラムでは社会人NO1ともいえるトヨタ相手では、これほど差があるのか?と思わせたトヨタFWの力だった。

またラックが形成されると、近い方の選手(田原、後藤)がSHとなり、素早く球出しをする、という戦法だったが、これはある程度功を奏したように思う。
ボールが素早く早稲田バックスに展開されると、場内は沸いた。ゲインする場面も何度か見られた。しかし、ラックに追いつく選手の数、立ってボールを拾い上げるスキル等は、当然のようにトヨタの方が数段上で、ターンオーバーされた。また社会人の中でも当たりの激しさではNO1のトヨタの前では、一度ボールがトヨタに回ると、早稲田のディフェンスは悉く跳ね返され、個々のパワーとスピードの差で振りきられるとトライの山を築かれた。

それでも最後まで切れない早稲田の戦い振りも見事だった。精神的に切れていれば自陣ゴール前で簡単にトライを奪われていただろう、と思う場面が後半でも何度かあり、簡単にはトライを許さず、ターンオーバー、或いはインゴールノックオンなどを誘ったディフェンスは、彼等のこの試合にかけるモチベーションの高さを披露した、と言えるだろう。

77対12と65点差がついたが、これは11本のゴールキックを全て成功させたトヨタSO広瀬のキックの素晴らしさによるもので、右隅、左隅にかかわらず、難なく成功させた彼のキックの正確性は圧巻だった。

もっとも、この試合を見て私が最も驚いたのは、早稲田FL上村の運動量は凄まじさだ。テレビで見ると良く解るが、早稲田のアタック、ディフェンスのポイントとなる場面にはかなりの確率で彼がプレーに絡んでいる。ある時は攻撃の起点、ある時はハードタックル。ボールハンターとなって徹底的に走りまくる姿は、彼の潜在能力の高さを見せつけた。個々のパワーと運動量でトヨタと対等に戦えたのは彼だけだった。ようやく本調子を取り戻してきたようだ。立ってプレーする意識も非情に高く、このまま成長すれば、来年のワールドカップに最も若いジャパンスコッドとして名を連ねてくるのは間違いない。

早稲田初めてのトライを演出したのも彼の活躍があったからこそ。
華麗なステップを切って走りこんできたWTB三木に真正面からビッグヒット。立ったままボールを奪うと、ブラインドにいたWTB仲山に素早くボールが渡り、ライン際を独走。インゴールに飛び込み、一矢報いる形となった。

注目していた山下対難波のCTB対面対決では、さすがにまだまだジャパンCTBの難波の方が数段上だった。ディフェンス面と運動量で明らかに差があった。ただ、山下自身も足の調子が本物ではないのか、大学選手権に比べるとやや切れも欠けていた様には思えたが。

早稲田2個目のトライは、大学選手権準決勝に続き、途中交代で入ったPR大江がまたまた見せてくれたものだ。ハーフウェイ付近で途中出場のCTB川崎がギャップを付いて抜け出し、それをフォローした大江が40m独走。タックルにきた選手をハンドオフで跳ね飛ばし、ゴールに飛び込んだ。足の速さといい、コース取りといい、ハンドリングといい、日本では珍しいタイプのプロップだ。まだ3年生なので、来シーズンもこの快速プロップの走りが、何度か観衆を沸かせてくれる事だろう。

花園では、クボタが関東学院に85対35で圧勝したようだが、関東学院が社会人ベスト4のチームから5つものトライを奪ったのは見事と言うべきだろう。どんなカタチでのトライだったのか非情に興味があるのだが、テレビ中継が全く無く、見られないのが非常に残念だ。録画でも深夜でも構わないのだから、なんとか放送にこぎつけるわけにはいかなかったのだろうか?協会には努力してもらいたい。
やや不思議なのが、協会のHP上には村上晃一氏が両試合を見たような試合レポートが掲載されているが、彼はスカパーで早稲田対トヨタの解説をしているのに、何処でクボタ対関東学院の試合を見たのだろうか? 協会で撮影したビデオなのだろうか?

さて、これで順当に準決勝は社会人同士の対決となった。
神戸製鋼対クボタはどう考えても神戸製鋼が圧勝すると思うが、問題はサントリー対トヨタ戦。
トヨタは関西リーグで神戸製鋼を破ったあたりから、何故か急上昇を描いている気がする。今日の試合では学生相手ということもあり、ペナルティを狙わず、或いはキックを多用せず積極的にボールを展開するプレーが目立ったが、今のトヨタなら、ひょっとしてこの戦い方がベストではないのか? ゆっくりとしたフォワードのパワープレー中心に立ち向かえば、まずサントリーに勝てないと思うが、今日のように、ハードに積極的にボールを回すプレーをすれば、サントリーに一泡吹かせる可能性も否定できない。トヨタ自動車のキッカー広瀬が絶好調なのに比べ、サントリーのキッカー栗原は、蹴る時に足が被り気味でフック回転がかかりすぎ、調子を落としているのも気がかりだ。

それでも、私の予想では、サントリー対トヨタは、44(6T4G2PG)対30(3T3G3PG)で、サントリーの勝ちと見る。
神戸製鋼対クボタは、66(8T7G4PG)対18(2T1G2PG)ぐらいでしょうか・・・。


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