1998/2/11
日本選抜 VS A C T








日本選抜
10-26
A C T
24-7
34
2
T
4
33
4
1
0
G
3
2
1
0
PG
0
0
0
0
DG
0
0
0

中道(神戸製鋼)
FW
ジャリル (26才)
坂田(サントリー)
ポール(20才)
小口(リコー)
モア(26才)
 桜庭(新日鉄釜石)
フィネガン(25才 C14)
星川(サントリー)
ハリソン(23才)
中村(東京ガス)
プレンティー(22才)
スミス(豊田自動織機)
フェヌキタウ(25才)
トンプソン(NEC)
ジャックス(25才)
堀越(神戸製鋼)
HB
コーディングリー(21才)
岩淵(青山学院大学)
ノックス(34才 C13)
ツイドラキ(トヨタ自動車)
TB
ロフ(22才 C25)
元木(神戸製鋼)
ケーファー(26才 )
マコーミック(東芝府中)
マグロー(26才)
大畑(京都産業大学)
ハーディ(26才 C5)
ミルン(鐘淵化学)
FB
モートロック(20才)



開始早々、日本はボールを連続支配、ACT陣で得たペナルティを素早く展開、マコーミックからボールをもらった岩淵が右サイドのギャップを突いて、最後は大畑が右隅にトライ。あまりにも鮮やかな先制トライに「今日は結構いけるのでは?」という期待感が生まれます。

しかし、ACTは12分にモールラックを連取、WTBのロフが抜けてトライを奪って5-5の同点にすると、ここからは独壇場。
16分にはCTBのケイファーが日本ディフェンス陣を難なく抜けて、中央にトライ。
20分には、CTBが抜けると右WTBハーデイがフォロー、右中間にトライ。
22分に、自陣からボールを繋ぎ、最後はロフがトライ。
10分間で立て続けに4個のトライを奪い、一気に26-5と点差が開いてしまいます。

「やはり力の差があるのか・・・」という諦めに似た気分が漂い始めます。それでも日本も35分に、ACTゴール前でボールを連取。左サイドに大きなスペースを作って展開。最後にボールをもらったミルンが相手ディフェンスを引きずりながら、左隅にトライを奪い、26-10と何とか格好のつく点差で前半終了となります。

後半2分、自陣から相手ディフェンスの薄いところを見つけて展開すると、スミスが良いスピードで抜けて岩淵がフォロー、ラストパスが鮮やかにツイドラキに通って、左中間に飛び込み、ゴールも決まり、26-17となります。8分には、中村とスミスが力強い突破で大きくゲイン。素早いフォワードの集りで、モールを形成し、そのまま押し込みトンプソンがトライ、26-22とワントライ差に。ここから約20分間は、両チームのディフェンス合戦。お互いに踏ん張ってトライを許しません。次のトライをどちらが取るかが勝負の分かれ目でした。
そして28分、ACT陣に攻め込んだ日本は22m付近でのモールから、ミルンがどこをどう走ったのか、あっという間にサイドを走り抜け、ACTディフェンスを振り切り、中央にトライ、当然ゴールも決まり、29-26とついに逆転に成功します。

と、ここまでは良くある試合。まだまだ3点差。途中リードを奪いながら、結局最後にトライを奪われて負けるのが、日本お得意のパターンなので、この時点で日本の勝利を確信する観客は誰もいなかったでしょう。然し31分、攻め込まれた日本が自陣22m付近のラックをターンオーバー。すかさず左に回して、トンプソンがうまく抜け出します。ツイドラキがボールを受けると、左ライン際を快走。最後はゴロのキックをゴール付近に蹴り込み自分で押さえ込み、左隅にトライ。ゴールこそ外したものの34-26と差を広げます。

この後、勝利を意識したのか、これまでバックスに展開した場面では殆どキックに頼らなかった日本が、自陣10mライン付近でボールを受けた元木が相手陣のタッチを狙ったキック。これがミスキックでACTのゴールラインを割ってしまい、蹴った地点での相手ボールスクラムになってしまいます。非常に嫌な予感がしたのですが、この時間帯の攻防も何とか凌いで、結局ロスタイムに入ってからディフェンスが破綻しトライを奪われましたが、34-33で鮮やかな勝利を治めました。

先日の関東選抜戦を見た限りでは、まさか日本選抜が勝つとは思っていなかったのが正直なところ。
やはり徹底した意思統一とモチベーションの高さ、骨惜しみしないタックルとサポートがあれば「日本もここまでやれるのだ」ということを証明してくれました。

今日は殆どの局面で『キックを封印し、ボールを繋ぐ』という戦法。自陣22m内でのキックも簡単にタッチに逃げるのではなく、ハイパント気味。相手ボールのラインアウト徹底的に避けてのゲームメイクという意志が見られました。やはり日本が世界と互角に戦うにはこのカタチしかないと思います。

但し、疑問というか一抹の不安があり、この勝利を手放しで喜べないのも事実。
というのも、この試合で目立った選手を挙げろ、と言われると、攻守両面で活躍したフランカーのスミス選手を筆頭に、NO8のトンプソン選手。素晴らしいスピードで二つのトライを挙げたツイドラキ選手。いつも通りのプレーでバックスの柱となったマコーミック選手。試合のポイントとなったトライを挙げ、かつディフェンスでは防御の最後の砦となるFBの役割をしっかりと果たしたミルン選手など外国人選手ばかり。もちろん軽快な球捌きでバックスを上手く操った堀越選手を始め、他の日本人選手も活躍してくれましたが、勝利の立役者と言うと、彼らを挙げないわけにはいきません。ジャパンとなれば、当然これにゴードン選手なども加わります。

一体ワールドカップの外国人選手枠はどこまで認められるのでしょうか?
これがはっきりするまでは、能天気に浮かれているるわけにはいきません。また万が一、日本で三年以上プレーしていれば誰でもOKなどという事になったら、第一列を除いた全員が外国人選手になってしまうのでは?などと考えてしまいました。


と、ここまで書いたところで『三年以上プレーの選手なら何人でもOK』との回答が協会より舞い込み、本当に12人が外国人の可能性もあり、という状況が判明しました。しかしそれじゃどう感情移入すれば良いのか・・・。「なんだかなあ」という気がします。

数年前、甲子園に出場した島根県の『江の川高校』。確か、レギュラーに県内出身選手が殆どおらず、大部分が大阪や東京などから甲子園に出場するための越境入学者とあって、県民さえもしらけていたという異常事態がありました。「ジャパンにどれだけ外国人選手を選出するか?」は節操の問題ということになるのでしょうか? いっそのこと、本当に12人使って、優勝は無理でもベスト4ぐらいまで狙っちゃいましょうかね・・・。


ACTは関東選抜戦に比べると多少メンバーを落としてきました。まあ、あの関東選抜の戦い振りを見た後ではそれも当然でしょうが・・・。後半になって、ノリエガやラングフォード、カプートなどのキャップ持ち選手を入れてきましたが、形勢を逆転するには至りませんでした。

また、レフェリングの違いも多少影響したかもしれません。時折、石井レフェリーの笛に納得が行かない様子で、クレームをつける場面(日本がモールを押し込んでトライを取った時など)が見られました。
ジャパンがスコットランド戦に初勝利を治めた時の例を引くまでもなく、ラックでの寝込みなどに、所謂グローバルスタンダードの解釈と異なる笛が国内で吹かれているのは事実。ワールドカップ予選突破のためには、レフェリングに対するコンセンサスの獲得も急務でしょう。

さて15日の日本選抜との最終戦。
この敗戦で、ACTも意地を賭け物凄い意気込みで試合に臨んで来ることでしょう。殆どテストマッチと同じような雰囲気で、今日以上に白熱した素晴らしい試合が見られることを期待たいと思います。
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