患者等の食事の提供の業務に関する
健康政策局長通知の概要


第1 医療法施行規則の一部を改正する趣旨

1 病院における患者等への食事の提供
 これまで病院における患者等への食事の提供(以下「患者給食」という。)の業務については、病院内の給食施設で行うこととされてきた。しかし、近年の調理技術及び衛生管理技術の進歩によって、安全な運搬及び保管が可能となるとともに、病院外の調理加工施設であっても適切な衛生管理が行われているところが増えてきた。このため、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第9条の10及び第20条第8号の改正を行い、病院がサービス向上のために選択し得る一つの手段として、病院外の調理加工施設における患者給食業務の実施を認めることとした。

第2 患者等の食事の提供の業務について(医療法施行規則第9条の10及び第20条第8号関係)

1 患者等の食事の提供の業務の範囲及び委託方法
ア 委託できる業務の範囲
 患者給食業務のうち、病院自らが行わねばならない業務を除き、食事の運搬等を含めて、業者に委託することが可能である。
イ 委託の方法
 病院外の調理加工施設を使用して調理を行う、いわゆる院外調理も認められる。また、患者給食業務を複数の業者に委託することも可能である。
ウ 食品衛生法との関係
 病院外の調理加工施設を使用して患者給食の調理を行う場合には、食品衛生法に基づく営業の許可の対象になる。
エ 食事の運搬方法
 原則として、冷蔵(3℃以下)若しくは冷凍(−18℃以下)状態又は細菌が増殖しない温度(65℃以上)を保って運搬する。
2 人員
ア 受託責任者
 受託責任者は、従事者の人事・労務管理、研修・訓練及び健康管理、業務の遂行管理、施設設備の衛生管理等の業務に責任を負う者である。
3 施設、設備、食器
ア 施設、設備等の衛生管理
 患者給食に係る施設、設備、食器については、HACCP等に基づく適切な衛生管理が行われ、衛生状態が常に良好に保たれている必要がある。
イ 必要な給食施設
 病院内の給食施設のすべてが不要となることはないと考えられる。したがって、今後とも病院には患者給食業務に支障のないよう給食施設が必要である。
ウ 病院と老人保健施設等とを併設する場合における病院の給食施設
 病院と老人保健施設等とを併設する場合(同一敷地内にある場合または公道を挟んで隣接している場合をいう。)においては、併設施設の給食施設を病院の当該施設として共用することが認められる。
4 運営
ア 患者給食の継続的な提供
 病院及び患者給食業者は患者給食の継続的かつ安定的な提供に最大限の努力を行う必要があり、何らかの事由により患者給食業者が当該業務を遂行することが困難となった場合に備えて、患者給食が滞ることがないよう必要な措置を講じておく。
 なお、必要な措置としては、複数の調理加工施設を有する患者給食業者と業務委託契約を結ぶこと、複数の患者給食業者と業務委託契約を結ぶこと、予め代行業者を定めて代行契約を結ぶこと、病院自らが調理を行うことができる施設及び人員を確保しておくこと等が考えられる。
5 従事者の健康管理及び研修
ア 従事者の健康管理
 従事者に対する健康教育の実施によって、従事者の日常的な健康の自己管理を促し、食中毒の発生と感染症の流行を予防する。

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NOV. 14, 1996