食品の安全な調理に関するWHOの黄金律
(ゴールデンルール)


 WHOのデータは、各地で発生している食品に起因する病気(foodborne disease)の大部分がごく少数の原因によって、引き起こされていることを示している。
 その原因とは、喫食の数時間前に食品を準備すること、病原性を有する細菌の増殖と毒素の産生に適した温度により保管すること、病原物質を減少させるか除去するために必要な調理と再加熱が不十分であること、交叉汚染、食品の衛生的な取扱いに関する個人の知識が不十分であることなどである。
 WHO(世界保健機構)は、現代世界における最も大きな健康問題の一つとして、汚染された食品による病気に注意している。これらの病気は、幼児と免疫能の低下した人々と妊娠している女性と老人にとっては、致命的な結果をもたらし得る。
 食品に起因する病気の危険を非常に減少させ、あなたの家族を守るために、次の10の基本的なルールに従いなさい。

  1. 安全性に注意して加工処理された食品を選ぶ。
      果物と野菜のような食品は、自然の状態が最良であるが、その他の食品は、加工処理されなければ、安全ではない。生ミルクではなく、低温殺菌されたミルクをいつも買いなさい。もしも、選べるのであれば、放射線照射により処理された新鮮な鶏肉または冷凍鶏肉を選びなさい。買い物をするときには、食品加工は、貯蔵期間を延ばすのと同時に安全性を向上するために開発されたことに注意しなさい。
     レタスのように生で食べられる食品は、完全な洗浄を必要とする。

  2. 食品を徹底的に調理する。
      多くの生の食品(鶏肉、牛・豚肉、卵、殺菌されていないミルク)は 病原微生物により汚染されているだろう。
     完全な調理より病原体を殺すことができるが、このとき、食品の全ての部分について、その温度が少なくとも70℃に達しなければならない。もし、調理された鶏肉の骨の近くがまだ生であるならば、調理が完全に終わるまで、その鶏肉をオーブンに戻しなさい。
     凍った肉、魚、鶏は調理する前に、完全に解凍されていなければならない。

  3. 調理された食品は、すぐに食べる。
      調理された食品が室温にまで冷えた時に、微生物は増殖し始める。さらに時間が経てば、それだけ危険は大きくなる。安全のために、調理された直後のまだ熱い食品を食べなさい。

  4. 調理された食品は慎重に保管する。
      食事の準備を早めにしなければならない時や、残り物を保存したい時には、必ず熱い状態(60℃以上)か、冷たい状態(10℃以下)で保存しなさい。4〜5時間以上、食品を保存するつもりならば、この条件は必要不可欠である。また、幼児のための食品を保存することは好ましくない。
     食品に起因する病気を引き起こす一般的な失敗は、冷蔵庫の中に、温かい食品を多く入れすぎることである。詰め込みすぎた冷蔵庫の中では、調理済みの食品は、その中心部まで、必要な時間内に冷えることができない。
     食品の中心部が、あまりに長い間10℃以上であると、微生物は病気を引き起こすレベルにまで速やかに増殖する。

  5. 調理済みの食品は完全に再加熱する。
      十分な再加熱は、貯蔵の間に増殖したかもしれない微生物から、身を守るための最良の手段である。(適切な保存は、微生物の増殖を抑制するが、微生物を殺しはしない。)
     食品の全ての部分が少なくとも70℃に達するまで、完全に再加熱する。

  6. 生の食品と、調理済みの食品との接触避ける。
      安全につくられた食品でも、生の食品とのほんの僅かな接触によって、汚染されてしまうことがある。生の家禽肉が調理済みの食品と直接接触することによって、この交差汚染は起こる。
     しかし、それよりも、もっと些細なこと、例えば、生の若鶏肉を調理したのと同じまな板やナイフを洗浄せずに、調理された鶏を切るために使うことによっても起こる。こうすることによって、病原微生物を再び招き入れることになる。

  7. くり返し手を洗う。
      食事の準備を始める前と作業を中断した後、特に赤ん坊のおむつを替えたり、トイレへ行った後では、徹底的に手を洗いなさい。
     魚、肉、家禽のような生の食品を扱った後では、他の食品を扱うことを始める前に、再び手を洗いなさい。
     もし、あなたの手に傷があるのならば、食品を準備する前に、必ず包帯等で傷を覆いなさい。
     犬や猫、鳥などの身近なペット、それにカメなどのは虫類には、あなたの手を介して、食品を汚染する危険な病原体が潜んでいる。

  8. 台所のすべての表面を常に清潔に保つ。
      食品は非常に容易に汚染されるので、食品準備のために使われる施設や器具のどんな表面も、絶対に清潔にしておかなければならない。どんな食品のかけらも、くず粉も、汚点も、細菌の潜在的な貯蔵場所として考えなさい。
     皿や用具と接触する布は、しばしば取り替えられるべきであり、再利用の前に煮沸されるべきである。床をきれいにすることのための別の布も、頻繁な洗濯を必要とする。

  9. 昆虫とねずみと他の動物からの食品を保護する。
      しばしば動物は食品に起因する病気を引き起こす 病原微生物を運ぶ。
     閉ざされているコンテナで保存された食品は、あなたを最も良く保護する。

  10. 安全な水を使用する。
     安全な水は、水を飲む場合と同程度に、食品を準備する時にも重要である。
     水の供給に何らかの疑いがあるのならば、ドリンクに加える氷を作る前か、または食品に加える前に、その水を煮沸しなさい。
     幼児の食事を準備するのに用いる水には、特に気を付けなさい。

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2000年10月29日