1998/10/31
関東学院大学 VS 流通経済大学

関東学院VS流通経済
148前半1525
1TRY2
0GOAL1
1PG1
0DG0
6後半10
0TRY2
0GOAL0
2PG0
0DG0

狩野(2年)FW友利(4年)
下田(4年)猪狩(4年)
古野(1年)久保木(3年)
川井(3年)中西(2年)
斎藤(2年)和田(2年)
古島(3年)沼尻(2年)
宮下(4年)横山(2年)
山口(1年)市原(4年)
池村(4年)HB後藤(2年)
淵上(3年)加瀬(2年)
矢口(3年)TB田嶋(4年)
萩谷(4年)伊藤(4年)
吉岡(3年)大島(4年)
四宮(2年)岩崎(4年)
萩原(3年)FBニールソン(3年)



時間試合経過得点
5分関東学院、右中間20mPG成功。(オーバーザトップ)3-0
18分関東学院は流経ゴール前まで攻め込み、ラックから左展開。SO淵上選手が走り込み、ディフェンスを交わしてインゴール左隅にトライ。G失敗8-0
23分流経、左中間20mPG成功。(オフサイド)8-3
25分流経は関東学院のキックオフボールをファンブル。関東学院が右オープンに展開したところで流経CTB大島選手がインタ-セプトして独走、関東ディフェンス懸命に戻るが、WTB田嶋選手にパス。そのまま左隅に飛び込み、ノーホイッスルトライ。G失敗。8-8
30分流経は関東陣に入り、右サイドでのラックからサインプレー。最後はCTB大島選手(?)からFBニールソン選手に奇麗にパスが繋がり、中央まで回り込んでトライ。G成功。8-15
前半は関東学院が押し気味に試合を進めるが、勝負どころで流経大の早い出足の前にミスを連発(ボール支配率は、ラインアウトが安定していた関東学院の方が圧倒的に高かった)。スクラムは菅野選手に変わって出場したプロップ久保木選手が強いのか、流経大が押していた。(流経は前の試合の課題をしっかりと修正してきた)ただし、ラインアウトは関東学院がLO斎藤選手を軸にしてほぼパーフェクトなのに比べ、流経は不安定だった。
※ハーフタイムに関東学院の校歌(部歌?)を初めて聞いたが良い歌でした。さすがキリスト教系?
4分関東学院、中央30mPG成功。(オフサイド)11-15
10分流経はハーフウェイライン付近から左オープンに展開。クロスして入ってきたWTB田嶋選手が切れ味鋭い走りで突破。スピードとステップ、コース取りの素晴らしさで関東ディフェンスを振りきって、左中間にトライ。G失敗。11-20
13分関東学院、中央20mPG成功。(オーバーザトップ)14-20
26分流経は関東陣22mライン内でペナルテイをもらうが、狙わずにサインプレー。ゴールライン付近まで攻め込むもターンオーバー。結局ハーフウェイライン付近まで戻され、得点ならず。(この選択が勝敗を分けるのでは?と思ったが・・・)14-20
31分流経は関東陣22mライン内左サイドでペナルティをもらう。タッチキックからマイボールラインアウト。モールを押し込み最後はFL沼尻選手が押え込んで右中間にトライ。G失敗。14-25


感想
大東大を撃破して意気上がる流経大。昨年はリーグ戦グループの秩父宮での開幕戦として行われ、初昇格の流経大が思いも寄らぬ大健闘を見せて流経大ラグビーをファンに認知させた一戦でした。

あれから1年。まさかこんなに早く王者関東学院を破るまでになるとは・・・。
確かに関東学院もFB立川主将を始め、怪我人続出でベストメンバーとはいえません。今日の試合でもノックオンなどのミスが多く目立ちました。ただそれも、流経大のしっかりとしたディフェンスによって引き起こされたミスでもあり、内容自体がそれほどひどかったわけではありません。やはり流経の戦い振りを誉めるべき試合だという気がします。

流経の素晴らしさは何と言ってもディフェンスでしょう。
昨年度、TVKのアナウンサーが試合前に渡辺主将(現伊勢丹)に取材した時、
TVK:「『明治はFWを基点として前へ』ですよね。
      『早稲田はBKで揺さ振りで横』ですよね」
      「流経大のチームカラーは?」
渡辺主将:「・・・・・タックルです」
      「ウチはアタックはありません。タックルしかしません」
という笑い話がありますが、まったくその言葉通りのタックル(ディフェンス)の素晴らしさは今期も見事に受け継がれているようです。

集中力とランニングフィットネスの高さにも驚かせられます。攻守の切り替えが素早く、チャンスと見ると、右サイドだろうが左サイドだろうが、あっという間にラインが形成され、フィフティーン全員が攻撃の形を取ります(このあたりは昨年度の関東学院を思い起こさせます)。しっかり意思統一され、なおかつそれを実行できるだけの選手個々のフィットネス能力なしにはそうそうできるものではありません。

スポーツ紙によれば、流経は毎日早朝約一時間、ボールを全く使わずに陸上選手並のメニューをこなしているそうです。その練習の成果が見事に実を結んだ試合と言えるでしょう。

課題のスクラムは関東学院の弱さにも助けられたこともあるでしょうが、今日は見事に修正されていました。逆にラインアウトは後半やや持ち直したものの不安定。現代ラグビーではマイボールラインアウトを確実にキープすることが不可欠なだけに、今後の試合(特に一発勝負の大学選手権)ではどう立て直してくるのか見モノでもあります。

リーグ戦グループでは3年ぶりともなるまさかの敗戦を喫した関東学院。FB立川主将やスクラムの要プロップの久富選手など主力選手を怪我で欠き、万全の態勢とは言えませんでした。しかし彼らの目標は遥か先の大学選手権二連覇のはず。東芝府中も昨年度の東日本リーグではサントリー戦での敗北を糧としてその後の連覇に繋げました。関東学院もこの敗戦をクスリとして、主力選手が復帰してくる頃には王者の風格を取り戻してくるのではないでしょうか?

選手では再三素晴らしい走りをしていた流経WTBの田嶋選手が目に付きました。ロックの中西選手も運動量が豊富でボールのあるところ常に彼の姿が見られました。SOの加瀬選手は正確なキック(プレースキックを除く(^_^;))と冷静な状況判断でしばしばピンチをチャンスに変えていました。FBのニールソン選手は毎度毎度の攻守に渡っての素晴らしい活躍。これに満足せずに貪欲に上を目指して欲しい選手です。復帰した途端に大東文化、関東学院に連勝するようになった伊藤主将のキャプテンシーも忘れてはなりません。

とにかくグラウンドを一杯に使った流経のランニングラグビーはここしばらく忘れていたラグビーを見る楽しさを思い出させてくれました。
この調子を維持できれば、流経大が国立の晴れ舞台を踏む日は思いのほか早く来るのかもしれません。

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