医師国家試験(医師国試)とは?


 業として医行為を行ったり、医師と名乗るためには、医学部を出ているだけではダメで、医師国家試験に合格し、厚生大臣から医師としての免許を受けている必要がある。医師以外にも、歯科医師、保健婦、看護婦、助産婦、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師等の医療従事者について、それぞれ免許制度と国家試験が設けられている。
 医師国家試験の合格者は、医籍に登録され、医師免許証[図]が交付される。(免許証といっても運転免許証のような携帯サイズではなく、表彰状サイズとかなり大きい。)
 一九九五年第89回医師国家試験の受験者数は九二一八人。合格者は七九三〇人(合格率86%)。
 かっては面接や1年間の研修実習が行われていたこともあったが、試験の内容とレベルを一定に保つ必要と採点の迅速化を図るため、現在の試験はすべてマークシートによる選択回答式で、コンピューターによる採点が行われている。(面接や実技試験、あるいは論文記述式の試験では、試験官や採点官によって、採点結果が異なる可能性が高く、不公平が生じやすい。)
 試験には科目の区別はなく、医学全般の知識を幅広く問うものとなっているが、内科や外科等のいわゆる「メジャー科」に重点が置かれる傾向がある。(一九九二年までは内科、外科、産婦人科、小児科、公衆衛生の五科目と年によって異なる指定二科目の計七科目の試験が行われていた)。
 正解や合格ラインは厚生省からは公表されていないが、受験予備校等から模範解答が示されており、それらの模範解答による自己採点結果の集計によれば、だいたい67%(3分の2)以上が合格ラインと言われている。

医師についての統計データ

 医師法により、医師は2年毎に現況を届け出ることが義務づけられているが、それによると、全国の届出医師数は平成6年12月末現在、23,0519人。2年前に比べ10,815人(4.9%)、10年前に比べ49,418人(27.2%)の増加。人口10万人当たり184.4人、平均年齢47.2歳となっている。
 男性は201,244人(87.3%)。女性は29,275人(12.7%)で2年前より0.8ポイント高くなり、特に29才以下では24.6%を占めている。
 年齢別では30代がもっとも多く68,724人(29.8%)。40代が50,359人(21.8%)、60代が34,541人(15.0%)と続いている。
 業務の種別で見ると、病院(医学部・医科大学の附属病院を除く)の勤務者が最も多く96,321人、41.8%。ついで、診療所の開設者63,947人、27.7%、医学部・医科大学の附属病院の勤務者40,747人、17.7%となっている。
 また、教育機関(附属病院を除く)・研究機関の勤務者および臨床系以外の大学院生は4,374人、1.9%、厚生省や県庁、保健所等に勤務する衛生行政機関の従事者は1,822人、0.8%である。
 昭和54年に病院(附属病院を除く)従事者数が診療所従事者数を上回って以来、その差は年々広がっており、平成6年は病院従事者102,665人、44.5%、診療所従事者77,441人、33.6%である。
 医療施設の従事者を主な診療科名別(一人一診療科)にみると、多い順に内科71,106人(32.2%)、外科24,718人(11.2%)、整形外科15,577人(7.1%)と、これらで約半数を占めている。
 また、人口10万人当たりで、都道府県別(従業地)の医師数を見ると、東京都241.8人、京都府235.9人、高知県235.5人、徳島県235.1人、福岡県225.7人が多く、埼玉県104.7人、茨城県119.6人、千葉県120.2人が少なくなっているが、高知県、徳島県の医師総数はそれぞれ約1900人であるのに対して、埼玉県、千葉県の医師総数はそれぞれ約7000人である。

参考文献
『平成6年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況(平成6年12月31日現在)』厚生省大臣官房統計情報部

最初の Page へ戻る 
NOV. 12, 1996