1999/12/5
関東大学対抗戦
早稲田大学 VS 明治大学
早稲田VS明 治
103前半2027
0TRY2
0GOAL2
1PG2
0DG0
7後半7
1TRY1
1GOAL1
0PG0
0DG0



感 想
両校とも対抗戦の覇権を握る夢が破れたせいか、国立競技場にはかなりの空席が目立つ状況ながらも、やはり早明戦。
圧倒的に早稲田有利の下馬評のなか、(そうは見ない見識の高い方々もたくさんいましたが)予想に反して明治の完勝。
これだから学生ラグビーはわかりません。

明治がこの日のようなラグビーをできるとは思っていませんでした。攻められても攻められてもゴールラインを背にひたすらタックルを浴びせ、守りきり、一瞬のチャンスを生かしてトライを奪う。例年の早明戦とはまったく逆のパターンでした。センター陣や第三列の懸命なディフェンスは、今までのチームカラーからは想像も出来ない悲壮感さえ漂い、感動的でした。HO滝沢君の復帰と、川上、阮、齊藤の第三列が完全復活したことが大きく、また連敗の危機感が明治を変えたようです。

早稲田は、やや意識過剰。三年間負けつづけた四年生にとって「今年こそ!!」の意識が強すぎたのではないでしょうか?
油断も少しあったかもしれません。明治ペースの試合展開に飲まれ、やや受身になってしまったようにも見うけられました。

早稲田に言わせれば、クイック攻撃の時、あれだけ明治に意図的なノットテンをやられれば、"クイック&ワイド"が仕掛けられないという言い分もあるでしょう(SHの辻君がかなり下井レフェリーにアピールしていました)。
そのあたりはやはりレフェリングの問題。

相手の速攻を封じるために、意図的に"ノットテン"をするのは、非常に悪質なプレーです。選手たちのフィットネス向上の妨げにもなります。
ワールドカップであのように意図的に同じ反則を繰り返せば、おそらく退場者まで出るはずです。これは下井レフェリーに限らず日本のレフェリー全員に言える事ですが、"ノットテンメートルの反則の繰り返し"に対してはもう少し毅然とした態度で臨んで欲しいと思います。

それともう1つ。パイルアップの判断が早すぎるのではないでしょうか?
今のままでは、"先に寝こんだもの勝ち"、或いは"先に倒れこんだもの勝ち"みたいな状態です(早稲田が、明治が、という問題ではなく)。世界と逆行しているようにしか見えません。

たとえば、どこでも良いですが強豪国のアンダー21かなんかのチームを呼んで日本の大学チームと試合をさせたら、おそらく日本の選手はみんなボコボコに蹴られるはずです。そして日本のレフェリーは、蹴った選手の方の反則を取るでしょう。これでは、日本のラグビーは、ますますグローバルスタンダードからかけ離れたものになっていきます。

大学選手権や全国社会人大会が始まる前に、もう一度"倒れこみ"や"ノットテンメートル"に対して厳しいレフェリングを徹底する旨を各チームに通達した方が良いのではないでしょうか?ワールドカップだって開催3日前にサポーティングの認識を敢然と変えたのですから。

まあ、レフェリングの事を書きましたが、もちろん今日の早稲田の敗戦はレフェリーの問題ではありません。
早慶戦では良くなっていたように見えた福田君のパスも精度が乱れ、緩くて浮き気味。パスを受けた選手は、あわれ明治のハードタックルの絶好の餌食に。ハイパントの精度も相変わらず悪く、こちらの修正もまだまだでした。攻めこんでのラックではフォワードのフォローが遅れ、明治にターンオーバーを許す事がしばしば。SH辻君のパスもぶれ、ラインアウトもキープできず、ノックオン、スローフォワード。唯一見どころがあったのがWTB山下君の走りだけ(それもトライを取った場面だけ)。これでは試合になりません。

さて、この敗戦をどう見れば良いのでしょうか?
まだ見限るには早いような気がします。昨年も同じように日体大相手に無残な敗北を喫しながら、大学選手権では、まさかまさかで法政に快勝。分析力では大学NO1といえるコーチ陣が大学選手権に向けてどんな秘策を練ってくるのか?「ディフェンスが話にならないほどお粗末」という昨年や一昨年とは違う状態だけに、かすかな望みはあるような気がします。

ところが大学選手権の対戦カードを見ると・・・。
この敗戦のおかげで対抗戦4位になった(得失点で明治とわずか一点差)早稲田の1回戦の相手は何とリーグ戦2位の流経大。これは相当厳しい。例年なら一回戦を復活のステップに、持ち直していく光景は想像できるのですが、いきなり流経大では苦し過ぎます。

運良く勝ったとしても、その後に予想される対戦相手は、同志社、慶応、そして関東学院。もういばらの道どころではありません。炎の燃え盛る火の海に、素っ裸で飛び込んで行くようなものです。(ただし、逆に流経戦を乗りきれば優勝するような気も、ほんの僅かながらしています。まったくの勘ですが)

"早慶の決勝戦"という私の予想は無残にも崩壊しました。ワールドカップ予想を筆頭に、今年はものの見事に外れまくっています。厄年だからかなあ・・・。

明治の方はこれで3位に。一回戦の京産大は間違いなく突破するでしょうが、勝てば二回戦の相手は王者関東学院。私の見るところ、現時点で明治が関東学院に勝てる確率は20%程度。まだまだ力の差があります。法政に負けたといっても、あの敗戦は、ややモチベーションが下がり気味だった関東学院にとって逆に良い薬になったはずです。

明治が今日の早明戦のような魂のタックルを再び炸裂させられるのか?そのあたりが明治対関東学院戦の見所になりそうです。
なお大学選手権の予想は近日掲載予定です。


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