我が国におけるたばこ対策は、21世紀に向けた総合的なたばこ対策の礎として平成7年に公衆衛生審議会により意見具申された「たばこ行動計画検討会報告書」に基づき、「防煙対策」、「分煙対策」、「禁煙支援・節煙対策」を3つの柱として、各実施主体の自主的なたばこ対策の取り組みを促進するため、啓発普及を中心として取り組まれてきた。
「たばこ行動計画検討会報告書」がとりまとめられた当時は、成人喫煙率が漸減するとともに、たばこ消費量頭打ちの状況であったが、最近、若年者(特に女性)喫煙率の上昇、たばこ消費量の拡大、たばこ関連疾患による死亡者数の増大、これに伴う医療費等が問題となってきた。平成9年版「厚生白書」は、「喫煙習慣は個人の嗜好の問題にとどまるのではなく、健康問題であることを踏まえ、たばこ対策を一層推進することが求められている」と記載し、また、公衆衛生審議会により、今後の生活習慣病対策において、たばこ対策を積極的に推進すべきであると報告された。
さらに、喫煙習慣とニコチンの依存性との関連や、たばこ煙の発がん性等の危険性、低タール化に伴う健康影響について、国際知見や対策に変化もみられることから、わが国においても、これらの新しい動向を考慮して今後の管理方策を検討するなど、適切な対応を図る必要がある。
今後のたばこ対策のための具体的な方策について提言を行うため、幅広い分野からの学識経験者により構成される(別紙1参照)厚生省保健医療局長の私的検討会として、「21世紀のたばこ対策検討会」を設置する。
第1回目は、平成10年2月24日(火)10:00〜12:00厚生省特別第一会議室(7階)にて開催予定。なお、開催頻度は、月1〜2回程度の予定。
保健医療局地域保健・健康増進栄養課を事務局とする。
会議は原則公開とする。
参考
「喫煙が健康へ与える影響は大きく、本人のみならず、周囲の人々にも受動喫煙によりさまざまな危険性がある。喫煙習慣は個人の自由意思に基づく嗜好の一つとされてきたが、一方で、喫煙習慣をニコチンによる依存性の視点から捉えることが重要である。喫煙習慣は個人の嗜好の問題にとどまるのではなく、健康問題であることを踏まえ、たばこ対策を一層推進することが求められている。」
今後の生活習慣病対策において、たばこ対策をさらに積極的に推進すべきであるとし、「たばこ対策については、他の先進国と比べるとなお環境整備が遅れているため、喫煙防止の徹底、受動喫煙対策、禁煙希望者に対する支援等を拡充するとともに、広告や販売のあり方などについてもより積極的な対策を打ち出すべきである。」
(別紙1)
内 山 充 | (財)日本薬剤師研修センター理事長 |
大 河 喜 彦 | 日本たばこ産業株式会社取締役(科学・環境統括部長) |
川 口 順 子 | サントリー株式会社常務取締役(生活環境部長・品質保証部担当) |
小 池 昭 彦 | (社)日本医師会常任理事 |
幸 田 正 孝 | (社)全国社会保険協会連合会理事長 |
五 島 雄一郎 | 東海大学名誉教授、日本禁煙推進医師歯科医師連盟会長 |
島 尾 忠 男 | (財)結核予防会会長、たばこと健康問題NGO協議会会長 |
富 永 祐 民 | 愛知県がんセンター研究所所長 |
仲 村 英 一 | (財)医療情報システム開発センター理事長、WHO執行理事 |
野 中 ともよ | ジャーナリスト |
坂 東 眞理子 | 埼玉県副知事 |
ビル トッテン | 株式会社アシスト代表取締役 |
松 本 恒 雄 | 一橋大学法学部教授 |
水 野 肇 | 医事評論家 |
矢 崎 良 雄 | 東京大学医学部教授 |
柳 田 知 司 | 東京慈恵会医科大学客員教授 |
山 崎 正 和 | 東亜大学大学院教授 |