1997/11/23
早稲田大学 VS 慶応大学
【関東大学対抗戦】



早稲田
12
9-13
42
慶 応
3-29

0
T
2

0
4
0
G
0
0
3
3
PG
1
1
1
0
DG
0
0
0

石嶋(4年)
FW
左座(1年)
萬匠(3年)
佐藤(4年)
山口(4年)
山本(4年)
虻川(4年)
高田(2年)
山崎(3年) 
阿久根(2年)
井手上(2年)
田村(4年)
沖(4年)
益田(1年)
吉上(4年)
三森(2年)
月田(4年)
HB
牧野(1年)
福田(3年)
信濃(3年)
倉成(4年)
TB
栗原(1年)
山崎(3年)
島野(4年)
小森(2年)
鈴木(3年)
石川(4年)
角谷(4年)
吉永(4年)
FB
稲葉(3年)

途中交代


最終スコアは42-12。トライ数は6対0。
今期の早稲田と慶応の成績を知るラグビーファンがこれを聞いたなら、『次は無敗同士の早明決戦か・・』と思うことでしょう。まさか、このスコアで慶応が勝ちを治めるとは・・・。

今日の慶応は素晴らしい試合をしました。
攻めては、フォワード、バックス一体になって80分間走り続け、守っては、常に厳しいタックルでゴールラインを死守。どうしてこのチームが今まで全敗なのか不思議でなりません。逆に言えば、このような戦いを早明以外のチームに対して出来ない原因がどこにあるのか、真剣に首脳陣が考えるべきだとも思いますが。

シーズン当初に今年の慶応は一年生に良い選手がいる、と言いましたが、今日はその一年生が大活躍でした。フォワードやバックスに的確なボールを供給し続けたSHの牧野君。プロップながらタックル、フォローと良く走り、二つもトライを上げた左座君。慶応バックスの切り札として素晴らしいスピードを見せてくれた栗原君。彼はプレースキックでも貢献しました。

忘れてならないのは彼のタッチキック。右ラインにタッチキックを蹴る時に、アウトサイドでカーブを掛ける正確なキックは、正直な話、日本のラグビー選手では余り見られなかったものです。プレースキックを蹴ることが出来る快速ウィング。まさにジャパンが待ち望む選手と言っても過言ではありません。まだ子供っぽいディフェンス面をスキルアップし、早くジャパンの階段を上ってきて欲しいものです。


勿論、今日の慶応の勝利は全員が良く走ったことに尽きますが、それでも彼ら一年生の活躍が上級生への刺激になっていたのは確かだと思います。

一方の早稲田。
今年初めて試合を見ましたが、結構強いのでは、と思っていたのですが、どうもそれほどではないようです。SOの速水君の欠場が響いているとは言え、自慢のバックスラインが横流ればかりでほとんどゲイン出来ず、何ら策を持たずに屈辱のノートライ。フォワードは完全に走り負け。ラインアウトでも、核としていた吉上君が慶応の高田君に徹底的にマークされ、再三マイボールを取られる有り様。レギュラー選手の入れ替えも含めた戦略面での見直しが急務です。石塚監督にサッカーの岡田監督のような思い切った決断が出来るのか、見モノでしょう。数日後の早明戦、或いは大学選手権までどう巻き返せるのか、先は明るくないかもしれません。

この試合はNHKで全国放送されたので詳しい試合経過は省きますが、秩父宮で試合を見ての感想をもう一つ。
数年振りに生観戦した早慶戦ですが、はっきり言ってどうしてこんなに混んでいるのか不思議でした。

この試合が、球を良く散らして、見ていて楽しいラグビーであることに異論はありませんが、それでも昨日の東芝対三洋のレベルに比べれば、大人と子供のラグビーという感じがします。観客数は、昨日の試合が恐らく六、七千人で今日が二万人近く。先日、サッカーの辛口評論で知られるセルジオ越後氏が言っていた、『日本にはスポーツ文化というものが根づいていない』という言葉の意味を身に沁みて感じました。

願わくば、どのような形であれ、今日の試合を見に来た人達がラグビーの面白さを知り、『ワンランク上のプレーも見たい』とラグビー自体に一層の関心を持ってくれることを、と思います。

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