1次リーグ観戦記 その1
(2007/9/19)

しかしまあ、良くもこう毎日良い試合が続くもんだと感心しながらスカパーでWCを見ています。開幕戦のアルゼンチン対フランスでアルゼンチンが勝利を奪った事に各チームが鼓舞されたのか、圧倒的に下馬評が不利と思われていた国の大健闘が目に付く。これが国の威信を賭けたワールドカップの面白さなのか。それにしたって今までのワールドカップはここまでハラハラドキドキさせる試合はそう多くはなかったはずだ。全体的に底上げされてきたのだろうか。
フランスを破ったアルゼンチンの圧勝と思われたアルゼンチン対グルジア戦でも、33対3とグルジアが大健闘。そのグルジアは次のアイルランド戦でとんでもない試合をやらかす(良い意味で)。ガチンコ勝負で互角の戦いを演じ、トライを奪った上、後半15分までリードを奪う。逆転されてからも決して諦めず、アイルランドがひょっとして負けるのではと思わせるほどの好勝負。最後の最後までグルジアがアイルランドゴール前に攻め続けた。さすがにアイルランドが何とか底力を示して守り抜いたが、僅か4点差の、14対10とボーナスポイントも奪えない薄氷を踏む勝利。グルジアにすれば、4点差なのにDGを狙ったのが裏目に出た。ボールを回し続けたら勝っていた目もあったろう。もったいなかった。108対13と大差がついたニュージーランド対ポルトガル戦にしても、内容はそれほどひどいものではなかった。FWで奪ったトライは見事だったし、最後まで戦う姿勢を見せていた。ジャパンのプールでは、フィジーがジャパンには苦戦したものの、カナダをも撃破して2連勝。次のオーストラリア戦はどう挑んで行くのかわからないが、29日に行われる最後のウェールズ戦に全てを賭けて勝負を挑むはずだ。ジャパンは、フィジーに大善戦したが、僅か4点及ばず。これで次のウェールズ戦に全てがかかる。問題はウェールズがどういうメンバーを組んでくるかであり、レギュラーメンバーを外してきたら、僅かながら勝利の目もあるのではないか、いや、そう信じたい。

今回最も顕著なのは、北半球の旧ファイブネーションズの不振だろう。緒戦の開催国フランスの敗北が負の連鎖を産み出したのか、イングランドはアメリカに28対10と冴えない試合の後は、南アフリカに36対0の完封負け。
そのイングランドの残りの相手はと言えば、ラスト10分で肘打ちにより、退場。そのすぐあとにはハイタックルでイエローカードをもらい、何と15人対13人という絶体絶命のピンチになりながら、乾坤一擲のタックルで凌ぎきり、宿敵サモアを破って2連勝と勢いに乗るトンガ。そしてそのトンガに敗れた理由は、ターゲットをイングランド戦に絞りトンガを甘く見ていたせいでないかと思われる実力は上のサモア。この南半球の2チームのどちらかがイングランドを食ってしまえば、前回大会優勝チームが一次リーグで敗退という大波乱も有り得る。1999年WC準決勝のニュージーランド対フランス戦以来のアップセットが生まれるか、興味深い。大会前、死のプールと呼ばれたのはプールDだったが、こうなるとAからDまですべてが死のプールのように見えてくる。

これだけ、毎日好勝負が展開されると本当に寝る暇がない。ましてや、国内では、ケンブリッジ対早稲田戦が深夜1時からBSで放送されるし(この観戦記は書きます。私のラグビー観戦歴30年の間、ケンブリッジが国内の単独大学チームにこんなに惨敗したのは見た記憶がないし)、ラグビー漬けの毎日を堪能している。さすがに、それぞれの観戦記を書く時間がなく、こんなコラムっぽいものを書くしかないです、今のところ。誠にあいすみません。

ところで、予想屋としての私の感覚から言わせてもらえれば、イングランド1次リーグ敗退。プールDは、やはりアルゼンチンが1位というのが現実味を帯びているような気がします。となると、準々決勝はオーストラリア対サモアかトンガ。ニュージーランド対フランス。南アフリカ対フィジー、アルゼンチン対スコットランド。そして準決勝は、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、アルゼンチンが残り、結局北半球勢は1チームも残らないという悲劇になりそうな。で、今は圧倒的な強さを見せ、優勝候補最有力のオールブラックスだが、藤島大氏言うところの、勝利への不思議な不安を常に持ち続けているオールブラックスが、試合展開によっては、1999年大会を再び思い起こさせるようなパニックに陥って準決勝でオーストラリアに敗北なんて予感が。どうみてもNZは負けないように見えるが、1999年の大会もそうだったからなあ。


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