間違った読み方



「偶像に供えて汚れた肉と、みだらな行いと、絞め殺した動物の肉と、血とを避けるようにと」
使徒言行録15/20の勝手な解釈をします

私の聖書の読み方

聖書の聖句は、それを解釈したり引用する人によって恐ろしく変わってしまう、特に素晴らしい信仰をしている人に引用されると「血とを避けるように」が「神様が輸血行為を否定している」の教義に引用されたりするが、自分の次元の低い解釈方法から見ると実に素晴らしい引用の仕方であろう
私の聖句解釈方法は
その言葉を「誰が」「どこで」「いつ」「誰に対して」「何を意図して」「どういう方法で」発言した物であるかを、その引用の前後や他の並行文章によって整理していくものであります
その方法で、この使徒言行録15/20の言葉を解釈してみましょう、素晴らしい信仰をしている方々には何の参考にもならないでしょうが、普通のクリスチャンには多少の参考にはなるかもしれません

「偶像に供えて汚れた肉と、みだらな行いと、絞め殺した動物の肉と、血とを避けるようにと」
まず
「誰が」.......ヤコブ(イエスの弟でエルサレム教会の宗主)            
「どこで」......エルサレムのどこかで
「いつ」.......正確には不明だがAD48年ころ
「誰に対して」....会議の席上で、その会議にはアンティオキア教会から パウロ・バルナバ
                        エルサレム教会から   使徒や長老達  
                        所属不明の       ペテロ     
           が参加している
「何を意図して」...異邦人に対して、律法によるしきたりを大幅に緩和して、異邦人の生活習
           慣を容認しようとして
「どういう方法で」..口頭で発言した...会議の後、書簡にしたためてシラス達に託して、ア
           ンティオキア教会で朗読させている

解説
AD32年頃から実質的にエルサレム教会(原始キリスト教の本山でパウロのいるアンティオキア教会は支部であり異邦人宣教の前線基地です)の宗主であり、イエスの弟でもあるヤコブは、パウロ達が積極的に異邦人宣教している事を把握しており(使徒15/14−18)、それを支援していた
パウロ達は異邦人に宣教するに際して、律法のしきたりを強要せず、異邦人達の生活習慣を尊重していたが、ユダヤ系の信者が彼らに律法による割礼や食生活を強要する為に、パウロ達と意見対立になり論争が生じた(使徒15/1−2)
その為にパウロ達は本山であるエルサレム教会の裁断を仰ぐべく、エルサレムに上京し会議を開いた(エルサレム会議)
使徒達の間でも議論が重ねられたが、ペテロが発言しパウロ支持を打ち出し異邦人には律法による生活習慣を強要しない意見を発言した(使徒15/7−11)
そこでヤコブは宗主として、異邦人への大幅な緩和措置として、最低限の規律として(使徒15/28−29)この言葉を発言し、書簡にしたためてシラス達に託してアンティオキア教会で朗読させた
パウロの発言はないが、この現実的な宗主の裁断を高く評価したと思われる
神の言葉???もちろんヤコブは神を信じていただろうし、兄を尊敬していただろうが(ヨハネ福音書7/5は疑問を投げかける聖句があるが)、神の言葉として発言したのではなく、キリスト教を異邦人の地域に広めていく為の現実的判断としての発言である
ヤコブのこの発言は、律法を神の言葉としていた一般信者からは強い反発を受けたと思うが、彼はその後も15年程エルサレム教会の宗主であり、信者達も次第に納得したのだろう
エルサレム教会の宗主や使徒達にとっては、律法は神の言葉ではなく、その多くはユダヤ民族が伝承してきた生活習慣として、捉えられていたのだろう。
ご飯の食べ方が、同じアジア人でも、日本と韓国と中国ではだいぶ違うのに似ている
日本人は底の狭い茶碗に盛って、茶碗を手に持って箸で摘む人が多いと思いますが、韓国では底の広いお椀をテーブルに置いて、直接箸で摘み、中国はチャーハンの様にレンゲで掬って食べてますよね。
どれが正しくてどれが間違えとかはなくて、それぞれ長年の食習慣から来る物で、幼少時に教育されてその食べかたが一番慣れてると言う事だけですよね。
日本人が韓国や中国の人に、イエスを信じる者は、日本流が食べかたをしろと言ったら、韓国や中国の人にとっては、はなはだ不便で不愉快な事でしょう
それにしても、教会のそうした教義を「会議」と言う宗教教団としては異例な民主的な方法で討議し、その決議を宗主自らが書簡にしたため異邦人達に報告している様は、この教団がいかにレベルの高い教団であったかを示しており、一部のキリスト教団体の指導者にヤコブのツメのあかを煎じて飲ませたいくらいです

以上が私のこの言葉に対する解釈です、異論・反論のある人は何なりとメールして下さい。
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以上で終わりです
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