平成9年11月25日

エイズ動向委員会
山崎委員長コメント

1) 今回(平成9年9月から10月末まで)のエイズ動向委員会ヘの報告は患者48名(前回48名)、感染者88名(前回63名)の合計136名(前回 111名)、うち転症例は2名(前回5名)でした。
前回と比較して、日本人感染者が21名増加、外国人感染者は4名増加、日本人患者、外国人患者はともに同数であり、トータルでは患者・感染者は25名増となっております。
2) 依然として患者・感染者は増加傾向を示しており、患者・感染者数136名、日本人患者・感染者数106名、日本人患者・感染者異性間性的接触による患者・感染者数48名、日本人男性患者・感染者数94名は過去最高の報告数でした。
また、患者報告数48名、男性同性愛患者・感染者数37名は過去最高の報告数と同数でした。
3) 我が国においても、感染は確実に広がっています。正しい知識を持つために、正しい予防行動をとるために、エイズに苦しむ人々と共に生きるために、12月1日の「世界エイズデー」を契機にエイズについて考え、話し合うよう に心がけましょう。
早期治療の効果は大きく向上しています。検査を積極的に受けて下さい。
4) 将来の世代に希望に満ちた世界を引き継ぐことは、現代に生きる私たちの責任です。エイズとともに生きる社会の構築に向けて積極的な取り組みが必要です。
5) 今回、推定される感染原因が海外での異性間性的接触又は国内の輸血のHIV感染の報告が1例ありました。輸血が行われたのは昭和57年であり、輸血用血液製剤の製造番号等の記録が残っておらず、献血者の調査は不可能でありました。
なお、本症例に投与された輸血用血液製剤はすべて全血輸血であり、同一献血者から同時に献血、分離された血液製剤は存在しないため(当該症例の感染 原因の特定はできませんが)、他の患者のHIV感染の可能性はありません。
感染の可能性があると思う人には献血を控えるよう注意喚起するとともに、献血時の問診などによるチェックの徹底を図る必要があります。





エイズ動向委員会資料

1.前回報告のHIV感染例の遡及調査について

1)前回報告のあった、推定される感染の原因が国内の輸血と記載されたHIV感染例1例については、平成5年に献血者38人分の輸血用血液製剤の輸血を受けていることが判明しており、関連血液製剤について引き続き遡及調査を行っているところである。

2)当該症例が輸血によってHIVに感染したものとすれば、献血者から同時に供血された新鮮凍結血漿、赤血球製剤又は血小板製剤の投与を受けた患者は、同じくHIVに感染している可能性がある。このため、ウインドウ・ピリオドであった可能性が否定できなかった献血者から供血された輸血用血液製剤13ロットが投与された患者について、厚生省から関係自治体等に調査の協力を依頼し、調査を行った。
その結果、該当する輸血用血液製剤13ロットのうち、赤血球製剤1ロットは返品され使用されておらず、9ロット(赤血球製剤3ロット、新鮮凍結血漿2ロット及び血小板製剤4ロット)が投与された7名の患者については輸血後短期間のうちに腎不全等の原疾患で死亡していた。また、血小板製剤1ロットが投与された患者についてはHIV抗体検査の結果陰性であることが確認された。残りの2ロット(赤血球製剤1ロット及び新鮮凍結血漿1ロット)については引き続き調査を行っている。

2.本日報告のHIV感染例について

1)本日のエイズ動向委員会に、推定される感染の原因が海外での異性間の性的接触又は国内の輸血と記載されたHIV感染例が1例報告された。当該症例は、昭和57年に献血者15人分の輸血用血液製剤の輸血及び30人分の新鮮血の輸血(院内血輸血)を受けていることが判明しており、輸血用血液製剤について遡及調査を行った。

2)輸血が行われたのは昭和57年であり、これらの輸血用血液製剤の製造番号等の記録は残っていなかったが、本症例に投与された輸血用血液製剤はすべて全血製剤であることが判明しており、同一献血者の血液から分離された血液製剤は存在しないため、他の患者のHIV感染の可能性はない。


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NOV. 25, 1997