AIDS FAQ


Q.インドのエイズの流行はどのような状況ですか?


 インドにおけるHIV感染状況は、サハラ以南のアフリカやタイに比べてはるかに不明碓で、その実態は十分には把握されていません。しかしWHOは、8億8000万人と世界第2位の人口をもつこの国に、1992年後半ですでに100万人(60万〜300万人)の感染者がいると推測しています。インド保健省の調べでも、全国の抗体検査受診者の陽性率は、調査開始初期に0。25%であった(1985年から1987年までの2年間の平均)ものが、1992年には1.12%にまで上昇しています。またインドのNGOであるインド保健機関(IHO)は、1994年9月末時点のインド国内のHIV感染者数を320万人と推定しています。
 インドでは、売春婦、静注薬物乱用者、そして職業的な売血という三つのグループが、高いHIV感染率を示すことで注目されています。ボンベイの売春婦についての調査では、1985〜1986年に1.1%であったHIV感染率が、1990年には18.1%となり1992年前半の調査では34.4%にまで上昇しました。またWHOは、10万〜30万人と推定されるボンベイの売春婦の20%がHIV陽性と推定しています。インドの静注薬物乱用者の総数は不明ですが、北東部の州では一般都市人口の1〜2%という報告があり、同地域における調査では、1986〜1989年に0%であったこれら静注薬物乱用者の陽性率が、1989年10月には2.9%となったことが報告されており、1992年の調査では50〜60%にも上昇しました。売血者についても、その86%がHIVに感染していると報告されています。インドにおけるHIV感染のもう一つの特徴は、HIVー1以外にHIVー2の感染が多く認められていることです。ボンベイの性感染症クリニックに通う患者についての調査では、HIVー1感染が49%、HIVー2感染が6%、両者の重複感染が13%も認められました。他方、ハイリスクな行為をしている人々以外については、妊婦の陽性率が0.1%と報告されています。