1999/10/30
ワールドカップ 準決勝
オーストラリア VS 南アフリカ

オーストラリアVS南アフリカ
2712前半621
0TRY0
0GOAL0
4PG2
0DG0
6後半12
0TRY0
0GOAL0
2PG3
0DG1
18
18
3延長前半3
0TRY0
0GOAL0
1PG1
0DG0
6延長後半0
0TRY0
0GOAL0
1PG0
1DG0


時間試合経過得点
4分南アSOデビアーが中央52mPG失敗。0-0
5分オーストラリア、自陣からターンオーバーでCTBホランが大きくゲイン、南アゴールに迫る。0-0
6分オーストラリア、南アゴール前ラインアウトから右展開。SOラーカムがDG狙うも外れる。0-0
8分オーストラリアFBバーク、左中間25mPG失敗。0-0
10分南アSOデビアー、中央25mPG失敗。0-0
12分オーストラリア、左中間15mPG成功。(オフサイド)3-0
20分南アSOデビアー、中央35mDG失敗。(場内のイングランドファンからブーイング)3-0
22分 オーストラリア、自陣からCTBホランが鋭く抜けて南ア22m陣へ。ラックから右に展開したとき、南アの選手に当たり、オフサイド。
FBバーク右中間20mPG成功。
6-0
25分南アSOデビアー、中央40mPG成功。(オーバーザトップ)6-3
27分オーストラリアFBバーク、35mPG成功。(ノットリリースザボール)9-3
37分南アSOデビアー、左中間35mPG成功。(オフサイド)9-6
42分オーストラリアFBバーク、中央25mPg成功。(オフサイド)12-6
HALF TIME
4分南アSOデビアー、左中間35mPG成功。(オフサイド)12-9
7分オーストラリアFBバーク、中央48mPG失敗。12-9
12分南アSOデビアー、左中間30mDG成功。同点12-12
18分南アSOデビアー、DG失敗。12-12
23分南アフリカはハーフライン付近からCTBフレックが抜けて、22m陣内へ入るもパスが繋がらず。12-12
26分オーストラリアFBバーク、中央20mPG成功。(オフサイド)15-12
32分オーストラリアは南アフリカ陣で2分以上に渡る連続攻撃(ちなみに計ったらフェイズ18)で、南アフリカゴール前に迫る。SHグレーガンが飛び込むも届かず、ノットリリースザボールと判定される。グレーガンを止めたのはSHファンデルベストハイゼン。15-12
36分オーストラリアはCTBホランが抜けて大きくゲイン。ファンデルベストハイゼンの厳しいタックルを受けるが、ボールをつないで南アフリカのオフサイドを誘う。オーストラリアFBバーク、中央15mPG成功。18-12
38分南アSOデビアー、中央25mPG成功。(ハンド)18-15
45分南アSOデビアー、右中間40mPG成功。(外せば負けのプレッシャーの中、きっちり決めて延長突入)18-18
延長前半
3分南アSOデビアー、中央25mPG成功。(オフサイド)この試合初めて南アフリカがリードを奪う。18-21
6分オーストラリアFBバーク、右中間15mPG成功。(オフサイド)同点に。21-21
延長後半
3分オーストラリアSOラーカム、中央48mDG成功。24-21
7分オーストラリアFBバーク、右中間45mPG成功。(オフサイド)27-21


感想

結果的には双方ノートライながらも、互いに死力を尽くし、持てる力のすべてを発揮した壮絶な死闘だった。

これこそがラグビー。
この両チームの素晴らしい集中力、高いスキルの前には陳腐なトライなど簡単に吹き飛んでしまう。トライがラグビーの醍醐味なのは確かだろうが、トライシーンがなくてもこれだけ感動させられる、圧倒される試合を見せてくれる世界のラグビーのレベルの高さ、そして面白さ。

感激すると同時に、国内のラグビーを頭に浮かべると、絶望にも似た感情にとらわれるのは私だけだろうか?これは全く違うものではないのか?本当に日本が世界のレベルで戦うためには、根本的な何かを変えることから始めなければ到底追いつかない。そんな気がする・・・。

前半はオーストラリアペース。
何度かバックスラインが大きくゲインを切る場面を見せる。特に前々回優勝の立役者であるベテランCTBホランが獅子奮迅の働き。切れ味鋭いステップで、再三南アフリカ防御網を突破。FBバークもトライネーションズの不調から脱出してようやく本領を発揮し、攻撃にディフェンスに活躍。それでも南アフリカの世界最強ディフェンスはトライを許さない。このレベルではG前22mラインの内側に入ってからが本当の勝負の始まりだ。

南アフリカは準々決勝で1試合5DGの世界新記録を樹立したSOデビアーが虎視眈々とそのチャンスをうかがうが、オーストラリアは早い出足でデビアーにプレッシャーを掛け、その脚を封じ込める。すると、その早い出足を察知したSHフェンデルベストハイゼンは、一瞬、鋭いパスダミーでサイドを突破。オーストラリアゴール前に迫るが、オーストラリアも隙のないディフェンスで守りきる。

後半は南アフリカが先にペースをつかむ。
後半12分、ようやくデビアーがこの試合始めてDGを決めて同点に。しかし、そこからの攻防も一進一退。唯一トライチャンスと思えたのが、後半32分頃のオーストラリアの連続攻撃。守る南アフリカのディフェンスも決して切れずに、攻めるオーストラリアもミスを犯すことなく、延々と続く波状攻撃。数えると最後のグレーガンのゴールラインへの飛び込みが18回目の連続攻撃(!!)で、この攻撃の所要時間は何と2分10秒。いったい国内でこれほど長い攻撃を見たことがあるだろうか?

36分にバークがPGを決め、6点差になった段階でオーストラリア有利かと思われたが、南アフリカもしぶとい。残り時間で2つのPGを決めて同点にし、今大会初の延長戦に突入。特にノーサイド間際の最後のPGは、雨風の強いかなり難しいコンディションとプレッシャーの中だっただけに、きっちりと決めたデビアーの精神力には感心させられる。

結局、試合を決めたのは延長後半、オーストラリアSOラーカムのハーフウェイライン付近からの48mDG。デビアーのお株を奪う見事なキックで、キックを決めた後のラーカムの笑顔が印象的だった。

全体的にはオーストラリアの方に決め手が目立った。
南アフリカは、前大会と同様に鉄壁のディフェンスから相手の人数を減らし、ターンオーバーに持ちこみ、攻撃に転ずる、という戦い方にあまり変わりはなく、その決定力の差が勝敗を左右したように思える。

いずれにせよ、延長戦まで入っても両チームの凄まじいまでのスタミナは衰えることなく、気の抜けたプレー、安易なプレー、単純なミスのほとんどない、感動的な試合だった。第一回大会の準決勝『フランス対オーストラリア』戦を優に凌ぐ、歴史に残る名勝負といえる。

キック処理、自らのキックのチェイス、タックル、そしてライン参加、と何度となく画面上に登場したオーストラリア・バークと南アフリカ・モンゴメリーの両FBのこの試合での運動量(走った距離)は、恐らく、100年以上に渡る今までのラグビー史の中でも、最大のものになったのではなかろうか?(もし万歩計でもつけていれば、日本のラグビーでは考えられないようなものすごい数値になっていると思う(~_~;)。 あ、でも歩幅が違うか・・・)

MAIN