らい予防法の廃止に関する法律について
(1996年4月1日施行)


 今日、ハンセン病(らい)は、感染しても発病することは極めて稀な病気であることが明らかとなっているばかりか、治療方法も確立しています。このため、現在においては、万一発病しても、適切な治療を行うことによって、ハンセン病は完治する病気となっており、患者を隔離する必要は全くなくなっています。
 そこで、旧来の疾病像を反映し、ハンセン病患者を隔離することを前提とした法律であった「らい予防法」は、廃止されることとなりました。
 ところで、現在、国立ハンセン病療養所においては、約6000名弱の方々が生活を営んでおり、これらの方々は既に平均年齢が70歳以上、視覚障害、肢体不自由などの後遺障害を有しています。また、療養所に入所している人々の生活は国費により賄われていますが、療養所から出て社会に復帰した場合については、生活費を自ら賄う必要があります。このため、ハンセン病に対する誤解と差別の存在も相まって、入所者の多くは自由に退所することができるにもかかわらず、長く療養所に留まり、療養所の中で生活してきました。こうした人々が今後、社会に復帰して自立するためには、国や自治体による援助を引き続き必要としています。
 そこで、「らい予防法」の廃止にもかかわらず、引き続き国立ハンセン病療養所入所者及び退所者に対する医療及び福祉に関する施策の維持継続を図ることとしています。
 らい予防法の廃止に関する法律の具体的な内容は以下のとおりです。

(1)「らい予防法」を廃止すること。

(2)現在、「らい予防法」に基づいて、国立ハンセン病療養所に入所している方々等に対して行われている医療及び福祉は、「らい予防法」廃止後も継続すること。

  1. 国は、この法律の施行の際、現に療養所に入所している方々に対し、療養所において、引き続き必要な療養を行うこと。
  2. 国立療養所を既に退所された方であっても、本人の希望により入所することができること。この場合、国は原則として再入所を拒むことはできないこと。また、入所後は入所者と入所者と同様の処遇を行うこと。
  3. 国は、療養所に入所している方々の教養を高め、その福利を増進するように努めること。
  4. 国は、療養所に入所している方々に対して、その社会復帰に必要な知識及び技能を与えるための措置を講じることができること。
  5. 都道府県知事は、療養所に入所している方々の親族に対して、所要の援護を引き続き行うことができること。
(3)その他
  1. 優生保護法(母体保護法)並びに出入国管理及び難民認定法に規定する「らい患者」等に係る規定の削除すること。
  2. 厚生省設置法その他関係法律に用いられている「らい」等の語を「ハンセン病」等に改めること。

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NOV. 12, 1996