新医師臨床研修制度について
(概要)

平成15年6月
 厚生労働省

1.臨床研修の基本理念

 臨床研修は、医師が、医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にかかわらず、医学および医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁に関わる負傷または疾病に適切に対応できるよう、プライマリ・ケアの基本的な診療能力(態度・技能・知識)を身につけることのできるものであること。

2.臨床研修病院

 臨床研修病院は、単独型臨床研修病院、管理型臨床研修病院又は協力型臨床研修病院として指定される。

 臨床研修病院群は、管理型臨床研修病院、協力型臨床研修病院及び臨床研修協力施設により構成される。

3.臨床研修病院の指定基準

(1)到達目標が達成できる研修プログラムを有していること。

@ 内科、外科及び救急部門(麻酔科を含む。)、小児科、産婦人科、精神科及び地域保健・医療については、必ず研修を行うこととし、研修期間はそれぞれの科目について少なくとも1月以上とすること。

A 原則として、当初の12月は、内科、外科及び救急部門(麻酔科を含む。)において研修すること。内科については、6月以上研修することが望ましい。

 (例えば、当初の12月を内科6月、外科及び救急部門で6月研修し、小児科、産婦人科、精神科、地域保健・医療を各3月研修することなども考えられる)

B 地域保健・医療については、へき地・離島診療所、中小病院・診療所、保健所、介護老人保健施設、社会福祉施設、日本赤十字社血液センター、各種検診・健診の実施施設等(臨床研修協力施設)のうち、適宜選択して研修すること。

 到達目標は、医療人として必要な基本姿勢・態度を定めた行動目標と経験すべき診察法・手技・症状・病態・疾患を定めた経験目標で構成

(2)単独型臨床研修病院は、以下の要件を満たすこと。

@ 原則として、内科、外科、小児科、産婦人科及び精神科の各診療科が標榜されており、プライマリ・ケアの基本的な診療能力を修得するのに必要な症例や指導体制を有していること。

A 研修プログラム及び研修医の管理、評価等を行う研修管理委員会を設け、プログラム責任者が配置されていること。

B 臨床研修カンファランス(CPC)を適切に開催していること。

C 常勤の指導医が、原則として、内科、外科、小児科、産婦人科及び精神科の各診療科に配置されていること。

D 指導医は、原則として、7年以上の臨床経験を有する医師であって、プライマリ・ケアを中心とした指導を行う十分な能力を有していること。

(3)臨床研修病院は、医療法標準の医師数を有していること。

(4)臨床研修病院群においては、管理型臨床研修病院、協力型臨床研修病院及び臨床研修協力施設の連携により単独型臨床研修病院の基準を満たすとともに、相互に機能的な連携が図られていること。

(5)受け入れる研修医の数は、原則として、病床数を10で除した数又は年間入院患者を100で除した数を超えないこと。また、原則として、研修プログラム毎に複数の研修医を受け入れられる体制であること。

4.研修医の処遇と募集について

@ 研修医に対する適切な処遇が確保されていること。

A 原則として公募による採用が行われていること。

5.臨床研修病院の指定手続等

@ 臨床研修病院の指定を受けようとする病院の開設者は、指定を受けようとする前年度の8月31日までに申請すること。平成16年度から新たに臨床研修を開始するために臨床研修病院の指定を受けようとする病院については、できる限り速やかに申請を願いたいこと。

A 臨床研修病院の開設者は、毎年4月30日までに、来年度の募集予定定員と、研修プログラムの写し等を厚生労働大臣に報告すること。

B 臨床研修病院の管理者は、一臨床研修を中断した研修医に対し、その理由、中断した時点までに受けた研修内容等を記載した中断証明書を交付すること。

C 研修病院の管理者は、臨床研修が修了したと認めるときは、研修医に対し、臨床研修修了証を交付すること。また、臨床研修を修了していると認めないときは、当該研修医に対して、理由を付して、その旨を文書で通知すること。

6.検討規定

 臨床研修に関する規定については、5年以内に臨床研修の実態及び状況等を踏まえた検討を行い、必要な措置を講ずること。

7.当面の取扱い

 新たな医師臨床研修制度の実施に向けた体制整備に伴い、地域医療に与える影響を懸念する指摘があることから、平成19年3月31日までの間は、臨床研修病院の指定基準について、以下の取扱いとする。

@ 受け入れる研修医の数については、おおむね、病床数を8で除した数を超えない範囲とすること。

A 医療法標準の医師数を有しているという規定を適用しないこと。

B 指導医の臨床経験については5年以上とすること。

C 上記の取扱いについては、平成19年3月31日までに臨床研修の実施状況を把握の上、当該取扱いを継続するか否かを含め、再検討を行うこと。


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2003年07月11日