ブローニーの基礎知識 


ブローニーとは、60mm幅の裏紙付きロールフィルムまたはそれを使用するカメラを指して使われます。
現在主に使われているのは、フィルムのコードナンバーで「120」といわれているものです。
ロールフィルム、つまり長く巻状になっているフィルムにはコードナンバーがつけられ、普通の35mmフィルムは「135」
昔はやった110ワンテンカメラ用のフィルムは「110」、インスタマチックフィルムは「126」
さらに幅が狭いベスト版フィルムといわれたものは「127」、今お話している120フィルムとサイズが同じですが
もっと細軸のスプールを使用するものは「620」などの種類があります。
今普通に「中判カメラ」とよばれるカメラはこの「120」=ブローニーフィルムを使用するカメラです。
このフィルムが35mmフィルムと違うところは、リーダーペーパー、あるいは裏紙とよばれる黒い紙にフィルムが包み込まれている所です。
また、巻き戻しはありません。巻き取り側にスプール(巻き取り軸)があり、撮影するたびに巻き取り側のスプールにフィルムが巻かれていきます。
すべて撮り終えて巻き取り側にフィルムが渡ったらそのスプールごと外して、巻止めの封をして現像に出します。
反対側に残ったスプールを次回の巻き取りスプールに使います。これの繰り返しです。
下にリーダーペーパーの全画像を掲載しています、長いので4分割になっています。(FUJI RAP アステア)








このリーダーペーパーの裏側にフィルム本体があるわけです。最初と最後の部分にはフィルムはなく紙だけを巻くことによってフィルムには光が漏れなくなって居る仕組みです。35mmフィルムにはパーフォレーションとよばれる孔が上下についていますね、普通のカメラは歯車状のもの(スプロケット)でフィルムを巻上げてその回転数によって、1枚1枚の送り量を決めています。現在の中判カメラでもフィルムの送り量は機械的に決定されて撮影者は巻上げが止まるまで巻けばいい仕組みになっていますが、もっと機構が簡単なカメラやクラシックカメラの多くにはその仕組みが付いていませんでした。
それではどうやってフィルムの送り量を決めたかというと、カメラの裏蓋に赤窓とよばれる窓があり、巻き取り時にはそれを明けて、リーダーペーパーに印刷されている数字にあわせて巻き取っていたのです。上の画像のたくさん並んでいる数字がそれですね。
でも数字は3種類印刷してありますね。120フィルムは同じ6cm幅で、横の長さを変えていろいろなフォーマットに対応してきました。
この数字は、上から6x4.5版(セミ版)・6x6版・6x9版用の数字になっているのです。
これ以外にも、6x7・6x8・6x12などのフォーマットがありますがこれらには対応する数字はありません
これらのサイズは比較的近年に出来たもので、すべてカメラ側で送り量に対応するシステムになっています。
もちろんフィルムの種類・メーカーを変えても、書体のちがいはあれど位置は同じですからなんの問題もありません。
スプールも各社共通の規格です。

スプールを忘れると、フィルムを一本無駄にしてスプールを取りださないと撮影が出来ません。予備のスプールを一本必ずカメラバックに入れておくくせをつけましょう。また、最後の巻止めの際に巻が緩かったり、撮影途中で巻き取りが斜めになったり(タケノコ巻)すると、遮光の働きをなさなくなりフィルムが感光してしまいます。これにも要注意です。もちろんフィルムの脱着・撮影後の保管時には直射日光などに当てることは危険です。
ご自分で現像される方は最後の巻止めを少し斜めに止めておくことで、現像時にリーダーペーパーを外す際に大変楽になります。

ブローニーというと、そのフィルムの大きさからかなり幻惑されてしまいますが、それに惑わされないようにしましょう。
普段35mmを使っているとたまにブローニーでの上がりを見たときに、35mmよりも綺麗だ・精緻だと思いがちですが、これは原板面積の大きさから来る錯覚です。35mmを見るときよりも拡大されている画像を見ているわけですから、精緻に見えるのは当たり前なのです。
35mmを今までx8のルーペで見ていたものをx22のルーペで見るのとは違うということですね。
引伸しの場合、同じサイズに焼き付ける場合はその拡大倍率の関係から「粒子」という点でははるかに有利でしょう。
しかしレンズの解像度という問題は別の話です。
写真雑誌のレンズ紹介の文章でも「モデルの毛穴まで写って、写りすぎてその後使っていない...」などの記述を見ることがありますが
ブローニーなら当然あり得ることで、特に現今のレンズでは毛穴が写らないレンズというものがあれば見てみたいものです。
ルーペで確認する際に35mmとブローニーと同じ倍率のものを使えば当然こうなるでしょう。

ブローニーでの撮影の注意として、同じ被写体を撮影しても同等の画角のレンズを使用した場合は
当然大きなサイズのフィルムを使用した時の方が長い焦点距離のレンズを使うことになります。
たとえば近・中距離の被写体を同じ絞りで撮影したとしたら、そこは50mmと80〜110mmのレンズの差で(標準レンズの場合)
背景のボケにしてもパースペクティブ・遠近感にしてもかなり違ったものになります。
その当然の結果としてブローニーで撮影したものの方が背景から分離して浮き立って見えて「写真が良く見える」ということになります。
ブローニーのギミックですね。
「大・中版での撮影はピントの善し悪しが35mmとは違い一目でわかるから注意しなくてはいけない」、ということを良く言われますが
原版が大きいからピントの精度がビュアー上、たとえ肉眼でも分かりやすいという面と長焦点レンズによる被写界深度の浅さという2点を語っていることだと考えます。 対フィルムサイズの画角からレンズが替っても同じ焦点距離のレンズなら、被写界深度・パースペクティブは同じであるということも撮影上の考慮に入れる必要もあると思います。
つまり同じ標準レンズの視界でも、35mmの感覚でいえば「望遠レンズ」の描写になるということはどこか念頭にいれて撮影してください。



 

スプールと、フィルムとリーダーペーパーの接合部