平成8年10月14日
農産園芸局野菜振興課.

かいわれ大根生産衛生管理マニュアルの策定等について

1 策定の経緯

 平成8年8月7日に、厚生省が発表した「堺市学童集団下痢症の原因究明につ
いての中間報告書」の中で、特定施設から出荷されたかいわれ大根が原因食材で
ある可能性が否定できないとの指摘が行われ、かいわれ大根の消費が大きく落ち
込んだ。

 このような状況に対応して、かいわれ大根の衛生管理の水準を高め、消費者が
安心できるよう、厚生省の協力も得て、社団法人日本施設園芸協会が中心となっ
て策定委員会を組織し、かいわれ大根生産衛生管理マニュアルを緊急に策定した。

 検討期間は、約1ヶ月半と短かったが、委員の精力的な努力の結果、7回の会
合、生産施設の現地調査(3ヶ所)、各生産行程における微生物の繁殖状況の分
析等、できうる限りの検討を行った。

2 マニュアルの概要

(1)マニュアルは、HACCP(危害分析重要管理点)方式の考え方を取り入
れて策定した。
 すなわち、実際の生産行程を詳細に把握するとともに、各生産行程における微
生物の繁殖の程度を調査(危害分析)した上で、特に重点的に管理すべき点(重
要管理点)を明らかにし、当該部分における衛生管理の手法(記録及び汚染がみ
られた場合の措置の内容を含む。)を詳細に決めることにより、最終製品におけ
る日常的な微生物検査が不要となるような衛生管理の方法を採っている。

(2)具体的には、水及び種子をかいわれ大根を生産する上での重要管理点とし、

@水については、塩素殺菌されている水道水以外の水を使う場合には、水道法に
準じた水質検査を定期的に行うことに加え、塩素消毒等による殺菌を行うこと(
器機の作動状況等の頻繁な確認を含む。)又は塩素消毒を行わない場合に、1ヶ
月に1度以上の頻繁な微生物検査を行うことにより、更に安全性を高めることと
している。
 また、栽培中のかいわれ大根が豪雨により冠水した場合等、水による汚染の可
能性がある場合には、製品を廃棄処分とすることとしている。

A種子については、全ロットについて、大腸菌の検査を行うこととしているほか、
保管時のねずみ等による汚染が生じないような措置を採ることとしている。

 上記のほか、設備の改善、従業員の検便の実施、製品における生産者氏名や要
冷蔵の表示等、生産・出荷行程全般の衛生管理の徹底を図ることとしている。

3 マニュアルに従った生産を行っていることの確認

 マニュアルは、かいわれ大根生産者が自主的に衛生管理を徹底する上での指針
となるものであるが、流通関係者及び消費者に対して、マニュアルに沿った生産
が行われていることが客観的にも明らかになるよう、食品衛生指定検査機関が、
生産者の依頼に応じて、マニュアルに沿った生産が行われていることを定期的に
検査・証明できるようにすることとしている。
 さらに、日本かいわれ協会は、上の検査の結果、マニュアルに沿った生産が行
われていることが証明された生産者のかいわれ大根に、認証マークを付す予定である。

かいわれ大根生産衛生管理マニュアル

平成8年10月14日

(1)目的

本マニュアルは、かいわれ大根の生産・出荷に関わる衛生上の危害の発生を防止
するため、微生物制御を中心に、生産・出荷の各過程における取扱い等の指針及
び運用を示し、かいわれ大根に関する衛生の確保及び向上を図ることを目的とす
る。

(2)適用の範囲

本マニュアルは、室内において工業的生産設備を持って、箱などの容器を用いて
行うかいわれ大根の生産に適用する。

(3)用語の定義

本マニュアルにおいて使用する用語の定義は、次の通りとする。

│用      語│     定            義     │
│A.原料及び製品│                        │
│  かいわれ大根│ 大根種子を発芽させ、その幼苗を主として生食用に│
│        │利用する野菜。本マニュアルにおいては、その中でも│
│        │室内において工業的生産設備を持って、箱などの容器│
│        │内において生産されたものをいう。        │
│  原料種子  │ かいわれ大根の生産に供される大根種子をいう。 │
│        │                        │
│B.生産行程  │                        │
│  浸種    │ 原料種子を水洗浸漬し、種子に吸水を行わせ発芽を│
│        │促す行程。浸漬に次亜塩素酸ナトリウム等を加え種子│
│        │の殺菌を同時に行う場合もある。         │
│  静置    │ 浸種後発芽をより促すため、水切り後ある程度の時│
│        │間放置する行程をいう。             │
│  播種    │ 栽培容器内に一定量の静置後種子を投入する行程を│
│        │いう。                     │
│  発芽    │播種後栽培容器を台車上に重ね、暗所・多湿状態に │
│        │置き、発芽を促進させる行程をいう。       │
│栽培(又は緑化)│発芽後の種子を製品にまで生長させる行程をいう。 │
│  収穫    │栽培後の製品を栽培容器ごと台車上に重ね回収する │
│        │行程をいう。                  │
│  予冷    │製品の鮮度保持を主な目的として、出荷前に冷蔵施 │
│        │設等により収穫後の製品の品温を下げる行程をいう。│
│  ポット詰め │ 製品をポットに入れ、上部にフィルムシールを行う│
│        │行程をいう。                  │
│        │                        │
│C.施設等   │                        │
│(1)生産施設 │                        │
│  施設    │ 作業場及び更衣室・休憩室・事務所・機械室等をい│
│        │う。                      │
│  生産場   │原料種子の置場・浸種場・静置場・播種場・発芽室 │
│        │・栽培室・冷蔵施設・ポット詰め及び梱包場・生産資│
│        │材保管場・液肥調製場等、直接製品の生産に関わる箇│
│        │所をいう。                   │
│  作業場   │生産場及び製品の搬出場をいう。         │
│        │                        │
│(2)生産機器類│浸種装置・播種機・台車・加湿器・液肥散水装置・ │
│        │液肥調製機・ポット詰機等製品の生産・運搬の用に供│
│        │され、かつ製品に直接接触する機械・器具及び製品に│
│        │直接接触しない作業台・機械等をいう。      │
│D.その他   │                        │
│  E.coli   │かいわれ大根の微生物的な汚染を示す指標菌である │
│        │大腸菌をいう。                 │
│  小動物   │施設及びその周囲に生息し、施設内に侵入の可能性 │
│        │があり、衛生上危害を加えるおそれのある小動物類を│
│        │いう。具体的には鼠族・犬猫類及び鳥類をさす。  │
│ 品質管理責任者│かいわれ大根の品質全般の管理監督を行い、かつ責 │
│        │任を負う者であり、営業者から権限を委託された者又│
│        │は営業者自身をいう。              │

(4)生産管理指針

  @施設の管理

  (1)施設及びその周辺は、毎日清掃し、衛生上支障のないようにしておくこと。
   ・「その周辺」とは、営業者が直接管理する敷地等をいう。

  (2)施設は常に点検し、破損等があるときは、遅滞なく補修すること。

  (3)生産場はそれぞれの使用目的に応じて使用すること。
    ・「使用目的に応じて使用する」とは、発芽、栽培、予冷、包装、保管など、そ
     の目的に応じて使用することをいう。

  (4)それぞれの生産場には、当該作業に従事する者以外の者をみだりに立入らせ
  ず、かつ、不必要な物品等を置かないこと。
   ・「不必要な物品等」とは、当該作業に直接関係のないもの、即ちそのものの
    存在によって作業に支障を生じたり、かいわれ大根等を汚染するおそれ
    のある物品をいい、小動物も含めるものとする。

  (5)生産場の採光、照明、換気及び通風は、十分にすること。

  (6)生産場(原料種子の保管から播種前までの行程に係る生産場に限る。)の
   窓、出入口等は、開放しないこと。
   ・「施設の窓、出入口等は、開放しないこと」については、窓等に網戸を施して
   ある場合で、小動物による汚染のおそれのない場合は「開放」とみなさない。

  (7)排水溝は、排水がよく行われるよう清掃するとともに、廃棄物の流出を防
  ぐほか、排水等の逆流によるかいわれ大根の冠水による汚染を防ぐこと。
   ・「廃棄物」とは、残菜等の汚物や油等をいう。

  (8)小動物、昆虫等の駆除作業を随時行い、記録すること。
   ・「随時」とは、作業場内外の小動物、昆虫等の生息場所を点検し、それらを
   発見次第をいう。

  (9)手洗設備には、手洗に適当な消毒液等を備え、常に使用できる状態にして
   おくこと。

 A生産機器類の管理

  (1)生産機器類は、常に点検し、故障、破損等があるときは、遅滞なく補修
   し、又は補充すること。

  (2)衛生保持のため、生産機器類は、それぞれの使用目的に応じて使用する
  こと。

  (3)生産機器類は、使用後洗浄し、必要に応じて消毒し、及び乾燥させること。

  (4)生産機器類の洗浄に洗剤を使用する場合は、適正な洗剤を適正な濃度で使
  用し、洗浄後は十分に水洗いを行うこと。
   ・「適正な洗剤を適正な濃度で使用する」とは、規格にあった洗剤を使用基
   準に従って使用することをいう。

  (5)生産機器類は、それぞれの所定の場所で衛生的に保管すること。

  (6)温度計等の計器類は、常に正確に作動しているかどうかを点検すること。

 B給水

 (1)水道水以外の水を使用する場合は、当該水が水道法(昭和32年法律第
 177号)第4条及び「水質基準に関する省令」(平成4年12月21日付け
 厚生省令第69号)に掲げる要件を備えているかどうかを確認するため、同法の
 規定する頻度で水質検査を行い、その成績書を1年間保存すること。
   ・「水道水以外の水」とは、井戸水、地下水等をいう。

 (2)水道水以外の水を使用する場合は、滅菌装置又は浄水装置が正常に作動して
 いるかどうかを、少なくとも始業直後を含む1日2回点検すること。
   ・「滅菌装置又は浄水装置」の点検は、滅菌装置又は浄水装置を使用している
    場合にのみ適用する。

 C汚物処理

 (1)廃棄物容器は、小動物、昆虫等の出入りを防ぎ、汚液及び汚臭等が漏れない
 ようにするとともに清潔にしておくこと。

 (2)廃棄物の処理は、衛生的に行うこと。

 (3)便所は清潔にし、定期的に殺虫及び消毒をすること。

 (4)清掃用器材は、専用の場所に保管すること。

 D原料種子、次亜塩素酸ナトリウム及びかいわれ大根の管理

  (1)原料種子及び材料の仕入に当たっては、不良品を仕入れないよう、品質、
  表示等について点検すること。
    ・「品質、表示等について点検する」とは、病原微生物、異物の混入の有無等
    の検査等を行うとともに、仕入先の衛生状態の実態を把握するよう留意
    し、あわせて表示が適正であるかを点検すること。

 (2)原料種子及び次亜塩素酸ナトリウムは、それらに適した状態及び方法で衛生
  的に保管すること。

 (3)原水の殺菌に使用する次亜塩素酸ナトリウムは食品添加物として認可された製
 剤を使用し、種子消毒剤として使用する次亜塩素酸ナトリウムとは区別して使
 用すること。ただし、原水の殺菌に使用する次亜塩素酸ナトリウムを原料種子
 の消毒剤として使用する場合はこの限りではない。

 (4)次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合は、正確に秤量し、適正に使用するこ
 と。
   ・「適正に使用」とは、次亜塩素酸ナトリウムの使用基準を遵守し、できるだけ専
   任の従業員がこの取扱にあたること,次亜塩素酸ナトリウムを小出しする場合に
   は、小出しした月日等適正な表示を行うこと等をいう。

 (5)冷蔵施設内で、やむを得ずかいわれ大根以外の物品を保管する場合には、
  相互汚染が生じないよう区画して保存すること。

  (6)かいわれ大根の出荷に当たっては、汚染、異物の混入等がないかどうか
   適宜自主検査を行い、記録すること。
   ・「適宜」とは月1回以上をいう。

 E従業者の衛生管理

 (1)従業者の健康診断は、食品衛生上必要な健康状態の把握に留意して、年1回
  以上行うこと。
   ・「従業者」には、営業者も含むものとする。
   ・「食品衛生上必要な健康状態の把握に留意」は、経口伝染病、食中毒菌の
    検索、化膿疾患を主体に留意すること。

  (2)営業者は、従業者に年1回以上検便を受けさせること。なお、検便の検査
  項目には、赤痢菌、サルモネラ菌及び出血性大腸菌を含むこと。

  (3)営業者は、常に従業者の健康管理に注意し、食中毒菌による汚染の原因と
  なる疾患(化膿疾患等)又は食品を介して伝染するおそれのある疾患に感染
  した場合は、食品の取扱作業に従事させないこと。
   ・「食品を介して伝染するおそれのある疾患」とは、伝染性下痢症、急性灰白
    髄炎、流行性肝炎等をいう。

 (4)従業者は、作業中清潔な専用の外衣及び履物並びに必要に応じて帽子を着用
  すること。
・「外衣及び履物」については、生産場において作業に従事する者は、必ず専用のも
 のを着用すること。

 (5)従業者は、常に爪を短く切り、作業前及び用便後は、必ず手指の洗浄及び消毒
 を行うこと。

 (6)従業者は、作業場においては、所定の場所以外で着替え、放たん、食事等を
 しないこと。

 F品質管理責任者等

  (1)営業者は、施設ごとに、従業者(営業者を含む。)のうちから品質管理責任
  者を定め、講習に出席させること等により、衛生管理に必要な知識を習得さ
  せること。

  (2)品質管理責任者は、営業者の指示に従い、当該施設における衛生管理にあ
   たるものとする。

 (3)営業者は、施設及び取扱い等に係る衛生上の管理運営要領を作成し、従業者
  に周知徹底させるとともに、当該要領に基づき管理運営記録表等を作成し、
  少なくとも週1回は記録させること。

  (4)営業者又は品質管理責任者は、生産、出荷等が衛生的に行われるよう従業
  者の衛生教育に努めること。

(5)施設設備指針

 @施設

  (1)施設は、汚水処理場・産業廃棄物処理場及び家畜類飼育又は処理場等の付
  近に位置しないこと。ただし、衛生上必要な措置のある場合は、この限りで
  ない。

  (2)施設は、専用とし、住居その他の生産・出荷に関係のない場所と間仕切に
   より区画すること。

  (3)施設は、使用目的に応じ、適当な広さを有し、かつ、十分な明るさ(床面
  において100ルクス以上:暗所が必要な生産場を除く)及び換気を保つための
  設備を設けること。

  (4)作業場の床は、平滑で勾配のある清掃しやすい構造とし、排水溝を有し、
  水その他の液体により特に汚染されやすい部分は、耐水性材料で造ること。

  (5)生産場(原料種子の保管から播種直前までの生産行程に関わる生産場に限
  る)は、小動物の出入りを防ぐ構造とすること。

  (6)生産場の従業員出入口には、足洗い槽を設け、交差汚染を防止すること。

  A設備

  (1)設備は、営業計画に基づき予定される生産量、販売量等に応じ、十分な規
  模及び機能を有するものを設けること。

  (2)生産機器類の洗浄、消毒及び水切乾燥の設備を設けること。

  (3)固定した設備又は容易に移動しがたい設備は、洗浄しやすい位置に設ける
  こと。

  (4)機械は、かいわれ大根等に直接接する部分が不浸透性材料(ステンレス等
  水が浸透せず、かつ、さびないものをいう。以下同じ。)で造られ、洗浄及
  び消毒がしやすい構造であること。

  (5)器具及び容器包装を衛生的に保管するための設備を設けること。

  (6)次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合は、専用の計量器を備えること。

  (7)原料種子、次亜塩素酸ナトリウム及びかいわれ大根を保管する設備は、そ
  れぞれ専用とし、温度、湿度、日光等に影響されない位置に設けること。

  (8)冷蔵施設、発芽室その他温度を調節する必要のある設備には、温度計その
  他必要な計器を見やすい位置に備えること。

  (9)水道水又は国公立の衛生試験機関若しくは食品衛生法第19条の2又は水
  道法第20条第3項の規定により指定された検査機関で飲用に適すると認め
  られた水を十分に供給できる専用の給水設備を設けること。

  (10)廃棄物容器は、ふたがあり、十分な容量を有し、不浸透性材料で造られ、
  清掃しやすく、汚液、汚臭等の漏れないものであること。

  (11)必要な場所に、消毒液等を備えた流水受槽式手洗い設備を設けること。

  (12)便所は、使用に便利な位置に配置し、利用者の数に応じた便器を設け、
  (11)で言う専用の手洗い設備を設けること。

  (13)便所の出入口は、衛生上支障のない位置に、し尿くみ取り口は、施設の
  内部を通らないでくみ取れる位置に設けること。

  (14)便所の出入口には、足洗い槽を設け、交差汚染を防止すること。

  (15)従業員の数に応じ、清潔な更衣室又は更衣箱を設け、かつ、清潔な専用
  の外衣、帽子、履物等を備えること。

(6)衛生管理運用手順

かいわれ大根生産における微生物制御に関わる重要管理点は、原料種子及び水の
管理である。このため、原料種子及び水において、糞便由来の細菌汚染の可能性
を示唆するE.coliによる汚染を防止するための以下のような措置を講ずることと
する。

(1)原料種子

@種子に付着する可能性を有するE.coliの殺菌を可能にする適切な方法が確立され
る場合には、使用する種子は当該方法に従った殺菌を実施したものを用いるもの
とする。適当な方法が確立されるまでの間は、使用に先立ち、同一ロット番号の
原料種子から、少なくとも1検体を採取・検査し、検査結果を記録する(検査は
外部に依頼して行うこととする。)。

A検査の結果、E.coliが検出された場合には、更にベロ毒素産生菌か否かを検査し、
ベロ毒素産生菌である場合には当該ロットの原料種子の使用を中止するとともに、
ただちに、原料種子の納入業者に、当該ロットにおけるベロ毒素産生菌の混入の可
能性を連絡し、当該ロットの種子が他のかいわれ大根生産者等によって使用され
ないよう、緊急の連絡を依頼する。連絡を受けた者は、当該ロットの使用を中止
する。

B原料種子の保管、浸種から播種直前までの生産行程に関わる生産場は、小動物
に由来の病原菌(E.coliを含む)による汚染を防止するため、小動物の侵入を防
止する手段を講じる。

C種子の入庫及び使用をロット番号毎に整理し、種子の検査結果と合わせて記録
する。

(2)使用水

水道水以外の水を使用する場合には、水道法第4条及び「水質基準に関する省令」
(平成4年12月付け厚生省令第69号)に準じた水質検査(半年に1回以上の微生物に
ついての検査を含む。)を行い、水道法に定める飲用に適した水であることを確
認するとともに、かいわれ大根の生産においては、大量に水を使用することにか
んがみ、以下のいずれかの方法により、使用水由来のE.coliによる汚染を防止す
る。

@殺菌装置を設置し、次亜塩素酸ナトリウムを用いた水の殺菌を行う場合、末端
水栓で遊離残留塩素濃度が0.1ppm以上となっていることを、週に1回以上の頻
度で定期的に確認し、記録する。

A殺菌装置を設置しない場合には、少なくとも1年間、季節による微生物に関す
る水質の変化を1ヶ月に1度検査するほか、大雨・地震等突発的な事態により水
質が変化する場合があることに留意し、このような事態があった場合には臨時の
水質検査を実施することとし、その検査結果を記録する。1年を超える継続的検
査の結果、水質の安定性が確認された場合には、水道法に定める頻度の検査によ
ることができる。

なお、検査の結果飲用に不適であることが判明した場合には、微生物汚染の可能性
のあるかいわれ大根は、その安全性が製品検査等により確認されない限り、廃棄
処分とし、当該措置を記録する。

(3)冠水

栽培室において、豪雨等により生産中のかいわれ大根が、雨水・逆流水等により
冠水しないよう、排水設備等の整備に努める。また、冠水したかいわれ大根は、
全量を廃棄処分とする。この措置は記録する。

(4)製品検査による確認

上のような措置により、E.coliによる汚染の防止措置が確実にとられたことを確
認するため、1ヶ月に1度以上の頻度で製品の微生物検査を実施し、記録する。

(5)管理運営要領等の作成と記録の保管

@生産行程毎の必要管理事項等を定めた管理運営要領を作成し、生産場の見やす
いところに掲示する。また、当該要領に基づき管理運用記録表を作成し、品質管
理責任者が少なくとも週に1回、自主的な管理運用状況を確認し、当該記録表に
記入する。

A各生産行程における措置、検査結果等の記録は、1年間保管する。

(6)E.coli等の検査方法
E.coli及びベロ毒素産生菌の検査方法は、別紙により行う。

(7)その他留意事項

かいわれ大根の生産・出荷に万全を期している場合にあっても、その後の流通、
販売、消費の形態いかんによっては、その努力が生かされない場合に留意し、生
産者は、製品の包装に生産者氏名、住所及び電話番号並びに「10℃以下で保存」
すべき旨を明記する。また、以下の点につき関係者及び消費者の啓発に努める。

@流通段階において、清潔な管理を行うとともに冷蔵保管すること
A流通段階において、蘇生のための給水又は散水は必要がないこと
B消費段階において、調理前によく水洗いすること

(別紙)

       かいわれ大根のE.coli(大腸菌)及び
         ベロ毒素産生菌の検査法について

  E.coliの試験法については、食品衛生法の食品添加物等の規格基準第1の食
品D各条の冷凍食品に記載されている検査方法を準用した下の1の方法により、
ベロ毒素産生菌の検出については、下の2の方法によるものとする。

1 E.coliの試験方法等

@検体の採取及び試料の調製

 種子:検体25gを同一ロット内の5ヶ所から無作為に採取し、125グラムの
検体を作り、これを十分に均一になるよう攪拌、その中から25gを無菌的にス
トマフィルター又は滅菌容器に取り、滅菌水50mlを加えて、冷蔵庫中で検体で
ある種子が膨潤するまで放置(3時間程度)する。膨潤後、残水を捨て、ストマ
フィルターを用いた場合にあっては、袋に傷をつけないようにしながら、種子を
押し潰した後、滅菌0.1%ペプトン加生理食塩水225mlを加えて、ストマッ
カー処理(1分間)したものを試料原液とする。
 ホモジナイザー(ワーリングブレンダー)を用いた場合にあっては、膨潤後、残
水を捨てた後、滅菌0.1%ペプトン加生理食塩水225mlを加えて粉砕(1分
間)したものを試料原液とする。

製品:検体の可食部(通常喫食に用いられる部分)を無作為に10gを無菌的に
ストマフィルター又は滅菌ホモジナイザーに取り、滅菌0.1%ペプトン加生理
食塩水90mlを加えて、ストマッカー又は滅菌ホモジナイザーで1分間処理した
ものを試料原液とする。

A試験方法

試料原液を1mlずつ3本のEC発酵管に接種し、恒温水槽を用いて44.5℃
(±0.2)で24時間(±2時間:以下この項目において同じ)培養する。
その際ガス発生を認めた試料は、推定試験陽性とし、ガス発生を認めないものは、
推定試験陰性とする。
推定試験が陽性の場合は、当該EC発酵管より1白金耳をEMB培養基に画線し、
35℃(±1.0℃:以下この項目において同じ)で24時間培養した後、
E.coliの定型的集落(定型的集落がない場合は、定型的集落に類似した集落2
以上)を釣菌して、乳糖ブイヨン発酵管及び寒天斜面にそれぞれ移植する(定
型的集落に類似した集落を釣菌した場合は、各集落から釣菌したもの別にそれ
ぞれ移植する。)。
乳糖ブイヨン発酵管は35℃で48時間(±3時間)、寒天斜面は35℃で24
時間培養し、乳糖ブイヨン発酵管においてガス発生を確認した場合に、これと相
対する寒天斜面について、グラム染色後検鏡し、グラム陰性無芽胞桿菌を認めた
場合をE.coli陽性とする。

2 ベロ毒素産生菌の試験方法等

@検体の採取
上の2の@の種子の項で検体とした種子の残り100g(これが困難な場合に
は、同@の種子の項の方法で再度採取を行う。)を検体とする。

 A試料の調製及び試験方法

   国立衛生試験所の方法に準ずる。

(別紙参考)

国立衛生試験所におけるベロ毒素産生菌の試験方法

@試料の調製

よく攪拌した種子100g(125g)から25gを無菌的にストマフィルター
に取り、滅菌水50mlを加えて冷蔵庫中で種子が膨潤するまで放置(3時間程度
)する。
 膨潤後、残水を捨て、袋を傷つけないようにしながら種子を押し潰した後、乳
糖ブイヨン225mlを加えてストマッカー処理(1分間)したものを試料とする。

A試験方法

 試料を37Cで18〜24時間培養後、1mlづつを3本(試験管)のノボビ
オシン加mECブロス15mlにそれぞれ接種し、37Cで18〜24時間培養
する。培養後、ノボビオシン加レインボウ寒天、CT−SMAC寒天およびDH
L寒天平板培地に画線塗抹し、37Cで18〜24時間培養する。培養後、大
腸菌Oー157及びOー157以外の大腸菌(E.coli)と思われる定型的集落
を1平板当り5集落づつ釣菌(定型的集落がない場合は、定型的集落に類似した
集落2個以上を釣菌する。)して、ベロ毒素産生試験及びベロ毒素遺伝子確認
試験を行う。

 なお、ベロ毒素産生試験及びベロ毒素遺伝子確認試験の方法については、前
者は、大腸菌ベロトキシン検出用キット(デンカ生研)を、後者は、Oー157
(ベロ毒素遺伝子)premixPCRscreeningKit(TaKaRa)Oー157(ベロ毒素1
型、2型遺伝子)PCRタイピングセット(TaKaRa)を参考にするとよい。ただ
し、PCRの使用にあたっては、営業行為が可能か否かを必ずTaKaRaに確認する
こと。

(参考1)

かいわれ大根生産衛生管理マニュアル策定の基本的考え方

(1)策定に当たっての基本的な考え方

 @ かいわれ大根生産の特質

 かいわれ大根の生産は、栽培に長期間を要する他の農産物とは異なり、幼植物
を利用することから、播種から1週間程度で収穫・出荷されるという特徴を持っ
ている。このため、生産行程は比較的単純であり、生産者ごとの生産方法の相違
は小さい。また、その生産は、施設内で土を用いずに行われることから、天候・
気象要因に左右されることが少なく、工業製品に類似した安定的な生産を行うこ
とができる。
 このような特徴を考えれば、かいわれ大根生産は、他の農産物とは異なり、そ
の生産工程の一部を工業生産の行程と捉えることができるとの認識の下、かいわ
れ大根生産衛生管理マニュアル(以下、「マニュアル」という。)の検討を進め
た。
 具体的には、食品製造業で導入されている衛生管理の手法を、かいわれ大根生
産に導入することは可能であるとの認識の下、食品衛生法でいう管理運営基準や
設備構造基準などの考え方の一部を導入する方向で検討した。
 他方、かいわれ大根の生産行程の一部は、外気の流入が自由に行われるハウス
内で行われていることから、この部分においては、他の施設園芸作物と異なると
ころはなく、工業生産的な衛生管理の考え方を導入することは難しいと考えられ
る。

 A かいわれ大根生産における衛生管理水準

かいわれ大根を含め現状の生食用野菜等農産物が、衛生管理の視点からみれば、
生産段階等で、「食品」として取り扱われていないとの認識の下、かいわれ大根
に対する消費者の信頼を回復するためには、かいわれ大根についての衛生管理上
の認識を、生産・流通段階で農産物から「食品」へ変える必要があると考えられ
る。

 さらに、かいわれ大根生産の衛生管理の水準を高度かつ信頼性の高いものとす
るために、現在、食品製造分野で導入が進められているHACCP(危害分析重
要管理点)方式の考え方ができるかぎり取り入れられるよう留意した。

 すなわち、実際の生産行程を詳細に把握し、各生産行程における微生物の繁殖
の程度を調査(危害分析)した上で、特に重点的に管理すべき点(重要管理点)
を明らかにし、当該部分における衛生管理の手法を詳細に決める(記録及び汚染
がみられた場合の措置の内容を含む。)ことにより、最終製品における日常的な
微生物検査が不要となるような衛生管理手法を検討した。

 B マニュアル策定の緊急性

 堺市学童集団下痢症の原因究明の過程で、特定施設から出荷された特定時期の
かいわれ大根が原因食材として示唆される報告がなされたことに伴い、かいわれ
大根の消費が大きく落ち込んでいることに対応して、消費者の不安を除去するた
め、緊急に衛生管理マニュアルを策定する必要性に考慮し、現行の知見及び短期
間の調査・実験で明らかとなる知見の範囲内で、衛生管理マニュアルを策定する
方針とした。
 このため、衛生管理の重要性等が不明な部分については、とりあえず、安全性
の水準を高めに設定する等の措置を採った。
 このように緊急に策定されるマニュアルであるとの認識から、今後、更に検討
を進め、明らかとなった知見を生かして、マニュアルの見直し作業に着手する必
要がある。

(2)主要検討課題

 @ 危害の特定

 今回の検討の対象となる主な危害を微生物による汚染に置くことについては、
共通の認識であったが、対象とする衛生指標菌を、生菌(一般細菌)、大腸菌群、
糞便性大腸菌群又は大腸菌(E.coli)のいずれとするかを検討した。

 これら指標菌は、それぞれ食品の微生物汚染の程度を推定するために用いられ
るものであり、順序が後ろになるほど検査方法が複雑になる。一般に、非加熱食
品の指標としては、糞便性大腸菌群又は大腸菌が用いられる。これは、加熱食品
の場合、適切に加熱されれば大腸菌群は死滅することから、加熱後に大腸菌群が
検出されることは、不十分な加熱又は加熱後の汚染を示唆するのに対し、非加熱
食品、特に農産物の場合には、自然界に多数の大腸菌群が存在することから、そ
の存在が必ずしも製品の安全性を損なうものではないと考えられるためである。
他方、糞便性大腸菌群及び大腸菌は、大腸菌群に比べヒト及び動物の糞便に存在
する可能性が高く、しかも自然界では死滅しやすいことから、これが存在するこ
とは、比較的新しい糞便汚染があったこと、すなわち、腸管系病原菌の可能性を
示すものと考えられるものである。

 かいわれ大根の種子は農場で生産されるため、土壌細菌がこれに紛れ込むこと
は避け得ない上、生産行程の中に、高温・多湿の状態で行う発芽行程が含まれる
ことから、生菌数等の増加を制御することは難しいと考えられる。実際、製品検
査の結果、かいわれ大根の菌数は他の食品に比べ多いことが認められているが、
菌数が多いことは、その中に有害な菌を含まない限り問題ではないと考える。ま
た、逆に菌数が多いことが、有害な菌が流通過程等において付着した場合にも、
その菌の増殖を抑制する働きをするとも考えられるが、この点については、今後、
更に検討を要する。

 以上から、かいわれ大根についての糞便由来の汚染の指標菌としては、最も厳
密な指標菌である大腸菌(E.coli)を用い、基準値は大腸菌が陰性であることと
する。ただし、かいわれ大根種子については、一部の種子に大腸菌が付着してい
る場合があり、かつこれを適切に殺菌するための技術が開発されていないことを
考慮し、当面は、当該大腸菌がベロ毒素産生菌でないことまでを確認した上で使
用する。

 なお、「大腸菌」という表記が、場合によっては糞便性大腸菌群を指すことか
ら、マニュアル中の表記を、ラテン名の「E.coli」に統一する。

 A 危害の分析と重要管理点の設定

 3ヶ所の生産施設の生産行程を調査・分析した結果、種子を含め大腸菌群は検
出されたものの、E.coliは検出されなかった。しかしながら、市販のかいわれ大
根種子の検査(厚生省国立衛生試験所)の結果、いくつかのロットから、E.
coliが検出された。

 また、生産施設の調査・分析の結果、使用水の細菌密度には問題は少なかった
が、使用水の汚染は、水を多用するかいわれ大根の生産行程に考慮した場合、製
品の微生物汚染を引き起こす可能性が大きい。
 また、栽培室に置かれたかいわれ大根が、集中豪雨等により冠水した場合には、
水に汚水等が混入しているおそれがあり、微生物汚染の可能性が非常に高くなる
との危惧がある。

 更に、現行の種子の管理状況では、ネズミ等小動物の出入りによる汚染の可能
性があり、種子の汚染が製品全体の汚染につながる可能性がある。なお、ネズミ
の嗜好性試験の結果等からは、種子及びかいわれ大根に対するネズミの嗜好性は
高くないことが示唆されている。

 以上のような検討結果から、データの不足から必ずしも十分な分析は行えなか
ったものの、かいわれ大根生産における微生物制御に係る重要管理点は、水及び
種子と考えることが最も適当であるとの結論に達した。

  B 重要管理点における管理の考え方

(i)種子

 種子にE.coliが付着している可能性を考慮して、適切な種子殺菌を行う必要性
が指摘されたが、過去の経験から、現行の次亜塩素酸ナトリウムを用いた化学的
殺菌方法では十分な殺菌効果は期待できないと考えた。他方、長時間の乾熱殺菌
の方法を採れば十分な殺菌効果があると思われたが、70℃1日処理で発芽勢の
低下がみられた。

 かいわれ大根の生産においては、混入した不発芽種子が腐敗の原因になること
から、発芽勢の低下する殺菌方法は実用性を持たないため、発芽勢に影響を与え
ない新たな殺菌方法を早急に開発する必要がある。

 従って、大腸菌の殺菌を可能にする適切な方法が確立できた場合には、使用す
る種子は当該方法に従った殺菌を実施したものを用いることとする。また、それ
までの間は、種子の全ロットの検査を実施する必要がある。すなわち、種子の使
用に先立ち、同一ロット番号の種子については、少なくとも一検体(標本として
十分な量)を採取・検査する。検査の結果、E.coliが検出された場合には、さら
にベロ毒素産生菌か否かの確認を行い、ベロ毒素産生菌である場合には、当該ロ
ットは使用しないことにする。

 なお、E.coliの検査方法は、食品衛生法に規定されている方法により、ベロ毒
素産生菌であるか否かの確認は、国立衛生試験所の方法により行う。

(ii)播種作業前までの小動物の侵入防止等

 種子の保管、浸漬から播種プラントによる播種作業の直前までの間は、ねずみ
等小動物の侵入による種子の汚染を防止するため、侵入防止のための適切な措置
を講ずることにする。

 栽培室については、開放形の施設であることから、侵入防止措置を講ずるため
には、相当の設備投資を要すること等を考慮し、施設全体の小動物、昆虫等の駆
除を随時行い、その記録を保存することにする。

(iii)使用水

 塩素消毒されている水道水以外の水を使用する場合、すなわち、井戸水、自家
用水道等の水を使用する場合にあっては、飲用に適することが確認された水を用
いる必要がある。具体的には、3年に1回以上の全項目についての水質検査を行
うとともに、半年に1回以上の微生物についての検査を行う等により、水道法に
定める飲用に適した水であることを確認する。

 更に、かいわれ大根の生産における衛生管理上の水の重要性にかんがみ、塩素
消毒装置の設置を義務づけるべきではないかとの考え方もあるが、塩素消毒を行
わない良質な水を使用していることをセールス・ポイントにした販売を行ってい
る生産者があることに留意し、塩素消毒を行わない場合には、より厳密な検査を
行うことにする。

 なお、確実に塩素消毒が行われることの重要性から、信頼性の高い塩素濃度の
管理(一定濃度の保持)、塩素タンクの次亜塩素酸ナトリウム量の確認等を連続
的又は継続的に管理・記録するシステムの導入が望ましい。

   (iv)栽培室における冠水

 栽培室における冠水を防止するための排水設備整備及び冠水があった場合の記
録及び廃棄処分が必要となる。

(V)適切な管理をおこなうための一般的事項

 マニュアルは標準的な生産行程を想定して作成するものであるので、実際の生
産施設は、それぞれ特徴ある生産行程を持っている場合も多くある。従って、か
いわれ大根生産者は、マニュアルに準拠しつつも、各生産施設に合わせた衛生管
理体制を構築する必要がある。このような体制作りを行わなければ、継続的な衛
生管理水準の維持は困難となる。

 このため、上のような重要管理点における管理を適切に行うとともに、そのほ
かの一般的な衛生管理についても、責任を持った対応が行えるよう、各生産施設
は品質管理責任者(営業者である必要は必ずしもないが、営業者から衛生管理上
の責任を委ねられている必要がある。)を定めるととともに、品質管理責任者を
食品衛生に関する講習会等に参加させ、基礎的な知識を身につけさせることが重
要である。また、品質管理責任者が中心となって、管理運営記録表等の作成及び
その保管が適切に行えるような体制を整備するとともに、従業者の教育を行う必
要がある。

 C その他の検討事項

  (i)次亜塩素酸ナトリウムの使用

 マニュアルで定める殺菌処理が農薬としての規制を受けるか、また、その使用
により、有機農産物等のガイドラインの定める「無農薬」の要件が損なわれるも
のか否かについては、種子及び使用水の殺菌のために用いる次亜塩素酸ナトリウ
ムは、人の健康を保護するためのものであり、農作物を害する菌の除去を目的と
するものではないことから、農薬取締法に規定する農薬には当たらず、その使用
が、無農薬表示の要件を損なうものでもないと整理することが適切である。

  (ii)表示事項

 マニュアルに従った適正な衛生管理が行われている製品の出荷に当たっては、
消費者等からのクレームに対し責任ある対応ができるよう、住所(電話番号を含
む)及び生産者名を表示するとともに、流通消費段階での衛生管理上の取り扱い
に問題の生じないよう、製品に「10℃以下で保存」の表示を行うことにする。

(iii)流通・消費段階での留意事項

 マニュアルは、かいわれ大根の生産者を対象としたものであるが、いかに適正
な生産・出荷段階における衛生管理が行われても、流通・消費の段階で不適切な
管理が行われれば、安全な食品の供給は期しがたい。このため、生産者は、流通
・消費段階での清潔な管理と冷蔵保管、流通段階での給水等の制限及び調理前の
水洗いの励行について、関係者及び消費者の啓発に努める必要がある。

(参考2)
かいわれ大根生産衛生管理マニュアル策定委員会検討経過

委員会名等開催時期開催場所出席委員検討内容
準備会8月20日(火)農林水産省農産園芸局第2会議室一色委員、小久保委員、日佐委員、高垣専門委員 ・かいわれ大根生産衛生管理マニュアル検討手順の打合わせ
かいわれ大根生産行程調査8月27日(火)午前A社かいわれ大根生産施設全委員・かいわれ大根生産行程の実態調査
第一回委員会8月27日(火)午後農林水産省三番町分庁合第1会議室全委員・主要治旨及ぴ構成の検討・原案の検討
生産管理状況調査9月 1日(日)A社かいわれ大根生産施設小沼委員、日佐委員、高垣専門委員・生産施設衛生管理状況調査と分析用検体の採取
生産管理状況調査9月 2日(日)B社かいわれ大根生産施設日佐委員、篠崎委員、高垣専門委員・生産施設衛生管理状況調査と分析用検体の採取
生産管理状況調査9月 3日(日)C社かいわれ大根生産施設 日佐委員、高垣専門委員・生産施設衛生管理状況調査と分析用検体の採取
予備検討会9月 5日(木)日本施設園芸協会小沼委員、日佐委員、高垣専門委員・調査・分析結果の事前検討
第二回委員会9月13日(火)農林水産省第2会議室全委員・調査・分析結果を踏まえたかいわれ大根衛生管理マニュアル素案の検討
予備検討会9月19日(木)午前日本施故園芸協会態谷・小沼委貝を;除く全員・かいわれ大根生産衛生管理マニュアル2次案予備検討
第三回委員会9月19日(木)午後(株)海事センターピル801会議室態谷委員を除く全委員・かいわれ大根生産衛生管理マニュアル2次案予備検討
第四回委員会9月30日(月)イカリ環境事業本部本社会議室一色委員を除く全委員・かいわれ大根生産衛生管理マニユアル3次案の最終検討

(参考3)

かいわれ大根生産衛生管理マニュアル策定委員会委員構成

(委員)

一色賢司  農林水産省食品総合研究所流通保全部 上席研究官

熊谷 進 国立予防衛生研究所 食品衛生微生物部長

小久保彌太郎  東京都立衛生研究所 乳肉衛生研究科長

小沼博隆    国立衛生試験所衛生微生物部 第2室長

篠崎正俊    アグリ食品有限会社 代表取締役

田中芳一  農林水産省食品総合研究所 流通保全部長 (座長)

中島武彦    農林水産省野菜・茶業試験場企画連絡室 研究技術情報官

日佐和夫    イカリ消毒株式会社CLT研究所 所長

降矢敏朗    有限会社降矢農園 代表取締役
                           (五十音順)

(専門委員)

  高垣博志    イカリ消毒株式会社CLT研究所 主任研究員


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NOV. 12, 1996