2001/6/17

日本 VS ウェールズ

観戦記 

メンバーはこちらを参照してください。

前半20対19の1点リードで折り返しながら、最終スコアが30対53。
トライ数は3対9.この結果をどう見るか・・・。非常に難しいところだ。
善戦。前途に光明が見えた。選手達は良くやった。どの評価も正しいのだろう。それでも・・・という気持ちが残る。勝てた試合だったと今でも思う。

ウェールズはやはりジャパンを良く研究していた。
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後半は、ラック、モールのエリア周辺へディフェンスが集まりすぎるジャパンの弱点を突いて、まず、ラック、モールを一回つくってから外へ散らすプレーを意図的に行いました。また、デイフェンスでは順目、順目に攻撃するジャパンの特性に留意しました。
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これがウェールズ、ハウエル監督のコメント。
すかさず敵の弱点、攻撃パターンを読み込んで対応を練る。こころあたりがワールドレベルの監督のすごさだ。果たして向井監督と林コーチはハーフタイムにどういう指示を出したのだろう?知りたい。

選手達が良くやった事はそれなりに評価するとしても、敢えて禁断の『たられば』で敗因を挙げてみたい。

栗原のキックオフミスが3回。これは痛かった。
緊張か、練習不足か?テストマッチでこんな単純なミスは許されない。これがサッカーだったら、トルシエは栗原が3回目の失敗をした後、激怒して即座に交代させているだろう。現在の日本サッカーの代表争いはそれだけシビアだ。試合開始直後のキックオフに使用した異様に高いティーはいったいなんだったのだろう?一瞬目を疑ったのだが・・・。謎だ。ジャパンが世界と戦うためには、単純ミスの連続は絶対に許されないことを彼には肝に銘じて欲しい。

村田、岩淵のHB団は良くやってくれた。
見どころで書いた通り、海外で揉まれたディフェンス力は期待通りのものだった。(アタックでは村田の球出しの判断の遅さはかなり気になったが)
それでも、今のジャパンのスタイルが完全に染み付いていないと感じた。二人ともキックが多すぎる。それは彼らがヨーロッパの自分たちのチームでそういう戦い方をしてきたからだろう。でもジャパンでは違う戦いをしなければならない。攻撃的なキックなど、よほどの事がない限りジャパンには存在しない。どんなに敵陣深くキックを蹴り入れたとしても、その後の敵ボールラインアウトをジャパンが取ったシーンを見たことがあるか?私はほとんどない。確率で言えば何十分の一だ。キック力に格段の差があり、マイボールになるとは言え、結局ハーフライン付近まで戻されてしまう。そして、その後のラインアウトを100%取れる保証も何処にもない…。
ならば、攻めてる時は99%キックを使用しない!!
これをジャパンが世界と戦うための鉄則にすべきだ。そして、そのことを首脳陣は彼らに認識させるべきだ。
徹底した意思統一。
サントリーがウェールズに勝てたのはそれがあったから。私が、前シーズン、サントリー優勝説を唱えたのは徹底してボールをつなぎまくる。そのコンセンサスが15人に取れていたからだ。そしてそれを可能にするためのフィットネスの向上があったからだ。これは練習でいくらでもアップできるはず。まだまだ走りきれていない選手がたくさんいる。

ジャパンは明らかに強くなった。WC後の平尾ジャパンを考えれば夢のようだ。
今日のような試合をすれば観客は増える事さえあれ、減る事はない。ファンは必ずや戻ってくる。
見ていて楽しいラグビー。
今日の試合はその可能性をかなり感じさせてくれた。3つのトライも素晴らしいものだった。あとはひたすらフィットネスの向上。組織ディフェンス。大事な試合でマイナスの緊張をしないようなメンタルトレーニング。そして交代枠をより有効に使うこと。もちろんリザーブの選手のレベルアップがあってこそだが。

今日の15人でこれだけやれた。バックスには切り札、大畑もいる。クボタの吉田もいる。NECのニールソンもいる。サントリーの北條もいる。神戸製鋼の平尾もいる。栗原だって、増保だって、元木だってうかうかしてはいられない。フォワードならサントリーの大久保直弥もいる。第一列も激戦区だ。そしてもう数人は入ってくるだろう外国人選手も、国代表という名誉のためには身を粉にして働くプレーを厭わないはずだ。皆てぐすね引いて待っている。

層が厚くなり、ポジション争いが熾烈になれば・・・。セレクションマッチがテストマッチほどに強烈な緊張感の漂う試合になれば・・・。ジャパンはもっともっと強くなれる。選手個人には決して己に妥協を許すことなく、高い志を抱いて頑張ってもらいたい。
ジャパンの選手全員がそんな気持ちになれば、そんなチームになってくれれば、2003年、私は絶対にイーデンパークで声援を送っているだろう。


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