2005/6/19

日本代表対アイルランド代表

18対47
トライ数2対7


アイルランド戦の第一戦後のインタビューで
「最後の10分で攻撃をしかけられたからよしとしたい、昨年の100点ゲームに較べれば確実に強くなっている」
とのたまう全く危機感の感じられない萩本監督。
それに対し、今日の敗戦からの収穫は? とインタビューで訊かれて、
「収穫は何もない、危機感を感じている」
と語った箕内キャプテン。
どちらが真摯な態度で、或いは真剣にこの試合に臨んでいるか、見事に表現しているコメントだろうと思った。これでは選手がかわいそうだ。

結局、このファイナルテストも大方の予想通りの結果となってしまった。

秩父宮での生観戦後、帰宅してビデオを見たら、スカパーの解説でいつもは毒舌を吐く小林深緑朗氏もこの日は結構甘口コメント。ラグビー協会から何か言われたのだろうか、と勘ぐりたくもなる。
アナウンサーが「前回はジャパンに対して辛辣な声が浴びせられましたが、今回は暖かい拍手が送られます」と試合後に言ったが、それも違う。

現場にいた私に言わせれば、バックスタンドに挨拶に来た選手達に対して、観客からは、拍手もあったが罵声もブーイングもジャパンに与えられていた、という真実をテレビ中継でしか分からないファン達に伝えておく。
日本のラグビーファンは基本的に甘やかし過ぎだと思う。

これがサッカーだったらどうだろうか。
バックスタンドから怒号の嵐だと思うよ。選手達にその自覚がないから、危機感がない。もちろん協会はそんなものなどかけらも持ち得てないのだが…。試合後、こんな負け方をして笑っている選手なんてサッカーの日本代表には一人もいない。これが現状の日本サッカーとラグビーの決定的な差だと思う。意識の違い。協会も選手も。

今日の結果で間違いなく強化委員も監督も交代だろう。
というか、これで交代しなければ協会はジャパンの未来について何も考えていない、ということだ。徹底的に協会を叩くよ、わたしゃ。
毎日メール送りつづけるよ。
ちゃんとアカウンタビリティを果たさない協会なんて存在する意味がないのだから。
勝った時だけ、試合後、監督がインタビューに答え場内のファンに挨拶するのに、負けると何も答えないというのはどういうことだ??
全く信じられん。なんで応援に来てくれているファンに説明しないのだ?

スカパーのインタビューでは
「このチームは進化してるな。ちょっとしたミスから簡単に点を取られるのが課題」と萩本監督は答えていたが、そんな誰でも分かるようなことを答えてどうするつもりだ?

ナンバーの大友記者の記事も読んだ。
八強委員会で監督交代論を打ち上げた清宮、春口、は解雇。
まったくふざけた協会だ。
これではサッカーと差が開くのは当たり前。自分らの都合の良い方向にしか考えようとしない、無責任体制の強化委員会。こんなスポーツ協会がほかのどこにあるのだろう?  訊いてみたいものだ。
次の試合で全ての体制を一新。本選まであと2年しかない。なんのかんのといわれながら結局世界で一番早くWC出場を決めたジーコジャパンと較べれば目の前が真っ暗になる思いだ。

試合の内容にも少し触れておこう。
じゃないと観戦記じゃなくなっちゃうからね。
アイルランドはしたたかだった。今日の秩父宮は蒸し暑かった。バックスタンドに座っていると肌がじわりと汗ばんでくる。

彼らにとっては今日一番の敵はジャパンよりも今日の気候だったに違いない。もし、後半までもつれるようなことがあれば、アウェーでもある事だし、自分達がばててきて、ひょっとして屈辱の負けさえも有り得ると考えたのじゃないか。だから前半スタートから一気に畳み掛けた。

10分までに2トライで14点差。その後、ジャパンもPGとこぼれ球を上手く浅野がつないで、大畑の独走トライで4点差で折り返した。しかし、前半終了間際のシンビンが余計だった。

敢えて言わせてもらえれば、これは日本のレフェリーがグローバルスタンダードとかけ離れたレフェリングをしているせいだ。
6ネイションズでも、トライネーションズでも、イエローカードは頻繁に出る。同じ反則を繰り返せばすぐシンビンだ。なのにこの極東の地日本では、その民族性故か、甘い。
なかなかイエローカードを出さない。もっと厳しいレフェリングに徹底すべき。ノットテンなどもそう。すぐに10m下る意識を持たなければだめだ。レフェリーの方々、もっともっと厳しい笛を。

そのせいもあって、後半も一人少ないジャパンに対してアイルランドは徹底的に集中した。
またまた10分までに2トライ。これではジャパンは勝てない。結局18対47で完敗。勝てるかも…という感じの全くしない試合展開で、どこにも扉は見えなかった。

選手個人で言えば、やはり立川のディフェンスはダメだね。
学生時代からディフェンスをしない(相手が来たら逃げた事もあったもんね、FBなのに信じられなかった)選手だったけど、少しは良くなったかと思ったが、ジャパンのレベルではない。五郎丸の方がまだましだ。

特に後半35分過ぎジャパン左サイドで三対一という完全に数的には劣勢になりながら、簡単にタックルに行かず、冷静に三人を見極め、パスを受けた選手を指の先1本で何とか捕まえたプレーには執念を感じた。

ビデオで見ると良くわかるけど、あれは本当に良く止めたと思うよ。
後半のトライは大畑のプレーというよりはパーキンソンのパスが見事だった。あれは実質パーキンソンのトライだ。低かったパスを落とさなかった大畑も立派だったけど。フォワードはやはりハードタックラーがいないとダメだ。梶原、中島、ラトゥーの三人に戻ってきてほしいなあ(笑)、あんな三人がバックローにいたらなあ。
とにかくこれで萩本ジャパンは終わりのはず。萩本さん、ご苦労様でした。

そして協会。萩本交代論を唱えた清宮、春口を解雇した協会。
あなた方のほうが間違っているという事がこれではっきりしたのだから、強化体制を含めてもう一度しっかりした指針を示して欲しい。ファンの誰もが納得できるような。
WC招致など大言壮語する前に、そっちが先決である。そして間違っても日比野さんの後釜に酒を飲んで国会に出るような人を会長にさせるようなことだけは止めて欲しい。それこそ日本ラグビー協会のビジョン(下記参照)とは全く異なる暗黒時代の始まりになってしまうのだから。
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1 日本協会の求める理想(ビジョン)
「ラグビー競技を誰からも愛され、親しまれ、楽しめる、人気の高いスポーツにする」

2 日本協会の使命(ミッション)
「日本協会や傘下の各地域協会・支部協会、及び日本全国の全てのチームが繁栄し、全国にラグビー競技を発展させ広めていくことができるような環境を整備すること」

3 日本協会の価値意識(バリュー)
誠実――競技を管轄し、事業活動を執行するに際しては、常に誠実でなければならない。
尊敬――尊敬は競技が発展し成功を収めるための鍵である。ルールに敬意をはらいそれを尊重すること、関係者とファンに対して敬意をはらうこと、競技者に対して敬意を払うこと、すべて共通である。

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