平成14年11月28日

自民党医療基本問題調査会ワーキンググループの中間報告


高齢者医療制度のあり方について

(新しい高齢者医療制度の創設等制度体系見直しWG)

(基本的な考え方)

急速な高齢化、経済の低迷、国民の意識の変化など医療保険制度を取り巻く環境が大きく変化している。とりわけ、高齢者の医療費は国民医療費30兆円のうち約3分の1を占めているが、今後とも急速に増大していくことが見込まれており、将来にわたって持続可能な医療保険制度としていくためには、高齢者医療制度の見直しは急務である。

高齢者医療制度の見直しに当たっては、保険者の自主性・自立性を尊重し、かつ、自立と社会連帯による相互扶助の仕組みを基本としながら、増大する高齢者の医療費の適正化を図りつつ、保険料、患者負担、公費という限られた財源によって医療費を公平に負担していく仕組みとしていくことが必要である。

(対応の方向)

高齢者の医療費が急速に増大し続けていることを踏まえ、高齢化のピーク時においても、保険料、患者負担、公費という限られた財源の中で、医療費の適正化を図りつつ、公平に、かつ、現役世代の負担水準が過重となることなく賄える持続可能な仕組みとする。

その際、個人の自立を基本とした社会連帯による相互扶助の仕組みである社会保険方式を維持する。

高齢者にも、適切なある程度の保険料負担を求める。

高齢者自らの保険料負担に加え、被用者保険と国保の各保険着からの世代間の助け合いという観点に立った新たな支援措置を組み合わせる。

高齢者医療の対象者は75歳以上とし、公費負担については、後期高齢者の疾病リスクや負担能力を勘案し、介護保険とのバランスを考慮する。

少子・高齢化の進展や就業構造の変化等により、各保険者の年齢構成や負担能力に差異が生じており、これが各保険者の財政力の差となって現れている。高齢者医療の在り方の検討とあわせ、こうした構造的な問題にどう対処すべきか検討を行う。

保険者の役割と機能が適切に発揮されることにより、効率的で質の高い医療サービスの提供を図る。

増大する高齢者の医療費について、国、都道府県、市町村等の連携のもとで適正化を図る。


政管健保のあり方を含めた保険者の統合、再編のあり方について

(政管健保のあり方を含めた保険者の統合、再編WG)

(基本的な考え方)

○医療制度改革の基本的課題は、国民皆保険体制やフリーアクセスの原則を堅持しつつ、将来とも良質な医療を確保し、持続可能な制度に再構築していくことができるかどうかである。

○医療保険制度については、これまでも、社会経済情勢の変化等に対応して、その都度、改革を実施してきたところであり、過去の改革の積み重ねの上に現在の制度が成り立っている。

 また、被用者保険、国保いずれにおいても、それぞれの保険者が制度の運営に当たって重要な役割を果たしてきた。

○今後の制度改革に当たっては、保険者の自立性・自主性を尊重した上で、社会経済情勢の変化に対応するため、給付の平等、負担の公平を目指した改革に持続的に取り組んでいく必要がある。

(対応の方向)

○医療保険制度の一元化を将来の方向とすることは、一つの有力な考え方である。

○その検討に当たっては、これまで保険運営を担ってきた各保険者の歴史的経緯や実績を十分に尊重するとともに、医療サービスには地域性があるという特質を十分勘案し、給付の平等と負担の公平が確保されるような安定的・効率的な仕組みを構築していくことが必要である。

○現状では、5,000余りの保険者が分立しているが、保険者規模や掟供される医療サービスの地域的なまとまりといった観点から、再検討を加える必要がある。

・国民健康保険については、小規模な保険者(市町村)が多く保険基盤が脆弱化しているほか、保険料格差などが生じており、同種同業により構成される国保組合の問題も含め、地域保険としての公平な運営という観点から課題がある。

・政府管掌健康保険については、全国一本かつ大規模な保険者によって運営されていることから、それぞれの地域において提供される医療サービスを地域ごとに保障するといった視点が明確でないほか、保健事業などきめ細かな対人サービスなどの面において問題があるという指摘がある。

・健保組合については、産業構造・就労構造の変化等に伴い、小規模で財政が窮迫している組合が多く存在している。

○こうした状況を出発点として、医療保険制度の一元化を進めるため、まずは、被用者保険、国民健康保険それぞれについて、保険者の再編・統合を促進する。

○その際、医療サービスや医療費には地域性・地域差があることを認識した上で、地方の自主性や主体性を尊重するという視点に配慮して、都道府県単位など地域のまとまりを軸とした保険運営について検討する。

○各保険者について、再編・統合の基本的な方向は、以下のとおり。

・国民健康保険については、市町村合併の取り組みとあわせ、事業の共同化や財政運営の広域化を行う。

 この場合、被保険者管理や保険料徴収等の実務面に配慮しつつ、国保運営における都道府県の役割や広域的な保険運営を可能とする新たな仕組み、職域保険と地域保険という観点からみた国保組合の在り方についても検討する。

 また、併せて、市町村国保における低所得者について、その費用負担の在り方について検討する。

・政府管掌健康保険については、基本的には都道府県を単位とした財政運営を行うことについて検討する。その際、地域の実情に応じた事業運営やきめ細かな保健事業の展開ができるよう、あわせて検討する。

・健保組合については、すでに大多数の組合がそれぞれの都道府県を単位とする地域において活動しているという状況を踏まえ、規制横和等を通じて小規模組合、財政窮迫組合の再編・統合を図るとともに、再編・統合の新たな受け皿について検討する。

・職域保険としての共済制度の在り方についても検討する。

○以上のような保険者の再編・統合を通じて、都道府県単位を軸とした一定以上の規模を有する保険者が、各地域における医療サービスを保障する姿を目指す。

○こうした保険者の再編・統合の検討に際しては、最終的な財政責任の主体をどのように考えるべきか、検討を行う。

○また、こうした地域的なまとまりの中で、可能な限り、被用者保険と国保を通じた事業の共同化・共通化を推進することにより、保険運営の合理化・効率化を図るとともに、住民や被保険者等の意見を反映し、地域の実情に応じた保険運営を行う。

○医療保険制度と関連する他制度との関係整理について検討するとともに、現金給付の必要性など医療保険としての役割の在り方について検討する。


診療報酬体系見直しに関する検討事項

(診療報酬体系見直しWG)

T 見直しの基本理念

○医療の質の維持向上、効率的な医療の提供の確保、患者への情報提供の推進、国民の受診機会の平等などが保証される体系とする。

○医療提供に係るコストを合理的に反映し、医療機関の経営の安定化と効率化に資する体系とする。

○医師の裁量権を尊重しつつ、技術評価重視の方向を明確にした体系とする。

○医療機関の役割分担を促進し、地域医療体制を確立できる体系とする。

○わかりにくく複雑な体系を簡素化し、原価コスト、患者特性などを反映した合理的な説明ができる体系とする。

U 具体的な検討事項

1 基本事項

○技術料重視、「ホスピタルフィー」と「ドクターフィー」の明確化を具体的に推進する。

○現行の診療行為別の体系に疾病別の包括評価のような体系を取り入れていくことを検討する。

○大病院、中小病院、診療所や公私病院のコスト構造、財政基盤、医療提供体制における役割・機能に応じたものとする。

○患者負担の増大、受診機会の平等性が失われるなどの問題に配慮しつつ、特定療養費や保険外診療のあり方を検討する。

2 個別事項

○急性期入院医療について、特定機能病院や国立病院等は包括払いを推進する。慢性期入院医療について、病態や自立度を勘案した一日定額払い方式を拡大する。

○かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の推進、在宅医療の推進など、プライマリケア重視を具体的に進める。

○医療技術について、時間や難易度に関する調査を進め、それを反映したものとする。

○看護の必要度に関する調査研究を進め、それを反映したものとする。

○歯科診療について、出来高払いを基本とし、リスク管理を反映したものとする。

○調剤報酬について、保険薬局の機能・服薬状況、薬局と病院における薬剤師の員数配置などに対応したものとする。

○医薬品については、新薬の算定方式の見直しを検討するとともに、後発品の安定供給を確保し、その使用拡大を推進する。医療材料について海外価格との調整を推進する。

○予防給付、不妊治療給付などについて、財政問題、技術の安全性・成熟度などに配慮しつつ、公的保険給付の適用のあり方について検討する。

3 その他

○診療報酬決定方式のあり方について、中医協のあり方を含め、患者、保険者、医療提供者の意見、医療経済実態調査などが公平に反映され、納得される仕組みとする。

○療養担当規則についても、そのあり方について検討する。

○IT化の推進に伴う医療に関するデータが適切に活用されるようにする。


将来の医療提供体制の在り方について

(医療提供体制の改革WG)

 我が国の医療制度は、平均寿命や健康寿命が世界のトップレベルにあるなど国際的にも高く評価されており、国民の健康な生活を確保する基盤となっているが、一方、近年、医療を取り巻く環境が変化する中で、医療の更なる質の向上や効率化を図るため、医療提供体制を見直すことが求められている。

 このため、当ワーキンググループにおいては、本年6月27日の第1回会合以来、精力的に、有識者、関係団体からのヒアリングを行うとともに、医療提供体制の課題及び改革の方向について議論を行ってきたところであり、今般、その成果として、将来の医療提供体制の在り方について中間的にとりまとめることとした。

 今後の医療提供体制の改革は、医療は社会的共通資本であるとの国民的な共通認識を醸成するとともに、医療人と患者の信頼関係に基づく患者本位の医療を確立するということを基本的な方向として推進すべきであり、そのため、次の事項を柱とした改革に取り組んでいくべきである。

専門家としての医療人と患者の双方の自由と責任の確立

健康に対する自己責任・管理と患者の医療への参加

○予防から治療までの一貫した保健医療サービスの提供

○入院中心の医療から外来、在宅医療への流れを加速するための、医療樺開の機能分化と連携等の推進

○情報提供の推進、情報の共有化を通じた医療機関相互の切磋琢磨とこれによる医療の質の向上

○医療人の確保と資質の向上

○最新の医学・技術的基盤

 また、こうした改革を推進するために必要なコストをどのように分担していくのかという問題を十分議論することが重要である。この点を含め、現時点で、具体的な施策に関する論点を整理すると、別添のとおり

である。

 今後、更に議論を進め、継続的に改革に取り組んでいくことで、患者のニーズに応じ、公平公正で、最善の医療を効率的に提供できる医療提供体制を構築していく必要がある。


(別添)

将来の医療提供体制の在り方について(論点メモ)

 

1.医療提供体制の整備と医療機関の機能分化の推進

○科学的調査(患者のニーズに応じて最新の医学に基づいて医療を行った場合の平均在院日数や病床数など)による現状分析と将来予測

○医療計画の実効性を高め、地域医療を真に確保するための、国、都道府県等の役割分担の検討

○医療提供体制の整備に要するコストの分担の在り方の検討

○病院・病棟の機能分化の一層の推進

・急性期にある患者に対し、必要な人員配置により、重点的な医療を行う病床の整備と集約化

・長期療養が必要な患者に対し、療養環境に配慮した病床の整備と介護施設への転換の促進

・リハビリテーション、在宅医療の後方支援等を行う病床の位置付け

・患者のニーズに応じた医療サービス提供のための専門性のある機能分化と人員配置の推進

・看護業務のあり方の見直し

○高齢者の医療と介護の役割分担の明確化と連携の推進

2.在宅医療をはじめとした身近な地域における質の高い医療サービス提供の推進

○患者に身近な医療の拠点となる診療所等の機能の強化

・予防的な医療、一般的な医療、専門医への紹介などの機能を有する「かかりつけ医」、「かかりつけ歯科医」の普及

・医薬品情報提供・指導、在宅患者への対応などの機能を有する「かかりつけ薬局」の普及

・医療サービスに係る情報提供等により患者が、「かかりつけ医」等を選び、倍頼関係をつくる手法の明確化

○患者の生活の質(QOL)を重視した在宅医療等の推進

・夜間も含めて在宅医療に取り組む医師、看護師等の養成

・医師の包括的指示と看護の質の向上

・訪問看護ステーションの設置促進

・患者や家族が在宅医療を選択できるような動機付けの検討

・在宅における患者の「看取り」、尊厳ある死と医療の関わり方の検討

・高齢者の口腔衛生における歯科医療のあり方

・医療ニーズの高い在宅療養者に対する生活支援のあり方の検討

○地域における医療機関のネットワーク化の推進

・地域医療における病院、診療所、助産所、薬局、訪問看護ステーション等の機能分担と連携が推進されるような方策の具体化

○地域における保健・医療・福祉サービスの連携の強化

・住民本位のコミュニティを基盤としたサービスの組み立て

・医療保険の保険者が主体となった健康づくり対策等の位置付け

3.健康づくり対策、予防医療の推進

○予防医療と従来の治療を中心とした医療との関連付け、一貫性のある提供

○また、そのコスト分担についての医療保険との関係の整理・検討

○健康づくり対策、疾病予防の推進

・保健事業の効果の科学的・実証的分析の実施

・地域・職域・学校の連携など関係者が一体となった生涯を通じた健康づくり対策の推進

・予防歯科医療の推進

・高齢者の生きがいづくりの推進

4.情報提供の推進とこれを通じた医療機関相互の切磋琢磨

○情報の共有化による医師と患者の信頼関係の再構築、医療の質の向上

・医療機関において、相談することが患者の不利益にはならないことを明示した患者相談の窓口と体制の整備を推進

・患者と十分対話して治療計画を作成するなど患者の医療への参加

○患者の選択に資する医療機関情報提供の推進(医療機関本来の責務)

5.救急医療の充実をはじめとする地域医療の確保

○救急医療の充実

・2次医療圏単位での救急医療体制の整備

・救命救急センターの充実

・搬送途上における救命医療の充実

・一般市民による心臓マッサージ等応急手当の普及推進

・小児救急医療の充実

○へき地医療対策等の推進

6.新しい臨床研修制度の構築など、医師、看護師等医療従事者の確保と資質の向上

○社会的共通資本としての医療を担う人材をトータルで養成するための新しい臨床研修制度の構築

・医師としての人格の滴養、プライマリケアへの理解に立って患者を全人的に診ることができる診療能力の修得を第一とした臨床研修の堆進及びそのための体制整備

・新しい臨床研修制度のコストの分担のあり方の検討

・2次医療圏における臨床研修指定病院の整備

・医学教育改革の推進及び臨床研修との一貫性の確保

・歯科医師の臨床研修の必修化への適切な対応

○医師・歯科医師をはじめとした医療従事者の生涯教育の推進

○看護師等の確保と資質の向上

・卒前の技術教育や卒彼の研修の在り方など資質の向上

・医療の高度化に対応した専門性の高い看護師の養成の推進

○薬剤師の役割の明確化と臨床重視のための薬学教育6年制の実現

7.医療安全対策の総合的推進

○医療安全対策の総合的推進

・地域における患者に身近で専門的に相談を受けることができる体制の整備

丁医療従事者の医療安全教育・研修の充実

・医療機関におけるリスク・マネージャーの設置等組織的な取組の推進

・ヒヤリ・ハット事例等の収集・分析による医療事故防止対策の推進

・医療廃棄物の減量化・適正処理の推進

8.新しい時代の医療提供のための基盤整備

○EBM(根拠に基づく医療)の推進

○医療のIT化の推進による医療の質の向上

・電子カルテシステムをはじめとしたIT化推進のための基盤整備

・ITを活用した地域医療ネットワークの普及による地域医療連携の推進、在宅・遠隔診療の推進

・個人単位の医療・健康情報をデータベース化することによる健康づくりの推進、医療の質の向上

○医療法人の組織、運営、財務の見直しを通じた新たな医業経営システムの構築とマネジメントの機能の強化

○研究開発の推進

・新しい医療技術の開発促進と当該技術を活用した高度な医療の提供の推進

・医薬品・医療機器産業の国際競争力の強化

○医療関係データの分析と医療政策の調査研究を推進するための体制整備


社会保険庁等の改革の基本的な論点と方向性について

(社会保険庁等の改革WG)

1.社会保険庁等の改革の基本的な論点

○先般の健康保険法等の一部改正は、医療保険制度の厳しい財政状況を背景に、これを将来にわたり持続可能で安定的なものとしていくため、患者一部負担金の見直しや、政管健保の保険料の引上げ等、国民に対して厳しい負担を求める内容となった。

○政府が国民に対してこのような負担を求める以上、まず、政管健保の保険者である社会保険庁の事業運営の徹底した効率化を図るなど、改革に向けた取組みを行うことが必要である。

 そのため、厚生労働省においては、

(1)社会保険病院の在り方の見直し

(2)社会保険庁の業務運営の効率化及び事務の合理化

(3)政府が保険者である社会保険及び労働保険に係る徴収事務の一元化

(4)社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会による診療報酬の審査及び支払に関する事務処理体制の見直しについて、その具体的内容、手順及び年次計画を明らかにし、所要の措置を講ずることにより、国民の理解が得られるよう、最大限の努力を傾注することが求められている。

2.社会保険庁等の改革の方向性

○社会保険庁等の改革に向けての取組みは、政管健保の厳しい財政状況を踏まえ、その内容において徹底した効率化を目指すものであると同時に、その実効性が十分に確保されるものでなければならない。

○このような観点から、社会保険病院については、抜本的な在り方の見直しが求められている。そもそも施設整備については、今後、基本的には、保険料財源の投入を行わず、病院事業収入により実施すべきである。また、この抜本的改革を着実に実施するため、各病院に「経営改善計画」の策定を求め、その実施状況を踏まえた具体的な整理合理化計画を策定する必要がある。いずれにしても現行の運営委託方式は委託先も含めて抜本的に見直し(現行の社団法人全国社会保険協会連合会(全社連)への一括委託方式は、経過措置期間を経て終了)、民間柄院と同様の自立した健全な経常が行われるような効率的なものとするとともに、新しい経営形態への移行等が適切と認められる病院については、迅速に対処すべきであり、別紙の方向性に沿って見直しを行うことが適当である。

 また、これに関連して、社会保険センターに係る委託費の交付方式の抜本的な見直しなど、社会保険病院以外の政管健保の施設事業についても、その合理化が必要である。

○社会保険庁の業務運営効率化・事務合理化、社会保険と労働保険の徴収事務の一元化並びに支払基金及び国保連における事務処理体制の見直しについては、厚生労働省から改革の進め方等についての報告を受けたところであるが、施策の実施に当たっては、これらが着実にその成果を挙げられるよう、計画的に推進していくことが重要であると考える。

3.改革の着実な推進

○厚生労働省においては、全社連の在り方を含め社会保険病院等の徹底した改革の実現なくして、医療保険制度改革に伴う負担増についての国民の理解は到底得られないということを十分認識し、強い決意をもって、改革に取り組むことが期待される。

○今後、党としても、改革が着実に実施されるよう、厚生労働省の取組みを注視していくこととする。


(別紙)

社会保険病院の在り方

 

1.保険料財源による施設整備について

○保険料財源による施設整備は、基本的には行わない。

・現在工事中のものが終了した時点で、保険料財源による施設整備は原則終了とする。なお、新方式への円滑な移行を図る観点から、一定の経過措置期間を設けることができる。

2.病院事業収入による施設整備について

○今後、施設整備は、基本的には病院事業収入を財源として行う。

・施設整備は、個々の病院の経常責任において、それぞれの事業収益により実施することとするが、採算性は悪いが地域医療に重要な役割を果たしている病院については、別途支援策の在り方を検討する。

○経営委託を前提とした場合の受託後の施設整備の方法については、別途継続して検討する。

3.経営方式について

○現行の社団法人全国社会保険協会連合会(全社連)への一括委託方式は、経過措置期間(平成15年度から17年度まで)を経て終了する。なお、経過措置期間中であっても、新しい経営形態への移行等が適切と認められる病院については、迅速に対処する。

○全社連は、経過措置期間において、それぞれの病院の経営改善計画を定め、効率的な病院運営に努める。

○社会保険庁は、それぞれの病院の経過措置期間における経営実績を評価し、全ての社会保険病院について、今後基本的には保険料財源での施設整備を行わないという前提の下に、@単独で経営自立できる病院、A単独での経営自立は困難であるが地域医療にとって重要な病院、Bその他の病院一に分類した上で、整理合理化計画を策定し、新しい経営形態への移行を困る。

○今後の経営方式としては、民法法人等公益性の高い法人への経営委託のほか、独立行政法人への現物出資が考えられ、また、委託方式等についても、個別方式、グループ方式などが想定されるが、いずれの経営方式を採用するとしても、それぞれの病院において自立した健全な運営が行われるような仕組みであることを基本とする必要がある。

○なお、単独での経営自立は困難であるが地域医療にとって重要な病院の経営存続に当たっては、地域の支援を得て対処する。

4.経営改善計画の策定と病院の整理合理化について

○それぞれの病院は、今後、施設整備を含め、基本的には個々の病院の責任において運営するという考え方に立った経営改善計画(平成15年度を初年度とする3カ年計画)を策定する。

○社会保険庁は、経営改善計画の実施状況を踏まえ、病院の統合、移譲(売却)等の恵理合理化計画を策定する。なお、経営改善計画の実施途上であっても、新しい経常形態への移行等が適切と認められる場合には、迅速に対処する。

※整理合理化計画の策定に当たっては、第三者の参加を検討する。

5.その他

・施設整備へのPFI方式の活用を検討する。

・病院運営の継続性や病院職員の雇用問題に配慮する。

・病院に併設している介護老人保健施設等は痛院との一体性を考慮する。

・運営費の負担は今後とも行わない。

・病床数の削減については、地域医療の実情を踏まえ、積極的に検討を進める。

・経過措置期間において、全社連が各病院から徴収する尊通負担金(診療収入額3%)を見直す。

・経過措置期間において、全社連が実施する経営改善資金(運営資金及び再建資金)の貸付事業を見直す。

6.今後の対応

○当ワーキンググループとしては、厚生労働省の取組の進捗状況について、定期的に説明を受け、その適切な実施を監視するものとする。


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2003年02月28日