遠くにモスクが見えた。舟漕ぎのおじさんが力説した。
「インド軍のやつらがあそこを占領しやがったんだ。やつらはヒンドゥーとシークだ。俺たちカシミーヤンはムスリムの独立国家を作りたいんだ。俺たちの言葉だってやつらのとは違う。あんたが日本語喋るように、俺たちはカシミール語を喋るんだ。ジャパニー、わかるか?」
おじさんが水草でネックレスを編んでいる。
「ワン・タウザン・ルピー」といって舟を降りるときにくれた。
「ジャパニー、今度来るときは、奥さんも一緒にな。奥さんのネックレスも用意しとくから」
その約束をまだはたしていなiい。
インドの北の湖で。 |