1997/12/7
早稲田大学 VS 明治大学
【関東大学対抗戦】


早稲田
21
6-6
27
明 治
15-21

0
T
0

2
2
0
G
0
1
1
2
PG
2
1
3
0
DG
0
0
0

石嶋(4年)
FW
黒崎(3年)
萬匠(3年)
山岡(3年)
山口(4年)
中村(4年)
中西(4年)
鈴木(4年)
山崎隆(3年) 
石井(3年)
井手上(2年)
阮(2年)
沖(4年)
岡本(4年)
吉上(4年)
斎藤(2年)
月田(4年)
HB
田中(4年)
山崎弘(1年)
伊藤(4年)
倉成(4年)
TB
山品(4年)
山崎勇(3年)
山口(3年)
小森(2年)
松添(2年)
石川(4年)
福田(4年)
吉永(4年)
FB
岩倉(2年)

途中交代


 

前半終わって6-6の同点、後半30分過ぎまでは19-16と3点差、最終スコアは27-21、と戦前の予想以上に接戦となった試合でした。
さすがに早明戦は違う、と言いたいところですが、諸事情でテレビ観戦になった私の感想を率直に言えば、
「大西氏の解説はうるさい」
「一貫しないレフェリング」
「早稲田いまだに攻撃の手段を持たず」
「明治、チームとしての完成度に疑問」
といったところでしょうか。

まず、大西氏の解説ははっきりいってうるさすぎます。
真っ赤なジャケットを着て登場するセンスはともかく、ゴール前で一進一退の白熱した攻防を演じている時に、とうとうと自分の考えを述べているような解説者はいりません。斎藤アナも相当苦労していました。
「貴方の解説が聞きたくてテレビを見てるのではない」ということをしっかりと肝に命じてください。

試合前は「伸び伸びとラグビーを楽しんでもらいたい」と言い放ったのは、明治が勝つことを前提にしての余裕だったのでしょう。再三のコラプシングを取られたあたりでは、「明治が落とすわけないじゃないか」という悔しさが言葉の端々に感じられました。

一方の永田氏が、誠実さを絵に描いたような人柄だけに、海千山千の大西氏に終始押され気味。はっきりって甲子園スタイルの両校OBの解説は面白くありません。NHKはなにか勘違いをしているのではないでしょうか?


高校野球においても、結局お互いの身びいきばかりで「この選手は堅い守りで監督から信頼されてます」などという選手が連続失策したり、「チャンスに強いんで代打に出ると必ずなにかしてくれます」という選手が、一球も振らずに三球三振したり、まるで的外れな解説ばかりです。
副音声ならまだ許せますが、主音声でこれをやられたらたまったものではありません。
早急に改善を望みたいと思います。

それから毎度お決まりのレフェリー批判。
確かに、この試合の石井レフェリーのレフェリングは非常に曖昧で、一貫性がなく、ノットストレートを何故かゴール前だけ厳しく取ったり、と試合の面白さを半減するようなレフェリングでした。もともと評価の分かれるレフェリーですが、去年の明治のトライの前のノックオンの見落としを後で指摘されたのが、少し応えているのかもしれません。

ただし、後半21分過ぎの明治の逆襲の時、アドバンテージを取らなかったとして「これはもう明らかにミスジャッジです。間違いなく」続けて「レフェリーの方もミスがあっても仕方ないだろうし」と大西氏は言っていましたが、明らかなミス解説をしているのは大西氏の方です。

石井レフェリーもアドバンテージを取っていました。ところが、田中君から松添君へのパスが完全なスローフォワード。それで石井氏は試合を止めたのです。マイクに入った音声をよく聞けば、クレームをつける福田選手に対して「いや、あのパスがスローフォワード」という声がはっきりと聞き取れます。それにあのパスは誰が見てもスローフォワード。

もっと良く試合を見て欲しいと思います。貴方は日本で唯一のプロなのですから。思わずNHKに抗議の電話をしようかと思いました。

ハイタックルについての発言も不用意です。
「誰も故意でやってるわけじゃない、と思うんですよ」
そんな事は百も承知です。
しかし、ついやってしまった。
手をだすつもりはなかったのに、と言って、麻薬に手を出したら、犯罪です。

「やろうと思ってやったんじゃないのに」では許されないでしょう。
「仕方がないよな」と思ってる限り、いっこうに改めることはできません。西村知美さんの麻薬撲滅キャンペーンのポスターのように「ダメ!ゼッタイ!」という気構えで対処すべきだと思います。


日本の若手指導陣のなかで最も高い評価を受けている、といわれる大西氏がそのようなことでは困ります。これは単なるラグビーだけの考え方ではなく、何か根本的にものの考え方が間違ってるんじゃないでしょうか?

緊迫した点差のわりには、試合内容にあまり見どころはありませんでした。
早稲田はディフェンスこそ早慶戦に比べると多少はましになっていたものの、相変わらず決め手がありません。トライを二個取ったといっても、一本目は明治の油断から、二本目は月田君のスピードで取っただけでそれほど威張れるものではありません。

集散が遅く、走れないフォワード。厳しいタックルもなく、とても「タックルマン」と呼ばれた石塚監督のチームとは思えません。あの「世界のサカタ」率いる大体大が、フォワード一辺倒のチームで国立に現れた時と同じ失望感を味わってしまいました。

バックスも、後半には「横流れ」どころではない「後ろ下がり」のライン攻撃まで披露してくれました。(ただ、後半30分過ぎの意を決しての石川主将のライン際の走りには、彼の心情が伝わって来て、思わず熱くなりましたが・・)

期待の山崎弘樹君も、時折長距離キックで観衆を唸らせるものの、ディフェンスが大学レベルには程遠く、かなり不安です。パス回しの連携も滅茶苦茶で、彼が邪魔になってパスを遮るような場面さえ見られました。このあたりは来週から始まる大学選手権までに立て直せるのでしょうか?  疑問を抱かざるにはいられません。

一方の明治。
後半の、ラインアウトから素早くモールを押し込んだプレーは見事でした。あのプレーは確かに社会人相手でもトライが取れそうです。伊藤君の正確なプレースキックと斎藤君の突破力、福田君のステップなどにも見応えがありましたが、それでもチームとしての総合的な完成度はそれほど高いとは思えません。大学選手権は個々の強さだけで勝ち抜いてしまうかもしれませんが、どこかに足元をすくわれる可能性もありそうです。

兎に角、ノックオン、スローフォワード、ノットストレート、オフサイド、ハイタックルと基本的なミスや雑なプレーが其処彼処に見られ、ここ数年のなかでも、最もレベルの低い早明戦だったような気がします。観客のマナーの低下につられて早明ラグビーのレベルも年々低下していくのでしょうか。

つい試合内容と関係ないことを長々と書いてしまいましたが、テレビ観戦だからこそ解ることもたくさんある、とあらためて思いました

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