1998/1/11
トヨタ自動車 VS 三洋電機
【全国社会人大会トーナメント三位決定戦】


ト ヨ タ 13-17 三洋電機
34-0
47 1 T 3 17
5 0
1 G 1
3 0
2 PG 0
1 0
0 DG 0
0 0

木村(大体大) FW 祝田(都城高)
三輪(大東大) 久米(東洋大)
高橋(大体大) 阿部(帝京大)
椎村(龍谷大) 岩津(大体大)
金城(大体大)  島田(東洋大)
石井(三好高) セミシ(SC高)
上野(大体大) 古田(国士館大)
バシャロ(ナドロガ高) シナリ・ラトゥ(大東大)
大原(大体大) HB 堀越(早 大)
広瀬(京産大) バニポラ(トンガ高)
ツイドラキ(CP大) TB 小林(国士大)
大藪(龍谷大) 吉田(大体大)
勝野(日体大) 米本(国士館大)
仙波(関東学大) 木川(山梨学大)
曽我部(立命館大) FB 藤田(新田高)



ワールドカップなら三位決定戦といってもお互いに目標を失った者同士、締まらない試合になるのでしょうが、この試合に勝てば日本選手権で雪辱する機会も生まれるとあって、両チームともなかなかハードな戦いを見せてくれました。

まずは前半5分。トヨタがゴール前のラックから左展開。余ったFB曽我部選手がインゴールに飛び込み、トライを奪います。11分にも三洋陣でのモールから仙波選手が突破すると三洋がたまらずゴール前でオフサイド。このペナルティゴールを広瀬選手が確実に決めて10-0。15分にも再び右中間30mのペナルティを決めて13-0と差が広がります。

20分頃からようやく三洋も反撃に転じ、ゴール前にセミシ選手がボールを持って突破しますが、トヨタもバシャロ選手の猛タックルなどで凌ぎます。然しこの後で得たペナルティに三洋はスクラムを選択。このスクラムを猛然と押し込み、左隅にトライを奪い5点を返します。26分にも、連続攻撃からゴール前まで攻め込みトライかと思われましたが、最後のパスがスローフォワードで得点ならず。それでも、36分にゴール前スクラムから、神戸製鋼戦でも威力を発揮したラトゥ選手からバニポラ選手への必殺パス。タックルに来た選手を引きずりながらインゴールに押え込み、13-10。

ロスタイムにも22mライン付近からセミシ選手がタテを突いてラックの後、またまたバニポラ選手がディフェンスのギャップを上手く読んでタックルを振り切り、ゴール右下にトライを奪います。ゴールも決まり17-13と三洋が逆転して前半終了になります。

バニポラ選手は体は小さいのですが、頑強な上半身、柔らかい身のこなしに加え、ハンドオフの時の腕の使い方が非常に上手いので、相手のタックルをいとも簡単にすり抜けていきます。日本の選手にも見習って欲しいところです。

後半に入るとトヨタが再び攻勢に転じます。
4分、三洋のノットリリースザボールで得た左中間25mのペナルティゴールを決めて、17-16。13分には三洋の反則で得たペナルティキックからのマイボールラインアウトを起点にラックを連取。ロックの椎村選手が右中間にトライ、ゴールも決まり23-17と再逆転。17分にはモールを押し込んでから左展開、最後は勝野選手からボールをもらったツイドラキ選手が左隅に飛び込み、28-17。

対する三洋も29分頃に反撃、ラックを連取しますが、22m付近まで攻め込んだところでターンオーバー、ボールをトヨタに奪われてしまいます。トヨタがこのボールをすかさずオープンに回すと、陣形が整わない三洋はツイドラキ選手に50m以上の独走を許し、左隅にトライを奪われます。これで33-17となりましたが、残り時間はまだ10分以上もあり、まだ三洋再々逆転の目もありました。しかし三洋はこの後も攻め込んではミスの繰り返し。肝心なところで度々反則を犯して得点に結び付けることができません。

結局38分に、ここまで良くマークして抑えていた仙波選手に右中間を突破されてトライを奪われ万事休す。トヨタはロスタイムにも右ライン際をツイドラキ選手とオト選手が突破し、最後は仙波選手から勝野選手とつないで今日六個目のトライ。後半、 三洋は無得点に抑えられ、最終スコアは47-17と30点の大差がつきました。

両者の力はほぼ互角だったと思うのですが、勝敗を分けたのはやはり三洋の反則の多さ。フォワードのパワーで攻め込んでも、いざという時に無駄な反則を犯してペースをつかめませんでした。永遠に『万年優勝候補』のままで良いのならともかく、真に勝利の栄冠を勝ち取るためには「反則に対する意識の徹底」というのが必要なのではないでしょうか?

去年のことも敢えて言わせてもらえれば、大事な決勝戦で退場になったセミィ選手。それまでにもさんざん危険なタックルやラフ(に見られる?)プレーを繰り返し、問題になっていたはず。あんな事になる前に、監督や指導者、コーチ、チームメイトがしっかりとアドバイスすべきだったのだと思います。

明るいおおらかなチームカラーも大事ですが、そのことと試合内容は別のはず。来年は全く反則をしないような三洋電機のプレーが見られることを願います。

勝ったトヨタ自動車。
今日目立ったのはフランカーの石井選手。サイド突破などで非常に良い仕事をしていました。広瀬選手のキックも今日は効果的に作用、フォワードと上手く噛み合っていたようです。仙波選手もさすがに人に強いところを度々見せてくれました。

これでトヨタ自動車は学生NO1の関東学院と対戦することになりました。
この試合後、昨日の激戦の後とは思えないさわやかな顔をした関東学院の主将箕内選手を見かけました。臆することなく良いラグビーを見せて欲しいとは思いますが、個々の力ではやはりトヨタが数段上。順当なら優に30点差以上つくのかもしれません。ただ関東学院にすれば強力フォワードでガチガチ来る三洋よりは、トヨタの方が戦いやすいはず。どこまで接戦に持ち込めるのか見モノです。

トヨタの問題は恐らくは明治を破って勝ち上がってくる次のサントリー戦。東芝対サントリーの決勝戦を見た限りでは、総合力でやはりサントリー有利という気がしますが・・・。
Main