ジャパンは、予選リーグをいかに戦うのか?
上記が今大会のプール分け、競技方法及び順位決定方法です。 プレーオフ以降や決勝戦の話はひとまず置いといて、とりあえずジャパンが目標のプレーオフに進出するためには、2位か3位の最高成績チームを狙わなければなりません(1位というのはやや現実性が・・・)。 まあ、ウェールズが最大の難敵であるのは誰もが認めるところ。となれば、そのウェールズに敗れるとしても、サモア、アルゼンチンに勝たなくてはなりません。この両チームに勝てば2位ですんなりとプレーオフ進出と言いたいところなのですが、事はそう単純ではありません。二勝一敗の三つ巴というケースもありえるからです。 アトランタオリンピックのサッカー日本代表。ブラジルとハンガリーを破ったもののナイジェリアに敗れ。二勝一敗で得失点差で決勝トーナメントに進めなかったのがこのケース。ただ、この場合は3位の最高チームになる確率が非常に高くなります。二勝一敗ならポイントが7ですから、他のプールで同じケースがなければすんなりと3位の最高になります。言い換えれば、他のプールでこのケースが出た場合、日本は一勝二敗の3位ではプレーオフに進めないことになります。 引き分けというパターンもあります。(実際には、問題になる引き分けは、ポイントが8での同率1位の引き分けは関係なく、同率2位の引き分け、つまり一勝一敗一分けでポイントが6同士になる場合です) ただ、サッカーと違って得点のたくさん入るラグビーでは、それほど引き分けが頻繁にあるわけではありません。 これまでの大会の予選リーグに限って調べてみると、一試合だけありました。 第一回大会のフランス対スコットランドが20対20で引き分け。 第二回大会も第三回大会も0なので、確率にして1/72。相当低い確率ですが、これはプールCが怪しい。フィジー、フランス、カナダなんて如何にもどこかで引き分けそうじゃないですか? 万が一そうなった場合(一勝一敗一分けの3位チームが出た場合)も、日本は一勝二敗ではプレーオフに進出出来ないので、あきらめるほかありません。 さて、ここからが本題です。 そういった特殊な例がないと仮定して、オーソドックスにすべてのプールの3位チームが一勝二敗で並んだ場合。 次の条件は得点数ということになります。つまり三試合での合計得点の多いチームです。となれば、極端な話、もしウェールズに敗れるとしても、「0対20」で敗れるよりは「10対100」で敗れる方が結果的には良いことになります。 プール構成で考えれば、上位2チームと下位2チームの力量差があるプールは最高3位の可能性が低く、1位が突出せず、4位だけが飛びぬけて弱いチームがいるプールの方が、得点を積み重ねやすく、可能性が高くなります。 その点からこのプール分けを眺めてみると、プールAは南ア、スコットランドの2チームとスペイン、ウルグアイの実力差がありすぎるのでどちらが3位になってもまず無理。プールBもニュージーランド、イングランドの2強とイタリア、トンガにはまだ差があるので、ここも厳しいでしょう。プールEもオーストラリアが抜けてアイルランド、アメリカ、ルーマニアと続きますが、難しいと思います。 残りはプールC。やはりここが最高3位になる可能性が最も高い気がします。私の予想では20チームの中でナミビアが最も弱い。フランスが頭一つ抜けている気がしますが、カナダ、フィジーとそれほど差はありません。もし、ここの3位チームがナミビアに大勝した場合。最高三位はこのプールから出る確率が非常に高そうです。 例えば、カナダが3位になったと仮定しましょう。それでもフランスからは20点近く、同じくフィジーからも20点程度の点数を挙げ、ナミビアから80点取って勝利を治めたら。総合得点は120点です。仮にナミビアから60点としても合計で100点。 日本がこれを上回る為には、サモア、アルゼンチンのどちらかに負けても40点以上の点数を挙げ、ウェールズからも最低で20点取らなくてはなりません。 これは相当厳しい条件ですがしっかりと視野に入れておかなくてはなりません。 --------------------------------------------------------- 運良くサモアに勝ったとしても、2戦目のウェールズ戦をどう戦うかがプレーオフ進出のカギを握ります。サモアに勝った日本に対してウェールズが手を緩めることはありえまぜん。その試合に勝った方が間違いなくプレーオフ以上には進めるからです(まあ、ウェールズは三戦全勝しか頭にないでしょうが)。 となれば素直に実力差が出ます。ぶっちゃけた話、今の日本はウェールズに勝てる可能性はかなり低い。となれば、なんとか一点でも多く得点を挙げたい。ディフェンスに多少不安があっても攻撃力に秀でた選手の起用。こんなことも考えられます。ウェールズ戦はとにかく得点を取ることに集中する。先に書いたように100点取られても20点以上取るようにする。極論ですが、これがウェールズ戦の一つの戦い方です。 無茶を承知で言えば、前半わざと取られまくって(50点以上)、後半、攻撃疲れしたうえに緊張感のなくなったウェールズに対して、大幅に選手を入れ替え、逆襲に転ずる、などという姑息な考えも浮かぶのですが、まあ、さすがにそれはないでしょうね。世界中のラグビーファンから総すかんを食らいかねませんから。実際、そういう戦い方も難しそうですし・・・。 こう考えると、やはりウェールズ戦では先発かどうかは別にして、村田ー岩淵ラインの起用がありそうな気がします。2T1G3PG取れれば、21点。このぐらいは欲しいですね。選手はこんなことまで考慮する必要はありませんが、おそらく首脳陣はこのぐらいは当然考えているはず。戦い方に頭を悩ませていることでしょう。 サモアに敗れたとしても考え方はほぼ同じ。ウェールズよりもアルゼンチンの方が勝てる確率が高いのであれば、やはりウェールズ戦は得点を取ることに集中するしかありません。 サモア戦、ウェールズ戦は勝敗の行方はもちろん、”どれだけ得点を挙げられるか?”というのもポイントになるのです。 日本にとって有利なことに、スケジュール上、最後のアルゼンチン戦はすべての予選の最後の試合になります(意図的ではないと思います。今回は日本のスポンサーも少ないはずですし)。 日本はサモア、ウェールズに連敗したとしても、そこそこの得点を挙げておけば、あくまでも他プール(とくにCプール)の結果を見ながらですが、アルゼンチン戦の得点、勝敗如何では、プレーオフ進出の可能性は残ることになるのです(アルゼンチンがサモアに勝ったりすると話はまたまたややこしくなりますが・・・)。 変なことばかり書きましたが、最善の結果を得るためには、常に細心の注意を払い、あらゆる可能性を考えた上で全力を尽くす。勝負事というのはそういうものです。日本人の特性なのか、しばしば”真っ正直に挑んで跳ね返される”。オリンピックをはじめ、今まで他のスポーツで何度同じような光景を見てきたことか。もちろん、そんな日本的な一面は、個人的には好きな部分なので、正攻法で玉砕したからといって非難などする気は毛頭ありません。 素直に2勝してプレーオフに進めればそれ以上のことはありません。ただ、すべてが終わってから「後の祭」と後悔することがないよう、「正直者はバカを見る」ことにならぬよう、私のラグビースタンスとは基本的に異なる部分もありますが、敢えて書いてみました。 (で、ちょっと気になるのは、各国ともこの「3位中最高成績チームの決定方法」というやつを当然知ってるはずですね。どこかのプールで互いに凄まじい点の取り合いという試合が起きないものでしょうか?ちょっと心配です) 話は全然変わりますが、今回はスパイク対策は大丈夫でしょうか? 前々回だったですかね、日本の選手がやたら滑っていた記憶があるもので・・・。 |