2007/6/17

日本代表対サモア代表


13対3
トライ数1対0
勝てた試合だった。勝たなければいけない試合だった・・・。
私の生まれ故郷は仙台である。大学に入るために上京してから、ちょうど今年で30年経つ。そこで行なわれる初めてのラグビーテストマッチ。「こりゃあ、行かねばなるまい」ということで、実家への帰省も兼ねて、新幹線で仙台へ。
ベガルタ仙台のホームでもあるユアテックッスタジアム。やはりとても綺麗なスタジアムでした。天気も良く、座席もゆったりとして、芝の状態も最高。サッカーの競技場がここまでなったのは、WC招致のお陰。
というよりもJリーグを苦労して立ち上げ、艱難辛苦を乗り越え、サッカーを今や日本の国民的スポーツにしたサッカー協会の努力の賜物である、と言っては言いすぎだろうか。それに比べて、わがラグビー協会は・・・と語り始めるといつものように協会批判になるのでここで留めておこう。

両国国歌の演奏を聞いてたら、思わず涙腺が緩みましたね。
自分のこの30年間の人生 にも勝手に思い入れしてしまったもので(笑)。
30年前、まさか仙台にラグビーのテストマッチを見るために帰ってくるなんて想像もし てなかったから。なーんか、ほんとに走馬灯のように色々な想い出が頭を過ぎりました。 まあ、それはともかく、観客は翌日の河北新報には7900人と記載されていま した。(たぶんあのスタンドは3万人以上は入るのでしょうから、正面とバックは8 割埋まって、ゴール裏は殆んど人がいないという、いつもの風景です)。

でも、結構盛り上がりましたよ。地元紙の河北新報で一面広告を何日か前に掲載してい たので、「どんなものか見にこう」という感じのラグビーお初観客が場内には結構多か ったかな。サッカーではありえない、タックルのあたりの凄さに歓声が沸いていました。 だからこそ勝って欲しかった。
そうすれば今回初めてラグビーを生観戦したであろう人 達がラグビーの醍醐味・面白さを感じてまた来るようになるだろう。そうやって底辺が どんどん拡大し、皆が見るスポーツになれば2015年WCを招致してもおかしくな い。

試合としては、ジャパンは頑張った。
体を張ったタックルで、健闘したと言えば良いの かな。だけどこの日のサモアは私が今まで見た中で一番弱いサモアだった。前週の疲れ が取れないうちに移動で試合。結構簡単なミスが目立った。試合途中、勝てる!!と思 った。でも結果はいつものように…。
やはり第三列が良いと試合が締まる、というかジャパンはかなり戦える。マーシュ、マ キリ、箕内の三人は素晴らしくフィットしていた。

厳しい事を言えば、勝敗を決めたのは、安藤のキックミス。
前半、後半1 本ずつ外したPGはどちらも入れなければならないイージーなものだった。それからタ ッチへ出すはずのキックが切らなかったり、ハイパン相手陣へのキックが、サモアにす れば「待ってました」とも言うべきところへ飛んだり、裏目に出るキックが目立った。
プレッシャーのないところでは名手の彼だが、明らかに精神面が弱い。いまだに忘れら れない3年前のNZU戦でのラスト三連発のPGミス。あの時、僕は思った。彼にはメ ントレが絶対必要だと。このままでは、本番のWCで入るべくもない。
頼むから、お願 いだから、メントレしてくれ。私自身が経験してるから解るのだよ。君がメンタルトレー ニングを受けて、自分が日本一のキッカーだという自信に溢れ、ボールがきれいな弧を 描いてゴールポストのど真ん中を飛んでいくイメージさえ抱ければ本当にそのようにな るはずだよ。まさに「信は力なり」なのだ。だから頼むね、安藤君。

ジャパンのディフェンスはかなり良くなっていたこの試合。
ただ、この時期の仙台にし ては暑くてお互いに後半はかなりばてていた。そこで最後は集中力の勝負、或いは勝負 への執着心の差になるのだ、常に。後半の安藤のPGがしっかり入っていたら流れはジ ャパンのものになっていただろう。それを外したことで、ふと集中力が途切れた。そこ を突かれてトライを奪われ、そのままの流れで僅差の惜敗。残念な試合だった。

WC本 選でもフィジーやカナダとはこのような試合になるだろう。勝利への執着心が強い方が 結果的には勝つ。バックスタンドに挨拶に来たジャパン。LOの大野の悔しく、かつ見 に来てくれた観客に対して「申し訳ない」とでも言いたそうな顔は、彼が東北出身だけ にこの試合の勝敗の重さを感じていた、それが達成できなかったが故に歪んでいるよう に見えた。

ジャパンは明らかに進化している。
しかしながら、WCまであと三ヶ月。あまりにも時 間がなさ過ぎる。エリサルド体制を容認した協会の甘さゆえの「失われた1年」は、必 要以上に大きく圧し掛かってきていると言わざるを得ない。
それでも僕らは信じるしかない。
4年前と同じように、「神様、ジャパンラグビーに奇 跡を!!」なのだ。
次のパシリム最終戦。最大の強敵が待ち構えている。
ジュニア・オールブラックス。一体 何点取られるのか? 寒気がする。それでもラグビーファンは奇跡を、或いは善戦を信じ て秩父宮へ足を運ぶだろう。初めから負けると信じて戦う勝負など存在しない。しかし、 勝てる要素は無に等しい。それでも、WC本選に希望の持てる試合内容を多くのファン の前で見せてくれる事を願ってやまない。ジャパンラグビーを愛している限り。

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