HACCPとは

(Hazard Analysis and Critical Control Points)


1 HACCPの制度の由来

 HACCP(危害分析重要管理点)の概念は、1960年代に開始された米国の宇宙開発計画(アポロ計画)における宇宙食の開発に当たって、高度に安全性を保証するシステムとして米国航空宇宙局(NASA)等が中心となって策定された。

2 HACCPの手法の内容

 このシステムは、食品の製造業者が、食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生するおそれのある微生物汚染等の危害について調査・分析(HA)し、この分析結果に基づいて、製造工程のどの段階で、どのような対策を講ずれば、より安全性が確保された製品を得ることができるかという重要管理点(CCP)を定め、これが遵守されているかどうかについて常時モニターすることにより、製造工程全般を通じて製品のより一層の安全確保を図る手法である。
 また、重要管理点に対する日常のモニター結果が記録されることにより、製造者自らの製造物に対する責任に関し立証が可能となり、消費者からのクレームにも適切に対処できるものである。

3 諸外国におけるHACCPの制度化の動き

 既に、EU(欧州連合)において、水産食品や食肉製品等についてHACCP導入に係るEC指令が出されている。また、米国食品医薬品庁(FDA)においても、国内に流通する食品のうち、平成6年1月水産食品に、さらに平成6年8月には一般食品について、HACCPを導入するための告示案を官報に掲載したところである。
 FAO/WHO合同食品規格計画(CODEX)においては、HACCPを各食品に適用するための一般ガイドラインが作成され、具体的には、食肉、魚介類等の衛生取り扱い規範について、HACCPを導入すべく改定作業中である。

4 HACCPと日本の食品衛生規制

 従来の日本の食品衛生規制は、行政が画一的に基準を策定し、営業者に遵守させるものであった。
 HACCPは、製造者自らが科学的根拠に基づき、使用される原材料や製造工程を踏まえて策定した各製造・加工工程の重要管理点を定める手法であるので、HACCPを導入するのであれば、行政の画一的な基準の適用を除外し、それぞれの食品製造施設における多様な製造方法を認めることができる。
 このため、HACCPを導入すべく、1995年、食品衛生法の改正が行われた。

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NOV. 14, 1996