AIDS 年表


【1988年】

3月竹下首相は8日首相官邸に自民党のエイズ問題に関する小委員会の大浜方栄委員長を招き、血液凝固因子製剤によるエイズ感染者の救済措置など小委員会の検討状況について報告を聞いた。
そのなかで竹下首相は、エイズ感染者への救済措置について「薬害の論争ではなく、どうしたら患者に温かい手をさしのべられるかの検討を進めてほしい。」と要請した。
日本
文部省は教師用指導資料「エイズに関する指導の手引き」を作成し、全国の小・中・高等学校へ配布。日本
4月文部省は(財)日本学校保健会において「エイズ問題を含む性に関する指導推進事業」を行い、全国4地区において小・中・高等学校、さらには家庭や地域との連携を図った指導の研究、実践を推進。(平成4年度まで)日本
厚生省は国立病院医療センターに「エイズ医療情報センター」を国立予防衛生研究所に、「エイズ研究センター」をそれぞれ設置し、業務を開始した。
情報センターではエイズに関する情報の収集と還元、教育・研修の実施、国際交流を主な業務とし、研究センターではエイズの病原・病因、予防治療法など研究することとなる。特に都道府県などのエイズ相談窓口担当者や医師に最新のエイズ情報を還元するエイズ医療情報センターの設置は、第一線の保健関係者に対して、その効果が期待される。
日本
5月医師による患者の届け出義務や都道府県知事の健康診断勧告・命令権などを盛りこんだ「エイズ予防法案」は19日の衆院社会労働委員会で実質審議入りした。日本
6月WHOとILOはジュネーブにおいて合同会議を開催。
政府、労働組合、事業者代表はもちろん公衆衛生、医学法学、健康教育の領域の専門家が満場一致でつぎの2つの基本原則が労働者のHIV感染(及びエイズ)に対する基本方針として採用されるべきであると同意した。
(1)HIV感染者及びエイズ患者の人権や人間としての尊厳を守ることは、HIV/AIDSの予防・抑制に不可欠である。HIVに感染していても健康状態が良好である労働者は、他の労働者と同様に扱われるべきである。エイズを含むHIV関連疾患に罹患している労働者は、他の病気を有する労働者と同様に扱われるべきである。
(2)HIV感染者及びエイズ患者の大部分は、働き続けることを望んでおり、彼らには働き続ける権利がある。また、働き続けることは身体的及び精神的に良好な状態を高めるものである、支援的な職場環境の下で彼らの創造性と生産性とが発揮できるようでなければならない。
海外
6月12日から16日までの5日間、スウェーデンの首都ストックホルムにおいて、第4回国際エイズ会議が開催された。開会式には、国王も出席。
会議には全世界から、7,000人以上が参加し、基礎研究者や臨床家ばかりでなく、心理学者、カウンセラー、社会・経済・法律学者、WHO、各国政府機関関係者など幅広い分野の専門家から、合わせて3,100におよぶ演題が発表された。
海外
27日に開催した全国エイズ担当主管課長会議で、「HIV感染者発症予防・治療に関する研究」と「エイズ保健福祉相談事業」を9月1日から正式に始めることを決め担当病院と責任者を発表した。
発症予防・治療研究班は全国で9分割した地区ブロックで構成する。
発表したのは、直接研究や治療にあたるこの地区ブロックの委員で血友病患者の主治医を全都道府県に最低1人ずつ配置している。相談事業も9ブロック毎に進めるが、事務局を全国の14医療施設に置くことを決めた。カウンセラーや看護婦、専任ケースワーカーが受診相談、電話相談、訪問相談等を実施する。
日本
7月WHOは1月、6月に情報を提供している176ヵ国から4,000例近くの症例が寄せられ、世界のエイズ患者の公式総数は100,410名となり、ついに100,000人を突破したと発表。海外
英国政府は血友病のエイズ感染者救済のため血友病患者の団体、英国血友病教会に1千万ポンド(約23億円)を拠出した。同協会は、これを財源に感染者と家族への経済援助基金を設立し、今夏にも活動を始める。海外
第24回日米医学協力委員会が7月21日、22日の両日外務省において開催され、エイズ専門部会について討議が行われた。その結果、エイズ専門部会におけるガイドラインが決定されたほか、第1回日米エイズ合同部会を12月5、6、7日の3日間実施すること及び日本側からの専門部会の研究員20名が報告された。日本
8月米国立衛生研究所(N1H)とプリストル・マイヤーズ社は共同でエイズの治療薬として期待されるジデオキシアデノシンとジデオキシイノシンの臨床試験に乗り出した。海外
レーガン大統領は2日、「連邦政府機関がエイズ感染を理由に政府職員を解雇してはならない」などの11項目を内容とするエイズ対策計画を発表した。そのなかで大統領は、エイズ患者の社会的差別、偏見を撤廃させるため「職務を十分遂行し、健康者に感染の脅威を与えない限り、HIV感染者を解雇してはいけない」と述べた。海外
米国内のエイズ患者の治療にかかる費用は、1988年には22億ドルだったのが1991年には45億ドルに上昇すると、Public Health Report 6月号が掲載。海外
9月厚生省エイズサーベイランス委員会は、新たに患者10人(うち死亡4人)と感染者10人を確認した。これでわが国のエイズ患者は90人(うち死亡50人)感染者は1,418人となった。新患者10人のうち4人は男性同性愛者でそのうちの2人は日本人の同性愛者からの感染とみられる。日本
12月財団法人 友愛福祉財団設立。日本
「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律(エイズ予防法)」成立。日本