平成15年5月23日

賃金不払残業総合対策要綱

 

1 趣旨

 賃金不払残業(所定労働時間外に労働時間の一部又は全部に対して所定の賃金又は割増賃金を支払うことなく労働を行わせること。以下同じ。)は、労働基準法に違反する、あってはならないものであり、その解消を図るために、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」(平成13年4月6日付け基発第339号。以下「労働時間適正把握基準」という。)を発出し、使用者に適正に労働時間を管理する責務があることを改めて明らかにするとともに、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置等を具体的に示したところであり、厚生労働省としても、その遵守徹底に努めてきたところである。

 しかしながら、現状をみると、未だ労働時間の把握に係る自己申告制(労働者が自己の労働時間を自主的に申告することにより労働時間を把握するもの。以下同じ。)の不適正な運用など使用者が適正に労働時間を管理していないことを原因とする割増貸金の不払いなどの状況もみられるところである。

 このため、事業場における資金不払残業の実態を最もよく知る立場にある労使に対して主体的な取組を促すとともに、これまでの厚生労働省による対応をさらに強化することにより、適正な労働時間の管理を一層徹底するとともに、貸金不払残業の解消を図ることとする。

2 「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」の策定

 適正に労働時間を管理するために労使関係者が講ずべき事項を盛り込んだ「貸金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」を策定し、企業の本社と労働組合等の主体的取組を促すとともに、労働相談、集団指導、監督指導等あらゆる機会を通じて、使用者、労働者等に幅広く周知を図る。

3 「賃金不払残業解消キヤンペーン月間」の実施

 「貸金不払残業解消キャンペーン月間」を設定し賃金不払残業の解消と適正な労働時間の管理に向けたキャンペーン活動を実施し、労使の主体的取組を促す。

4 都道府県レベルでの労使当事者の意識改革の推進

 地域産業労働懇談会など都道府県単位で労使の参集を得る場を活用し、労働時間の管理の適正化の周知徹底と気運の醸成を図る。

5 的確な監督指導等の実施と「賃金不払残業重点監督月間」の設定

(1)的確な監督指導等の実施

 本省、都道府県労働局、労働基準監督署が一体となって労働時間適正把握基準の周知徹底を行うとともに、的確な監督指導を実施し、特に法違反が認められかつ重大悪質な事案については、司法処分を含め厳正に対処する。

 本社等において各部署に対して適正な労働時間の管理について一定の指示等を行っているにもかかわらず、各部署において賃金不払残業の疑いがある場合には、監督指導時に、必要に応じ、労働組合等からも事情を聴き、その実感を十分に把握した上で、改善指導を行う。

(2)「賃金不払残業重点監督月間」の設定

 「賃金不払残業重点監督月間」を設定し、賃金不払残業に係る重点監督を実施する。

 また、上記3に掲げる「貸金不払残業解消キャンペーン月間」においても、その実施に合わせて、重点監督を実施する。

 6.賃金不払残業に係る事例の取りまとめ

 賃金不払残業に係る今後の監督指導の状況を踏まえつつ、必要に応じて、貸金不払残業についての送検事例、是正事例等を収集・整理の上、取りまとめて公表する。


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2003年06月04日