2.本指針は、第4「調理加工施設の一般規定」に記された構造設備及び衛生管理に関する規定を満たしている調理加工施設において、HACCPを用いた自主衛生管理が実施されることを前提として作成されたものであること。
イ.作業区域の構造及びレイアウトは、食品の汚染を防ぎ、建物の清潔な部分と汚染した部分を明確に分離したものであること。
イ.内壁は耐久性のある不浸透性材料で作られ、表面が平滑で、清掃が容易な構造であること。
ウ.天井は清掃が容易で、塵埃が溜まりにくい構造であること。
エ.ドアは耐久性のある材料で作られ、清掃が容易な構造であること。また、手動で開閉することにより食品を汚染するおそれのあるドア(冷凍・冷蔵設備のドアを除く。)については、自動開閉ができること。
オ.適切な換気装置及び必要に応じて強制排気装置を有すること。
カ.自然光又は人工光により十分な照度が得られていること。また、照明装置は、電球又は蛍光灯の破損時に破片が食品の上に落下しない構造となっていること。
キ.適切な数の手指の洗浄消毒設備が設けられていること。
ク.作業区域及び水洗トイレには、手洗い設備が設けられていること。
ケ.施設、装置、設備及び機械・器具の清掃設備を有すること。
イ.必要に応じ、適切な温度を保つことができるよう十分な冷凍・冷蔵設備が設けられていること。
ウ.食材、原材料等を保管する冷凍・冷蔵設備と、調理加工後の食品を保管する冷凍・冷蔵設備とは明確に分離されていること。
イ.施設又は機械・器具から鼠族、昆虫類及びその他の害虫を計画的に根絶しなければならないこと。洗浄剤、消毒剤、殺鼠剤、殺虫剤その他食品を汚染させるおそれのある薬剤は食品と明確に分離して保管すること。また、これらの薬剤を使用する場合にあっては、食品を汚染させることのないよう十分配慮すること。
ウ.食品取扱区域、設備された機械・器具等は食品の処理、加工等に専用に使用すること。
エ.飲用適の水をすべての用途に使用しなければならないこと。ただし、食品を汚染させる危険性がない場合に限り、消火、冷凍・冷蔵設備の冷却用等として、飲用に適しない水を用いることができること。
オ.洗浄剤、消毒剤及びこれらの類似物質は、機械・器具及び食品に悪影響を与えないように使用すること。
(イ)食品の処理及び調整を担当する従事者は、少なくとも作業を再開するときは必ず手指の洗浄を行うこと。なお、手に傷がある従事者は、製造部門の責任者に届け、その許可の下、耐水性の指サック又は手袋を着用すること。
(ウ)食品取扱区域(保管区域を含む。)においては、喫煙、飲食を行わないこと。
ウ.製造者は法令に基づき、従事者に対して定期的に健康診断を実施すること。また、製造者は、従事者が赤痢菌、サルモネラ菌、腸チフス菌、パラチフス菌、コレラ菌、病原大腸菌、カンピロバクタ−,A型肝炎ウイルス、小形球形ウイルス等の食品を汚染し、食中毒等の原因となる微生物に感染することがないよう健康教育を実施し、従事者の健康管理に努めること。
イ.各重要管理点におけるモニタリング及び確認の方法を設定し、これを実施すること。
ウ.施設の洗浄消毒方法が適切かどうか確認すること。その他、本指針に定められた規範に適合していることを確認するための検査を実施すること。
エ.時間、温度等について、消去できない方法で記載された手書きの記録又は自動記録機による記録を当該食品の消費期限又は品質保持期限の満了後、少なくとも1か月間保管し、提示を求められた場合には、直ちに提示することができるように整理しておくこと。
(2)施設の責任者は、自主衛生管理制度に携わるすべての担当者がその責務を効果的に果たせるように、十分に訓練を受けなくてはならないこと。
(2)重要管理点は、使用する原材料を始め、製造工程、施設及び設備、最終食品、保管及び運搬の方法等によって確定されるものであるので、各々の施設に対して固有のものであること。
イ.食品又は製造工程に何らかの変更があった時に、必要に応じて、自主管理制度の有効性について確認すること。
ウ.一定の期間ごとに、すべての計画が有効なものであり、かつ、適正に運用されていることを検証すること。
エ.自主管理制度については、第6の11「自主管理制度の検証」に従って検証を行うこと。
イ.製造工程及びその重要管理点についての記述
ウ.標準作業手順書
エ.個々の重要管理点についての確定された危害、危険度の評価及び防止措置
オ.すべての重要管理点におけるモニタリング及び確認の方法並びにそれぞれの重要管理点における管理基準の設定
カ.管理基準から逸脱が認められた際にとられる改善措置
キ.現行の自主管理制度自体の検証と見直しの方法
(1)危害を確定し、危険度を分析するとともに、それらを管理するための方法を設定すること。
(2)重要管理点を確定すること。
(3)すべての重要管理点に対する管理基準を設定すること。
(4)モニタリング及び計測の方法を設定すること。
(5)必要に応じて採るべき改善措置を設定すること。
(6)検証及び見直しの方法を設定すること。
(7)すべての手順ならびに記録に関する文書規定を作成すること。
(1)専門家チームの編成
イ.チームにおいては、検討すべき食品並びにその製造、加工、保管、運搬及び喫食に関連する潜在的危害に関して十分かつ広範囲な専門的知識及び技術を有することが必要であること。また、このチームは、重要管理点の評価及び管理に関して、チーム内では困難な間題を解決するために、必要に応じて外部から専門家の援助を得なくてはならないこと。
ウ.このチームは、次のスタッフで構成すること。
(イ)対象となる食品の製造における技術的な側面に対して責任があるか、又は密接に関与している製造の専門技術者
(ウ)施設及び設備に関する衛生並び操作について、実際的な知識を有する技術者
(エ)その他、微生物学、食品衛生学及び食品工学に関する専門的知識を有する技術者に関連するすべての情報がそのチームに提供され、実施中の自主管理制度が信頼性のあるものであることを保証するため、活用できる場合には、一人の担当者が上記のうちの複数の役割を兼ねることが可能であること。施設内に、関連する問題に対する経験がない場合にあっては、外部の機関(コンサルタント等)から助言を得なければならないこと。
(1)名称(メニュー)及び組成(例えば、原材料、各種副原材料及び添加物)
(2)性状及び物理学的特性(例えば、固体、液体、ゲル又は乳状液)
(3)栄養成分
(4)加工工程(例えば、加熱、凍結、乾燥及びこれらの程度)
(5)包装(例えば、密封式、真空式及びガス置換式)
(6)保管及び運搬の条件
(7)消費期限又は品質保持期限
(8)使用方法
(9)適用し得るすべての微生物学的又は化学的指標(例えば、細菌数、水分活性又はpH)
(1)作業場及び付随する施設の見取り図
(2)機械・設備の配置及び性能
(3)すべての一連の製造工程(原材料、各種材料及び添加物の受け入れ並びに各ステップにおける又は各ステップの間の食品の滞留時間を含むこと。)
(4)各工程に対する技術的なパラメ−タ−(特に時間及び温度の条件、また滞留する場合は、その時間を含むこと。)
(5)食品、人、空気の流れ(通常想定される食品、人、空気の流れのみならず、潜在的な交叉汚染を想定した食品、人、空気の流れを含むこと。)
(6)清潔な区域と汚染された区域との分離(又は危険度の高低による区分)
(7)床、壁、ドアなどの施設、設備、機械・器具等の洗浄及び殺菌の方法
(8)施設の管理基準
(9)作業場における作業員の行動範囲及び衛生規範
(10)食品の保管及び運搬の管理基準
(1)個々の製造加工ステップ(原材料及び各種材料の受け入れ及び保管並びに工程中の食品の滞留を含む。)において、合理的な根拠のもとに発生することが想定されるすベての潜在的な生物学的、化学的又は物理学的危害のリストを作成すること。ここでいう危害とは、人の健康を害するおそれがあるすべてのものをいう。具体的には、次の場合のいずれかをいう。
イ.中間品、最終食品の製造工程又は製造ラインの周囲において、病原微生物の生存又は増殖する許容できないレベル及び許容できない化学物質の存在
ウ.毒素あるいは微生物の代謝によるその他の好ましからざる物質が許容できないレベルにまで産生されたり、残存したりすること。これらについては、除去し、又は許容できるレベルにまで減少させるため、安全な食品を製造する上で必須であるような性質の危害のみを、リストに入れるものとする。
イ.工程管理において、一つの危害を管理するためには複数の管理方法が必要となることがあり得る一方、一つの管理方法で複数の危害を管理できることもある。例えば、低温殺菌又は所定の加熱処理を行うことによって、サルモネラとリステリアとの両方の菌数のレベルを十分に低下させることが可能である。
ウ.管理が効果的に行われていることを保証するためには、作業手順について、詳細に記述した標準作業手順書を作成する必要がある。この標準作業手順書には、例えば、詳細な清掃の計画及び方法、個々の加熱調理器具での適切な加熱処理の手順、添加物に関する関連の規則等に適合するように定めた最大添加物濃度等について記述しなくてはならないこと。
(1)判断図を利用する場合には、工程一覧表において確定された各工程のステップを順番に検討しなければならないこと。
すなわち判断図は、各工程のステップごとに、合理的な根拠のもとに危害が発生することが判明しているか、あるいは将来において原因となることが想定される、すべての危害及びそれらに対する管理方法について検討を加えなくてはならないこと。
(2)判断図を利用する場合には、不必要な重要管理点を設けたりしないようにするために、製造の過程全般について広く検討するとともに、柔軟かつ常識的な配慮をもって対処すべきであること。
(1)すべてのステップにおいて、適正かつ効果的な管理方法が設けられ、実施されていることを保証しなくてはならないこと。特に、ある製造のステップについて、危害のあることが確定されており、食品の安全性確保のために何らかの管理が必要となっていながら、当該ステップにおいて(あるいはその他のステップも含め)適正な管理方法が設定できない場合にあっては、食品そのものを変更するか又はその製造工程を当該ステップ若しくはその前後のステップで変更することにより、適正な管理方法が設定できるようにするとともに、併せて適正な管理方法を確立しておかなくてはならないこと。
(2)すべて重要管理点について、モニタリング及び計測の方法を設定し、管理を実施すること。
ア.誰がモニタリング及び確認を担当するのか。
イ.いつモニタリング及び確認を行うのか。
ウ.どの様な方法でモニタリング及び確認を実施するのか。
ア.モニタリングの結果、設定された管理基準から逸脱しつつあり、管理状態を失う傾向にあることが明らかになったときには、危害が発生する前に、管理状態を維持するために適正な改善措置がとられなければならないこと。
イ.モニタリングの結果、設定された管理基準から逸脱しており、管理状態にないことが明らかとなったときには、もとの管理状態に復帰させるために適正な改善措置を講じなくてはならないこと。
ウ.改善措置は、前もって専門家チームが各々の重要管理点に対して設定しておき、逸脱が検出されたときには、すみやかに対処できるようにしておかなくてはならないこと。
エ.改善措置には以下の要件を含めること。
(イ)検出された逸脱を修正するために必要な方法及び措置を文書化しておくこと。
(ウ)製造工程が管理状態になかつた期間に製造された食品に対して採るべき措置を決めておくこと。
(エ)実施したすべての措置の内容を文書に記録すること。
(1)サンプリングに基づく最終食品の試験、特定の重要管理点における重点的な分析又は検査、中間品及び最終食品についての特定の項目に関する分析、保管又は運搬の時点における実態調査、並びに食品の実際的な使われ方に関する調査等がある。
(2)検証の手順には、製造工程の点検、管理基準の確認、管理基準からの逸脱時の改善措置及び食品に対して行った措置の評価、自主管理制度及びその記録に対する査察が含まれていなければならないこと。
(3)検証の方法については、設定されている自主管理制度が適切なものであることを確認することができるものであるとともに、定められている管理基準が適正に運用されていることを、十分な頻度のもとに保証するものでなくてはならないこと。さらに、検証そのものについても検討を行い、自主管理制度において何らかの変更のあった場合にあっても、効果的に機能していること(将来的にも機能し得ること)を保証する必要がある。
(4)自主管理制度を変更しなければならない事例としては、次のようなものが考えられる。
イ.包装、保管又は運搬条件の変更
ウ.消費者による使用方法の変更
エ.食品に関連する新たな危害に関する情報を入手した場合
(5)自主管理制度に関するすべての変更事項は、委細漏らさず文書化し、正確かつ最新の情報が得られるように、記録及び保管の方法にも反映させること。管理基準が設定されている場合にあっては、これらの管理基準を検証手順において使用しなくてはならないこと。