(1) |
被験者の生命、健康、プライバシー及び尊厳を守ることは、臨床研究に携わる研究者等の責務である。
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(2) |
研究責任者は、被験者に対する説明の内容、同意の確認方法、臨床研究に伴う補償の有無(臨床研究に伴う補償がある場合にあっては、当該補償の内容を含む。第4の1の(1)において同じ。)その他のインフォームド・コンセントの手続に必要な事項を臨床研究計画に記載しなければならない。
<細則>
臨床研究計画書に記載すべき事項は、一般的に以下のとおりとするが、臨床研究の内容に応じて変更できる。
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被験者の選定方針 |
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当該臨床研究の意義、目的、方法及び期間、当該臨床研究に参加することにより期待される利益及び起こりうる危険並びに必然的に伴う不快な状態、当該臨床研究終了後の対応、当該臨床研究に係る個人情報の保護の方法(被験者を特定できる場合の取扱いを含む。) |
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共同臨床研究機関の名称 |
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研究者等の氏名 |
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インフォームド・コンセントのための手続 |
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インフォームド・コンセントを受けるための説明事項及び同意文書 |
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当該臨床研究に係る資金源、起こりうる利害の衝突及び研究者等の関連組織との関わり |
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当該臨床研究に伴う補償の有無(当該臨床研究に伴う補償がある場合にあっては、当該補償の内容を含む。) |
【被験者からインフォームド・コンセントを受けることが困難な場合】
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当該臨床研究の重要性、被験者の当該臨床研究への参加が当該臨床研究を実施するに当たり必要不可欠な理由及び代諾者等の選定方針 |
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(3) |
研究者等は、臨床研究を実施する場合には、被験者に対し、当該臨床研究の実施に関し必要な事項について十分な説明を行い、文書でインフォームド・コンセントを受けなければならない。
<細則>
研究者等ごとに同意文書を受理しなければならないわけではなく、研究責任者が代表で受理する等、被験者ごとに一つの同意文書を受理することで対応可能である。
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(4) |
研究責任者は、臨床研究に伴う危険が予測され、安全性を十分に確保できると判断できない場合には、原則として当該臨床研究を実施してはならない。
<細則>
1. |
研究責任者は、臨床研究を終了するまでの間、危険の予測や安全性の確保に必要な情報について、把握しておかなければならない。 |
2. |
研究責任者は、臨床研究を実施する場合には、当該臨床研究の安全性を十分確保することが特に重要である。 |
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(5) |
研究責任者は、臨床研究を実施し、又は継続するに当たり、臨床研究機関の長の許可を受けなければならない。
<細則>
1. |
「臨床研究の継続」には、臨床研究を何らかの理由により中止し、再開する場合が含まれる。 |
2. |
「臨床研究機関」の長とは、例えば、以下のとおりである。
・ |
病院の場合は、病院長 |
・ |
保健所の場合は、保健所長 |
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企業等の研究所の場合は、研究所長 |
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3. |
臨床研究機関が小規模であること等により研究責任者と臨床研究機関の長が同一人物にならざるを得ない場合には、研究責任者は、共同臨床研究機関、公益法人、学会等に設置された倫理審査委員会に審査を依頼する等により、臨床研究における倫理性に十分配慮した上で実施しなければならない。 |
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(6) |
研究責任者は、臨床研究計画において、臨床研究の実施計画及び作業内容を明示しなければならない。
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(7) |
研究責任者は、臨床研究を適正に実行するために必要な専門的知識及び臨床経験が十分にある者でなければならない。
<細則>
健康に影響を与えるような行為を伴う人を対象とする臨床研究(いわゆる介入研究)を行う場合には、臨床経験が十分にある医師による適切な助言を得なければならない。ただし、臨床経験が十分にある医師が当該臨床研究に参加している場合には、この限りではない。
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(8) |
研究者等は、臨床研究を実施するに当たっては、一般的に受け入れられた科学的原則に従い、科学的文献その他科学に関連する情報源及び十分な実験に基づかなければならない。
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(9) |
研究者等は、環境に影響を及ぼすおそれのある臨床研究を実施する場合又は臨床研究の実施に当たり動物を使用する場合には、十分な配慮をしなければならない。
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(10) |
研究責任者は、臨床研究機関の長に対し、重篤な有害事象その他の臨床研究の適正性及び信頼性を確保するための調査に必要な情報を報告しなければならない。
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(11) |
研究責任者は、他の臨床研究機関と共同で臨床研究を実施する場合には、当該他の臨床研究機関の研究責任者に対し、臨床研究に起因する重篤な有害事象を報告しなければならない。
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(12) |
研究責任者は、臨床研究により期待される利益よりも起こりうる危険が高いと判断される場合又は臨床研究により十分な成果が得られた場合には、当該臨床研究を中止し、又は終了しなければならない。
<細則>
1. |
研究責任者は、臨床研究を終了するまでの間、臨床研究に関する国内外における学会発表、論文発表等の情報(以下「発表情報等」という。)について把握しておくとともに、把握した当該発表情報等について、臨床研究機関の長に対し、報告することが望ましい。 |
2. |
研究責任者は、他の臨床研究機関と共同で臨床研究を実施する場合には、当該他の臨床研究機関の研究責任者に対し、把握した発表情報等について報告することが望ましい。 |
3. |
研究責任者は、臨床研究を中止し、又は終了した場合には、その旨を臨床研究機関の長へ報告しなければならない。この場合において、研究責任者は、臨床研究により期待される利益よりも起こりうる危険が高いと判断される場合等緊急性の高い理由により当該臨床研究を中止した場合については、遅滞なく、その旨を臨床研究機関の長へ報告しなければならない。 |
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(13) |
研究責任者は、臨床研究を実施するに当たり、被験者の個人情報の保護のために必要な措置を講じなければならない。
<細則>
研究責任者は、臨床研究機関の長と協力しつつ、個人情報を厳重に管理する手続、設備、体制等を整備することが望ましい。
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(14) |
研究者等は、臨床研究の結果を公表する場合には、被験者を特定できないように行わなければならない。
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(15) |
研究責任者は、臨床研究終了後においても、被験者が当該臨床研究の結果により得られた最善の予防、診断及び治療を受けることができるよう努めなければならない。 |