1999/5/22
パシフィックリム選手権
日本代表 VS サモア代表


日本VSサモア
3714前半2034
2TRY2
2GOAL2
0PG2
0DG0
23後半14
2TRY1
2GOAL0
3PG3
0DG0


長谷川(サントリー 27)FW ファイバイ(29)
薫田(東芝府中 32) レオタ(24)
中村(サントリー  30) パラアモ(22)
ゴードン(東芝府中 33)タアラ(25)
大久保(サントリー 23) トネ(28)
伊藤(神戸製鋼 24) ティピィ(24)
スミス(豊田自動織機 30) グレンデニング(26)
ジョセフ(サニックス 29)ラム(30)
バショップ(サニックス  31)HBフィレム(24)
広瀬(トヨタ自動車 26) バショップ(33)
ツイドラキ(トヨタ自動車 29)TB トアラ(25)
元木(神戸製鋼 27) バエガ(33)
マコーミック(東芝府中 32) レアウペペ(24)
大畑(神戸製鋼 23) ココ(25)
平尾(三菱自工京都 23)FB レアエガ(24)

途中交代(日本)
平尾→沢木(15分)
長谷川→中道(30分)
ゴードン→田沼(70分)
大久保→桜庭(70分)


時間試合経過得点
4分サモア、中央20mPG成功。(オフサイド)0-3
8分サモア、中央20mPG成功。(ハンド)0-6
25分日本はサモアG前右サイドでのラインアウトから、モールを押し込み、最後はFL伊藤が飛び込んで右隅にトライ。G成功。7-6
33分サモア陣で、日本がラックから出したボールをSHバショップがパスの相手を捜しているうちにノックオン。サモアはすかさずそのボールをつなぎ、右WTBココが独走。右隅にトライ。G成功。7-13
38分サモアは、日本陣で連続して縦突進。大きくゲインしてから右に展開。SOから右WTBココにボールが回り右隅に飛び込んでトライ。G成功。7-20
43分日本は、サモアのドロップアウトのボールをキープして、FLスミスが突破。左サイドでのラックから大きく右に展開。広瀬、元木、大畑と素速いパスが綺麗に通り、大畑が三人のディフェンスを振り切り、右隅にトライ。G成功。14-20
HALF TIME
2分日本、中央20mPG成功。(オフサイド)17-20
5分サモア、中央25mPG成功。(ノットリリースザボール)17-23
12分日本、左隅25mPG成功。(オフサイド)20-23
15分日本、中央35mPG成功で同点。(オフサイド)23-23
18分サモア、中央20mPG成功。(インテンショナルノックオン)
23-26
28分サモアは、自陣でペナルティを得ると、素速いリスタートでSHが日本ディフェンスをステップで交わして大きくゲイン。日本陣22mライン中央付近でインゴールにゴロキックを蹴り込み、フォローした左WTBが左隅でそのボールを押さえてトライ。G失敗。23-31
32分日本は、自陣から連続攻撃。サモア陣22mライン内でのラックから、マコーミック、スミス、元木、ツイドラキとつないでツイドラキが左隅に飛び込んでトライ。G成功。30-31
37分サモア、中央22mPG成功。(オフサイド)30-34
44分日本はサモア陣Gライン付近までゲイン。再三ペナルティを得ると、フォワードで連続してサイド攻撃。最後はNO8ジョセフがラックサイドに飛び込み、ゴールポスト左にトライ。G成功。37-34


感想

当日はゴルフの用があり、生中継が見られないので、夜10時からのスカパーの中継をライブ気分で観戦しようと思っていたのです。
ところが、18ホールをプレーし終わり、クラブハウスに引き上げてきたのが3時15分頃。魔が差したというか何というか、(確かフジテレビの録画中継は3時からのはず。始まったばかりだから、ちょっとだけ見てみようか)と思って、ついつい競馬放送を流していたハウスのテレビチャンネルを無理矢理フジテレビの8に回してしまいました(笑)。

すると、いきなり広瀬選手のアップ。ほぼ正面からのキックをしっかり決めるシーンが。何故か広瀬選手、とてもうれしそうな表情?
(何対何だろう?)
その後に入ったテロップでは、何と「37-34」!
しまった、ひょっとして終盤なのか!とあわててテレビのスイッチを切りました。
うー、テレビのチャンネルを回さなければ…。
それでも、帰宅して10時からのスカパーを見るのがどんなに待ち遠しかったことか。
最後、ジョセフ選手のトライの時は胸が熱くなりました。
結局、ゴルフ場で見た広瀬選手のキックが最後の得点シーンだったのですね。

いくら、トンガやカナダを破ったとはいっても、さすがにサモアはさらに格上。何とか善戦さえしてくれれば、と思っていました。
IBMのワールドランキングでは、サモアはウェールズより上で7位。ウェールズは9位。カナダが11位でアルゼンチンが12位。先日勝利を治めたトンガが14位。日本はカナダ戦、トンガ戦の連勝でなんとか16位に順位を上げたばかりなのです。
(ちなみにサモア戦の勝利で、また一つルーマニアを抜いて15位に上がるようです)

ランキングでは数段上のサモアをまさか破るとは。
スカパー観戦後、素直に喜びたい気持ちもやまやまだったのですが、試合の感動と離れ、まず今回のメンバーがどの程度のものなのか?を冷静に検証してみたいと思いました。

比較対象は昨年9月のワールドカップ太平洋地区最終予選。
対フィジー、トンガ、オーストラリアのいずれかの試合にスタメンで出場していたのは、
PRファイバイが、トンガ戦とフィジー戦。
HOレオタが三戦すべて。
PRパラアモも三戦すべて。
LOタアラがトンガ戦とフィジー戦。
LOトネは三戦すべて。
FLテイピはオーストラリア戦。
FLグレンデニングが初キャップ。
NO8ラムは三戦すべて。
SHフィレムは出場なし。
SOバショップはトンガ戦とフィジー戦。
WTBトアラはフィジー戦。
CTBバエガはオーストラリア戦。
CTBレアウペペはトンガ戦とオーストラリア戦。
WTBココは初キャップ。
FBレアエガは出場なし。
昨秋破ったアルゼンチンとは違って、かなりのメンバーが最終予選に出場しています。

今回不出場ながら、本体会で出てくると思われるのは、前回のワールドカップで活躍したお馴染みのWTBツイガマラ、同じくWTBリマ、FBウマガ。FWではバラモアあたりですが、こうして見ると、その4人を除けばほとんどベストに近いメンバーのようです(その4人が凄いという説もありますが…)。
あらためてこの日の勝利の価値に気づきました。

続き

世界で一番暑い国、日本。
この日、東京と同様、花園もかなりの暑さだったようです。
試合途中から選手の肌を滝のようにしたたり落ちる汗がそれを物語っていました。
南太平洋から来たサモアの選手は、一般的に暑さに強いと思われがちですが、日本の暑さ(特に異常な湿度)というのは彼らの想像を越えていたかもしれません。

初めてハワイに行った時思ったのですが、陽射しは確かに日本と比べものにならないほど強烈でも、皮膚感覚としては日本の蒸し暑さの方が上でした。マラソンなどで来日するアフリカのランナーにも、日本の蒸し暑さは半端じゃないなどという発言をする選手がいるくらいですから。

真夏に、ビルや住宅などの大量のクーラー使用による排熱で引き起こされる、猛烈な気温の上昇と高い湿度。そこで暮らす日本人は、今や世界で一番暑い場所で生き抜いているのかもしれません。(暑いと言われる国へ行って、そう感じたことありませんか?)
それに加え、久しぶりのテストマッチ(昨年のワールドカップ予選以来?)ということで、コンビネーションもいまひとつだったようです。
サモアの本当の力はまだまだこんなものではないはずです。

長谷川、薫田、中村の第一列でもスクラムは押される。
第二回ワールドカップのスコットランド戦のスクラムを思い出しました。
当時、スクラムの押しだけなら世界と互角に渡り合えると信じられていた太田、藤田、田倉の第一列。前半半ば、ジャパンのチャンスと思われたスコットランド陣22mライン付近でのマイボールスクラム。その前に快勝した秩父宮の試合でスクラムが優勢だったこともあって、しっかりキープし素速くオープンに展開するはずでした。

ところが、スコットランドがここ一番でもの凄い集中力を発揮。逆に押しこまれ、ボールを奪われてしまったのです。このときの様子を第一列の誰かが、「これが世界の底力だというのを身をもって知った」とラグビーマガジンで語っていました。

肉食人種と草食人種? 或いは民族の違い? はたまた精神構造の違い? 何が原因か良くわかりませんが、スポーツの世界では往々にしてあることです。ワールドカップの檜舞台でも、彼らは力以上のものを発揮するかもしれません。
『ジャパンのスクラムは安定している』などとはまだまだ口が裂けても言えないようです。

勝ち方を知っている二人のニュージーランダー。
今までのジャパンなら後半35分のトライで切れていたところ。あの後、集中力を失わずに逆転につなげたことで、本当にジャパンが強くなってきているのだな、と感じました。
逆転した後、終了間際のマイボールスクラムスクラムの時、徹底してダイレクトタッチを蹴るバショップ選手の姿には、彼の勝負に対する哲学を垣間見ました。
日本の選手なら、あそこまで徹底できたかどうか?
どんなに素晴らしい試合をしようと、負けてしまってはすべては水の泡。「勝つこと」が如何に大切かを身にしみて知っている、二人のニュージーランダーの加入はジャパンに非常に良い波及効果を与えつつあります。

どうなるジャパンのフルバック?
立川故障。松田故障。平尾故障。
タダでさえ層が薄く(候補はたくさんいますが、それぞれ帯に短し襷に長し)、不安視されているフルバック。相次ぐ故障でますます悲惨な状態に近づきつつあります。それほど重傷ではない選手もいますが、残り4ヶ月ほどになった今、ジャパンの一番の泣きどころでしょう。

巷では評価の高いニールソン選手(私も好きな選手の1人ですが)の抜擢も考えられますが、恐らくその可能性はかなり低いでしょう。何故なら平尾監督自身が「個人的には外国人選手の起用はせいぜい3分の1程度が望ましいと思う」と発言しているからです。この発言は、まだジョセフ、バショップを起用する前のもの。彼らを中心として動いている今となってはもう限界を超えています。この段階では、敢えてフルバックに日本陣以外の選手起用に踏み切ることは無いと思われます。ニールソン選手にとっては非常に残念なことですが。

増保選手のフルバック起用も捨て切れません。大畑、ツイドラキが絶好調の今、増穂選手がはじき出された格好になっていますが、ディフェンス力では増保選手が一番。
リザーブにしておくのはもったいない。攻撃力のある選手と入れ替えでの起用が面白そうですが。

パシリム優勝を目指すのか? ワールドカップに向けて若手を試すのか?
まさかの三連勝。これでパシリム優勝の目も出てきました。
本来ならアウェーのフィジー戦とアメリカ戦はこれまで出場のなかった若手選手を起用して経験を積ませる予定だったと思うのですが、ここまで来た以上そんなことは言ってられません。
兎に角、優勝目指してまっしぐら。全力でベストメンバーで残りの二試合を戦う方向になるでしょう。もし優勝できれば、選手にとっても、スタッフにとっても、これ以上ない財産になるはずですから。

ただし、ワールドカップ本大会の事を考えれば、これは痛し痒し。
怪我人が相次ぎ、控えの選手に大きな期待が掛かったとき、経験の浅さがどうでるのか?微妙なところかもしれません。

(フィジー戦の結果を見ると、予想通りの方向に向かいそうです。時間が経ちすぎたので、中途半端ですが、フィジー戦の観戦記で、また感想を述べたいと思います)ゴメンナサイ。


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