AIDS FAQ


Q.アメリカのエイズの流行はどのような状況ですか?


 アメリカ合衆国では1993年1月1日から新しいエイズの定義が適用され、従来からの特徴的病状に加え、肺結核、再発性肺炎、浸潤性子宮頸癌が合併した場合、 また血液中のCD4リンパ球数が200mm/3未満の場合にもエイズと診断されることとなりました。その結果、1993年第1四半期のエイズ患者報告数は3万5779人となり、1992年第1四半期の1万1770人に比ベ204%の増加となりましたが、その報告数の54%は、CD4リンパ球数が200/mm3未満という基準で新たに患者と診断された人たちでした。新しいエイズの定義の採用の影響もあり、1993年の1年間にアメリカで新たに報告されたエイズ患者は10万6949人と、初めて10万人の大台に乗りました。先進諸国のなかでは際立って多い感染者を抱えるアメリカですが、異性間性交渉による感染者の増加や女性感染者の増加など、ここ数年HIV感染状況は劇的ともいえる大きな変化を遂げています。エイズ患者に占める同性愛男性の比率は1985年の66.5%から1993年には46.6%と大きく低下し、対照的に女性の比率は同期間に2倍以上の増加を示し、1993年には15.9%にまで上昇しました。そして、1993年に報告された全女性エイズ患者の37%は、異性間性交渉によりHIVに感染したとされています。HIVに感染後エイズ発症までに平均10年の潜伏期間があることを考慮すれば、現在報告されているエイズ患者の構成の変化は、すでに10年前から始まっていたと考える必要があります。また、女性のなかでもとくにマイノリティ出身の女性が、アメリカにおけるエイズ患者の増加率が最も高いグループとしてされています。つまりアメリカではエイズ患者の人種・民族構成が人きく変化し、現在ではいわゆる社会的弱者に偏って多く認められるようになりました。1993年に報告されたエイズ症例の54%は、アフリカ系とヒスパニックが占めています。
 女性では、この比率はさらに75%にまで上昇します。