2003/10/12

日本代表 VS スコットランド代表
日本代表VSスコットランド
116前半1532
0TRY2
0GOAL1
2PG1
0DG0
5後半17
1TRY3
0GOAL1
0PG0
0DG0

奇跡は起こらなかったが光は見えた。
ジャパンは本当に良くやった。結果的に敗れはしたが、少なくとも、今回初めてラグビーのワールドカップをテレビで見た人達を落胆させる試合ではなく、気迫のこもったタックルなどは見ているものに感動を呼び起こさせる内容だったのではないか。

前半、SHに辻、SOに廣瀬を入れ、厳しいディフェンスで凌ぎ、相手のペナルティを確実にキックを入れて離されずについていく。その戦法は上手くはまった。予定通りの試合展開だったはずだ。惜しかったとすれば、廣瀬が外したPGの2本とDG。どれか一つは入っても不思議がない惜しいキックだった。入っていれば5点差。ワントライ、ワンゴールでひっくり返せる点差なだけにスコットランドももっと焦りが出ただろう。

小野澤と大畑があわやトライかと思わせながら、ライン際に押し出されたり、タックルで止められたプレーも惜しかったが、あれはワールドクラスのゲームでは往々にして見られるシーンだ。
国内の試合ならまず両方ともトライになっていただろうが、テストマッチではそうはいかない。だから5ヶ国対抗にせよ、トライネーションズにせよ、お互いなかなかトライを奪えない。勝負に対する執着心。トライを奪われる事の屈辱感。彼らはそのあたりが日本人とは根本的に異なる。民族論など語りたくないが、やはり農耕民族と狩猟民族の違い。負ければ殺される。勝負とは常に生死を賭けた戦い、戦争なのだ。

前半、最高のディフェンスを見せ、15対6で終了。ひょっとして勝てるのでは、と私も思った。でも、それにはどこかで逆転しリードする事が最低条件。スコットランドには焦りが増幅され、ジャパンはモチベーションがより高まる。そう踏んでいたのだが。

後半、危ない場面も切れないディフェンスで得点を許さず、皆が体を張った。こんなプレーができるのか。私も感動を覚えた。彼らも日本ラグビーの将来にとって如何にこの試合が重要なものであるかという事が解っていたのだろう。それほど集中したディフェンスだった。

そして後半10分過ぎ、予定通りミラーを投入。いきなりカットインして大きくゲインするビッグプレーを披露。これが次の小野澤のトライを産む。ミラーのループから大畑、松田、小野澤と繋いで左隅にトライ。ラグビープラネットでも今回のワールドカップのベストトライと評価された。ラグビープラネット

その後一進一退ながら、ほんの僅かなミスからトライに結び付けられ、結果的に20点以上の差をつけられ負ける事になったが、向井ジャパンのベストゲーム。いやパシリム優勝などがあったここ10年ほどのジャパンの試合としてもベストゲームかもしれない。

ただこの善戦も次のフランス戦次第では水の泡と帰す。
世界ランク5位。順当に考えれば40点ぐらいの力の差はある。でも、この試合だけで満足していてはやはり日本ラグビーに将来はない。本当に真価を問われる試合になる、勝てる可能性は5%以下だが、前回ワールドカップ準決勝のフランスのビッグアップセットのようなことだってないとはいえないのだから。

今日と同じように何処まで切れずにディフェンスし続け、点を離されずについていけるか、そこにかかっている。
決して諦めない事。セルフジャッジをしないこと。だからディフェンスのできない選手は起用してはいけない。
辻、良くやった。君のタックルには感動した。ただ飛び出しの早さが海外のレフェリーにはオフサイドと判断されがちなので、次のゲームはそこに注意して。
木曽、ラインアウトジャンパーとしての役割をきちんとはたし、他でも随所で好プレーを見せてくれた。ナワルも喜んでいるはずだ。伊藤、廣瀬、パーカー、松田、元木、総じてスタメンの15人は拍手を送りたい。
問題があるとすれば途中出場してきた選手。
ミラーは予想通り存分に通用する事を示してくれたのだが・・・・・・。

苑田君、キックは高く蹴らないと通じないよ。相手選手に当たったら一転して大ピンチだ。苦し紛れのグラバーキックは危なっかしくてしょうがない。判断も遅すぎる。
坂田君、また前回ワールドカップの過ちを犯してくれるのか・・・・・・。ノットストレートが2本。いまだにスローイングがヘタなのは何故なのだ??
栗原君、君はもう出ない方が良い。タックルもしない。自分のミスで相手ボールになっているのに、のんびりゆったりと戻っているような選手はワールドカップには必要ない。スコットランドの最後の2つのトライの起点になっているのは君のミスが原因だ。厳しく言えば、君が出たことで12点取られたのと同じことだ。

「ワールドカップでトライをとれれば良い想い出になる」
そんな気持ちで他の選手達が戦っていたか?? 皆自分のためだけではなく、日本ラグビーの為に戦っていたよ。少なくとも私にはそう見えた。今日の自分のプレーを恥ずかしいと思って欲しい。

小野澤君、やはりタックルが高すぎる。20点目のスコットランドのトライは君のタックルに原因がある。大畑を見習って欲しい。次のフランスは知ってるだろうがレスリングのユニフォームのような体に密着したジャージだよ。襟もない。ジャージをつかみにいくようなディフェンスは全く通用しない。体で押し込むようなタックルをしないと。今更言っても無理かもしれないけど。

でも私がラグビー協会に不信感を抱くのはこういう部分だ。イングランドもニュージーランドも南アもフランスも、皆新しいジャージに変えてきた。
勝つために。捉まれないように体に密着したジャージ。これだけでもラグビーでは大いなる武器となる。弱いチームこそが様々な知恵を絞って「如何にしたら勝てるのか」を積極的に考えるべきなのに、何故考えないのか??協会の重鎮の方々、答えて欲しい。

このHPで何度も書いているが、何故国内ではビデオレフを導入しないのか? あれがあるからこそ、最後のぎりぎりの線でトライになるかどうか、攻める側も守る側もボールに徹底した執着心を持って厳しいプレーが産まれてくるはずなのに。

向井監督とセレクターの方々へ。
何故辻が最後の最後まで選出されなかったのか不思議だ。貴方達の目は節穴だ。素早い球出しと突き刺さるタックルが外国人相手に通用するのは解りそうなものだ。ラグビーはハートのスポーツだよ。彼のタックルがどれだけ選手やファンを勇気付ける事か。だから早めに選出してミラーとのコンビを練習させたかった・・・・・・。残念だ。

とにかく試合内容と選手のひたむきさには感動したが、結局は勝負事。
勝たなくては意味がない。次のフランス戦は勝敗には奇跡を願うとしても内容のある試合を。残りのフィジー戦とアメリカ戦には絶対勝って結果を出し、胸を張って日本に帰って来て欲しいものだ。

それでも今日の試合はよくやってくれた。頑張ってくれた選手達には頭が下る思いだ。ありがとう。


MAIN