話題で選ぶ運営日誌

「職員研修会」の巻 その5



 昨日,朝3時に目が覚めてしまったせいで昨晩も早々とダウンしてしまいました。

 2学期が始まっていきなり慌ただしくなり,疲れてます。

 学校から(昼休み中)ですが,昨日の日誌をこっそりアップします。(9/3 13:10)



 戸惑いと不安(9月2日)

 午後から,I中学校のコンピュータ主任であるK先生を講師としてお招きして,校内コンピュータ研修会が開かれました。

 内容は現在I中学校で構築されつつあるイントラネット環境の紹介でした。K先生が持参してきたノートパソコンには,ホームページ・掲示板など,I中学校の主要なコンテンツがコピーされており,それらをプレゼンするかたちで進められました。

 私自身は地区の中学校のコンピュータ室には何度かお邪魔したことがあるのですが,他の先生方にとっては,中学校の様子を知る機会はおそらくこれが初めてです。しかも,2年以内にはほぼ同様の環境が小学校にも導入されるということなので,みなさん興味深く見入っていました。

 しかし話が進むにつれ,つい最近(とはいっても2年前ですが)学校にコンピュータが導入され,やっとの思いで学習指導用ソフトやワープロが使えるようになったばかりなのに,また”わけのわからぬこと”が始まるということで,呆然という雰囲気になってきました。

 各教室にパソコンが設置されているという話を聞いて,

「ということは,教師全員がネットワーク機能の使い方を覚えなくちゃならないのか?」「教師全員がホームページや掲示板の作り方を覚えなければならないのか?」

 などという質問が飛び出すなど,未知のものに対する恐怖心というか,不安の声が多く出されました。


 さて,K先生からの説明が終わった後,話の成り行きで,一度ホームページを作ってみようということになり,途中から私が講師となって”ホームページ作成講座”をやることになってしまいました。

 せっかくI先生をお招きしているのに,ここで私がしゃしゃりでるのも何だかなあ,とは思ったのですが,K先生が言い出したことですし,せっかくの機会でもあるので,やらせていただくことにしました。

 使用したソフトは「Netscape Composer」です。ワープロ感覚で作成できるのでそれほど難しくはありません。ほぼ全員がページを作成することができたようです。しかし中には,毎度のことながら,間違えて別のソフトを立ち上げ,(しかも気付かずに)操作している方もいて,

「先ほど教えてもらったボタンが見当たらないのですが...。」
「あ,違うソフトを使っていますね。」

 お気の毒さまです。というか,笑うに笑えず複雑な心境です。





 精神安定剤を服用し始めてから,熟睡できるようになったのは大変ありがたいのですが,この薬,ちょっと効き過ぎかも。

 昨晩は2時過ぎに寝て,朝8時ごろと昼12時前に目が覚めたものの,頭がぼんやりして,またすぐ眠りについてしまいました。結局起きたのは午後3時過ぎでした。

 それで起きるや否や,日誌を書いたり,昨日のアンケートの集計をしたりしているわけでして,この性格にはもう呆れてしまいます。




 進行状況と発表の準備(9月5日)

 10月の研究授業に向け,日本語入力の復習として行わせた「2学期の目標カード」作りは今日で完了しました。

 合計4時間(1単位時間は45分)かかりました。2人で1台のパソコンを使っていますから,一人あたり2時間(約90分)かかった計算になります。日本語入力に慣れてくれば,かなり時間を短縮できると思っていたのですが,結局1学期の頃と同じぐらい時間がかかってしまいました。

 いまだに4時間というのは,ちょっと時間がかかり過ぎのような気もしますが,しかし今回は,レイアウトや配色や文字の大きさなど,見やすさを意識させながら取り組ませたので,作品の質はかなり良くなってきました。

 私からの要求水準はだんだん高くなっているので,子どもたちも色々試行錯誤しているようです。





 他のクラスの状況(9月9日)
 
 10月に行われる私の研究授業(公開する授業)に向け,他のクラスの先生方は大忙しです。

 私たちの学校の研究授業は,個人ではなく,学年単位で取り組むことになっており,3年生の他のクラスは,私が立てた指導計画に基づいて,事前に”お試し授業”をやらなければならないのです。”お試し授業”の結果を踏まえて指導案を手直しし,私が”本番(研究授業)”を行う手はずになっています。


 ところが他のクラスの先生方は,できることならコンピュータなどやりたくないわけで,1学期は授業をほとんどやっていないのです。しかもY先生などは,もともと音楽専科だったこともあり,自分自身が未だ超初心者状態なのです。

 私のクラスは1学期に週1〜2回のペースで授業を行い,技量を少しずつアップさせてやっとここまでたどり着いたのに,他のクラスは2日ほど前にようやくやり始めたばかりで,先生も子どもたちも”まだまだこれから”なのです。

 それなのに,ここ3週間のうちに,子どもたちに日本語入力やファイル操作の仕方を覚えさせ,ブラウザの使い方を覚えさせ,htmlエディタの一部の機能の使い方も覚えさせなくてならないわけで,これはかなりしんどい状況です。


 年度始めに,誰が授業を行うかということを話し合ったとき,「指導的な立場の私(fukufuku)が授業をやるのはおかしい」ということで,私より10歳ほど年輩の先生がやると言いだしたのですが,やはりそれはちょっと申し訳ないし,何だかエラぶっていると思われるのも嫌だったので,私が引き受けることにしたのですが,もしかしたら,やはり他の先生にやっていただくことにしておいた方が良かったのかも知れません。

 自分がやるとなれば,もっと以前から必死にならざるを得なかったでしょうから。





 自主研修会(9月10日)

 10月に行われる研究授業に向け,授業後に3年生担任による自主研修会を行いました。

 自主研修会を開いたのは2学期になってこれで4度目なのですが,これまでのところ,毎回同じ内容を繰り返し練習しています。

 というのも,お絵描きソフトの画面上に表示されている絵をコピーしてNetscape Composer(htmlエディタ)の画面上にペーストする操作が未だにできないのです。

 「いったい何度練習すれば覚えてくれるのですかぁ。」(泣)
 「子どもたちなら2回も練習すれば覚えてしまいますぅ。」
 「しっかりしてくださいよぅ。」


 などと思いつつも,もちろん口には出しません。

 とはいうものの,今日の私は少々口調がきつくなってしまいました。


 でも私なんかより,先生方の方がおそらくもっと歯がゆい思いをしているのですよね。

 反省してます。





 機械音痴(9月12日

 先週の金曜日の授業後にも,隣のクラスのY先生と”自主研修会”を行ったのですが,すでに5度目の練習にもかかわらず,今回も,「お絵描きソフトの画面に表示されている画像をコピーし,htmlエディタの画面上にペーストする操作」を自力でできるようにはなりませんでした。

 手順は,

1 お絵描きソフト「キューブペイント」を立ち上げる。
2 画像ファイルを呼び出し,画面に表示させる。
3 範囲指定してコピーする。
4 「キューブペイント」を閉じる。
5 htmlエディタ「Netscape Composer」を立ち上げる。
6 画像貼り付け用ファイル(白紙のhtmlファイル)を開く。
7 コピーしておいた画像をペーストする。
8 上書き保存する。
9 「Netscape Composer」を閉じる。
10 ブラウザ「Netscape Communicator」で確かめる。


 これだけの操作ができないのです。いつも途中でパニック状態になってしまいます。何回練習しても駄目なのです。(自宅でも練習しているそうです。)

 典型的な「機械音痴」ですね。
 (機械音痴:機器やソフトウェアの一連の操作を,説明を聞いていたときは分かったつもりなのに,実際にやろうとするとできなくなる人のこと。機械音痴の原因は,課題分割ストラテジーがとれない,つまり課題を下位の課題に分割することができないことにある。岩波新書「新・コンピュータと教育(佐伯胖著)より)

 10個の手順の一つ一つの操作の内容,つまり今自分が何をしていているかが分からない。したがって次に何をやるべきかの見当がつかない。しかも丸暗記するには量が多すぎるということなのでしょう。

 Y先生だけでなく,教員の中には何十年もの間,コンピュータとは全く無縁の生活を送ってきた”文系タイプ”の方が多いと思うのですが,こういう方々に対してどのようにアドバイスしていけば良いのか悩んでしまいます。

 とりあえず手順を記したマニュアルを作り,それを見ながらやっていただくことしか思いつきません。




 機械音痴の対策(9月14日)

 10月に予定されている私の研究授業に向け,事前に”お試し授業”をやらなければならない3年生の先生(2名)は,連日大忙しです。

 最近のコンピュータ室は3年生の独占状態で,今日も2クラスがそれぞれ2時間ずつの計4時間使ったそうです。

 授業後には今月6回目の自主研修会を行いました。もちろん今日も,「お絵描きソフトの画面に表示されている画像をコピーし,htmlエディタの画面上にペーストする操作」の練習がメインです。

 とにかくこれを覚えていただかないことには”お試し授業”ができません。

 そこで今日は”マニュアル”を用意しておきました。もっと早い時点で用意すればよかったのですが,たったこれだけの操作を覚えていただくのに,まさかこれほどまでに難航するとは思っていなかったので,タイミング的にはずいぶん遅くなってしまいました。


 「機械音痴」対策として,一連の手順を下記のように課題分割してみたのですが,こんな分け方で良いのかな。先生方の頭が整理され,理解が早まると良いのですが。

1 お絵描きの絵をコピーする作業
 (1) お絵描きソフト「キューブペイント」を立ち上げる。
 (2) 画像ファイルを呼び出し,画面に表示させる。
 (3) 範囲を指定してコピーする。
 (4) 「キューブペイント」を閉じる。

2 コピーした絵をホームページに貼り付ける作業
 (1) htmlエディタ「Netscape Composer」を立ち上げる。
 (2) 画像貼り付け用ファイル(白紙のhtmlファイル)を開く。
 (3) コピーしておいた画像をペーストする。
 (4) 上書き保存する。
 (5) 「Netscape Composer」を閉じる。

3 ブラウザで確かめる作業
 (1) 「Netscape Communicator」を起動する
 (2) 学級トップページを開く。
 (3) 自分の名前(リンク)をクリックする。


 このマニュアルに書いてあるとおりにやれば,たとえ操作の内容が理解できなくても,とりあえずはできてしまうのですが,これらの操作は先生方自身が行うことではなく,子どもたちに教える内容なので,できればきちんと理解した上で指導にあたっていただきたいです。

 でもやはり無理なのかなあ。


 Y先生による第一回目の”お試し授業”は9月22日です。そろそろ秒読み開始ですね。

 果たして無事間に合うのでしょうか。

 「がんばれ!Y先生」
 「がんばれ!3組の子どもたち」






 これなら大丈夫(9月17日) 

 現在,10月に予定されている研究授業に向け,学年全体で準備や練習に取り組んでいます。今日もまた,授業後に自主研修会を行いました。今月に入ってこれで8回目です。


 本番(研究授業)に先立って,”お試し授業”を行うことになっているY先生のクラスでは,いよいよ明日,子どもたちに,「お絵描きソフトの画面に表示されている画像をコピーし,htmlエディタの画面上にペーストする操作」「音声をWAVEサウンド(.wav)として録音し,保存する操作」を教えることになっています。

 この2つは,今回の研究授業の成否の鍵を握る最も重要な操作です。

 ところが私は,この2つの操作をY先生が”自力で”やり遂げるところを,まだ一度も見たことがありません。


 連休中に猛特訓したためか,昨日のY先生はかなり余裕が出てきた様子だったので楽観はしているものの,やはり少々心配です。


 そこで本日の研修会では,明日の”予習”(Y先生が自力でできるかどうかの確認)を行うことにしました。



 さて,その”予習”の結果ですが,期待していた通り,バッチリうまくできました。(私が用意したマニュアルを時々見ながらでしたが)

 私自身の目でそれを確かめることができ,ホッと一安心です。

 この調子なら明日の授業はきっとうまくいくことでしょう。



 考えてみると,パソコン嫌いで,しかも全くの初心者であるY先生に対して,わずか2週間あまりのあいだに,

・お絵描きソフトの各種描画機能の操作
・(お絵描きソフト上での)日本語入力と文字修飾
・ブラウザの基本操作
・htmlエディタのごく初歩的な操作
・異なるウィンドウ間でのコピー&ペースト
・マルチメディアタイトル作成ソフトを使っての音声入力


 これだけのことを要求してきたわけで,ずいぶん無理を強いたものです。


 ですが今では,マニュアルを見ながらとはいえ,これらすべてをほぼマスターしたのですから,全く頭が下がる思いです。





 今日も朝から学校にいます。

 運動会の準備やら「30人31脚」の練習やらで一日が過ぎてしまいそうです。(9/20 11:30)



 初心者への教え方(9月19日)

 昨日参観したY先生の授業では,子どもたちの活動の様子を見るの目的だったのですが,Y先生の教え方も大変興味深く拝見していました。というのは,コンピュータ操作の教え方が私とはまるで違っていたのです。

 私は,研修会で先生方に教える際も,授業で子どもたちに教える際も,教えたい操作内容をいくつかの”まとまり(ステップ)”に分けてから教えています。(注:以前,いくつかの”まとまり”に分けることを「課題分割」と書いたのですが,neantさんによると,この場合に「課題分割」という用語を使うのは適切ではないとのことです。)

 まず私が最初のステップをやって見せ,それから先生方(あるいは子どもたち)に実際に操作していただき,それが済んだところで次のステップに進む,というやり方をしています。私が今まで受けた研修会でもそのようなやり方をしていましたし,それが普通のやり方だと思っていました。

 ところがY先生は違うのです。

 Y先生の教え方は,”クリック”ごとなのです。

 Y先生が”アイコンA”をクリックしたら,子どもたちも一斉に”アイコンA”をクリックし,次にY先生が”アイコンB”をクリックしたら,子どもたちも一斉に”アイコンB”をクリックするというやり方なのです。

 つまりY先生の操作と子どもたちの操作とがほぼリアルタイムで進んでいくのです。(注:先生のパソコンの画面は,教室正面のスクリーンに拡大表示されているので,子どもたちはそれを見ながら操作します。)

 なるほど,確かにこのやり方なら子どもたちが失敗する確率はかなり少なくなりますね。

 そういえば私も,日ごろの授業ではそのような教え方をすることがあります。例えば漢字の書き順を教えるときとか水泳のクロールの手のかき方を指導するときなどです。考えてみればこういう教え方って,小学校では日常的に行われています。

 でも,このように理屈抜きで体得させるやり方は,コンピュータの操作を教えるときにはあまり効果的ではないような気がしました。

 ここでふと思い出したのが,先日の”機械音痴”の話題です。Y先生の教え方を見ていると,一連の操作の流れに全く区切りがありません。どうやらY先生の頭の中では,教えたい操作内容が下位課題に分かれていないらしいのです。

 別の言い方をすると,私は,「コピー&ペースト」は今回の授業だけでなくこれからも使う場面が必ずあると思うので,これを機会にやり方を覚えてもらおうと考えているのに対して,Y先生は,今後の活動に役立たせることはまるで念頭に無く,この授業での「コピー&ペースト」が成功すれば良いという発想だと思うのです。


 それで授業後にその話をしたところ,もう一人のS先生も,Y先生と同じやり方をしているそうです。まとまり(ステップ)ごとに教えると,子どもたちが途中で忘れてしまいそうなので心配だとのことでした。

 確かにそうなのです。

 私のようにまとまりごとに教えるやり方だと,先生方も子どもたちも途中で忘れてしまうのです。それでいつも私は手順を記したマニュアルを用意したり,同じことを何度も繰り返して教えたりしなければならない羽目になってしまうのでした。

 それではいったいどういう教え方をすれば良いのか。

 コンピュータの教え方って難しいです。



 仕事をしに学校に来ているのに,日誌を書き始めてすでに3時間も過ぎてしまいました。

 さあ,仕事仕事!






 続,教え方(9月21日)

 10月に行われる研究授業に向け,他の先生方と取り組んでいく中で,”機械音痴””子どもたちへの教え方”といったテーマがクローズアップされてきました。

 私たちの学校では,今のところは,「子供たちは喜んだ」「センセイたちはパニックに陥った」という状況なのですが,教え方を誤ると,近い将来には学校においても,大人たちの社会と同じように,”パソコン不適応”が出現してしまうような予感すらしてきました。

 考えてみれば,コンピュータが普及し,ネットワーク社会が進展していく中で,その流れについていけない方々をどのようにして救ってやるかという問題は,今後ますます重要になっていくと思われます。

 そこでこの問題についてもう少し考えてみることにしました。


 ”機械音痴”や”課題分割”については,neantさんよりアドバイス(日記&メール)をいただき,ずいぶん参考になりました。ありがとうございます。

 今回はneantさんからご紹介いただいた手法をたたき台にして,考えてみることにします。

(以下の文章は,neantさんの文章からの引用ではなく,すべて私の言葉で書いています。文責はすべてfukufukuにありますのでご承知おき下さい。))


 私(fukufuku)は,まず手順を設定し,それを下位課題(?)に分割することを考えたのですが,neantさんによると,初めに手順ありきでは駄目なのです。

 手順を覚えてもらうための”区切り”として下位課題に分けるのではなく,課題を実行するためにはどんな下位課題が要求されるかを洗い出し,それから手順を決めていくべきであり,そうすることで応用が利きやすくなり,身に付けた知識なり技能なりを他の場面で生かしていくことができるようになるとのことです。(ただし,そうすると場合によってはいくつもの手順が考えられるため,混乱が生じてしまう恐れもあるとのことです。)


 このことは,私自身の経験と照らし合わせても大いに納得できるところです。


 さて,それではこの考え方を,「小学校」という場にどのように取り入れていけば良いのでしょうか。


 子どもたちに教える際にも,課題を達成するためにはどんな下位課題が必要とされるかを考えさせることは有効だと思います。それが無理だとしても,今自分が何をしているかぐらいのことは意識させながら教えていく必要はあると思います。

 先日のY先生のようにやはり”操り人形方式”では,その場限りで終わってしまい,応用が利かないような気がします。その上結果的に子どもたちに丸暗記を強要することになり,”パソコン不適応”を出現させる一因となりかねません。


 しかし,いくら応用が利きやすいからといって,下位課題を組み合わせて手順を決める作業までもを子どもたちに要求するのは,ごく一部の優秀な子どもなら可能でしょうが,クラス全員を相手にするわけですから,発達段階から考えて,かなり無理があるような気がします。手順を決める作業は,多くの場合,教師がやった方が良いように思います。

 しかも課題達成には直接関係ない余分な知識を教えるのは避け,必要最小限のことだけを教えながら最短の手順で達成できるように導いてやった方が良いと思うのです。子どもたちに教える場合には,応用の利きやすさよりも,教える内容全体がシンプルであること,つまり覚えやすいことを優先させなければならないと思うのです。



 こんな風に考えていくと,小学生の子どもたちにコンピュータの操作を教える際には,今何をしようとしているかを常に意識させるとともに,応用の利きやすさをある程度犠牲にしてでもできるだけシンプルに教えていこうとする姿勢が大切なのではないかと思います。


 うーん,強引に結論づけてしまったような気もします。果たして理解していただける文章になっているかどうか。





 初心者から学ぶもの(9月26日)

 10月に行われる研究授業の準備をしています。

 私が行う本番の授業(研究授業)に先だって,他のクラスでも私のクラスと同じように取り組んでいただいているのですが,当初の計画(あるいは設計)のままでは,少々不都合な部分も出てきているので,手直しをしました。

 他のクラス(3年生)の担任は2人いて,一人は全くのパソコン初心者のY先生,もう一人はパソコン歴推定10年(ただしよく使うのはDOSソフトで,Windowsの経験はあまり無い)のP先生です。

 今回の授業に対するお二人の取り組み方は対照的です。

 Y先生は,授業後にコンピュータ室に何度も足を運んで特訓しています。そして授業の進め方やソフトの操作について私によく質問してきます。

 一方P先生は,ほとんど意見も言わず,黙々と一人でやっています。

 両者を比べると,私にとってありがたいのは,実はY先生です。

 パソコン初心者のY先生は,私が立てた授業計画やWebの基本設計について,難しい部分や面倒な部分について愚痴って率直に言ってくれるので,私は新たなアイディアを考え出したり,見落としていた部分に気づいたりできるのです。

 DOS時代からパソコンを使っているP先生には,おそらくパソコンとは”面倒なことを強いられるもの”という認識が染み付いているのでしょう。ですから私が決めたやり方に対してさほど疑問を抱かず,文句も言わず,忠実に実行しようとしている(言い過ぎか?)のじゃないかなと思うのです。

 もちろん両者の対応の仕方の違いには,性格的なものも多分にあるのでしょうが。



 それでそんなことを考えていたら,本当に使いやすいソフトはパソコンをよく知っている人間の手だけでは生み出すことはできないのではないかと,ふと思いました。

 Windowsって,一見使いやすそうに見えても,ちょっと何かやろうとすると複雑な操作を強いられます。実は決して素人の手に負える代物ではないと思ってしまうのは私だけでしょうか。「ヘルプ」なんて,肝心のところでは意味不明の用語を並べ立てているだけで,ちっとも親切じゃないでしょう?



 明日は運動会です。早起きしなくっちゃ。





 今日は代休日でした。

 ふと気がつくと仕事が溜まっています。

 休みの日に片付けてしまうとずいぶんラクなのに,今日は一日中遊んでしまいました。

 それで今,日誌を書きながら仕事しています。



 コンピュータリテラシー(9月28日)

 某上司より,「遅くとも今月中に!」と依頼されていた,コンピュータの授業を増やすために先生方に課すノルマコンピュータの授業を効率よく進めていくために先生方に提示する努力目標を作成しています。

 それでいったい何を作っているのかというと,「コンピュータリテラシーの発達段階別一覧表」です。”コンピュータリテラシー”とは,コンピュータを活用するための基礎的能力のことです。つまり,子どもたちに修得させるべき知識や技能を発達段階に応じて定め,それを一覧表にまとめる作業を行っているのです。

 この事について先日私が抵抗したのは,コンピュータの授業を増やすため,これをノルマとして先生方に課そうしたからあって,”コンピュータリテラシー”の一覧表を作ること自体は,小学校6ヶ年に渡って系統的な指導を進めていけるメリットを考えると,むしろ好ましいことだと思っています。


 さて,他の学校の例などを参考にして,私が考えたコンピュータリテラシーは以下の通りです。(変更の余地あり)

低学年 ○コンピュータに慣れ,簡単な操作ができる。
・コンピュータの基本的な名称が分かる。(マウス・キーボード・プリンタ・CD-ROM等)
・電源を入れたり,終了したりすることができる。
・マウスの基本操作ができる。(クリック・ドラッグ)
・自分の作品を保存したり,開いたりすることができる。
・お絵描きソフトを使って絵を描くことができる。
中学年 ○コンピュータを使って,楽しく学習ができる。
・日本語入力に必要なキーの名称が分かる。
(エンター,スペース,BS,DEL等)
・キーボードを使って短文を入力することができる。
・お絵描きソフト上で文字を加工・編集したりすることができる。
・絵などを貼り付けることができる。
・ブラウザの操作ができる。
高学年 ○コンピュータを使って,目的にあった学習ができる。
・目的に応じたソフトを選ぶことができる。
・キーボードを使って文章を入力することができる。
・表計算ソフトを使って,表やグラフを作ることができる。
・スキャナやデジタルカメラから取り込んだ画像を開いて,編集することができる。


 ただしこれをまともに実施するためには全校体制での取り組み,つまりすべての先生方がそれなりの知識・技能を身につける必要があるわけで,未だ多くの先生方が初心者レベルの域を脱していない現状では,先生方にとって大変な重荷になることが予想されるため,今までは見送っていたのでした。

 しかしながら,6年間を見据えて効果的な指導を進めていくことを考えると,早かれ遅かれいずれは全校体制で進めていかなければならないわけですから,突然始めるよりは,あらかじめ先生方に提示し,心の準備をしておいていただいた方が良いのかも知れません。

 それに考えてみれば,すでにコンピュータが導入されて丸2年が経過した今でも,いったい何をやればよいかさっぱり分からない先生方も存在するわけで,そういう方々にとっての一つの指針として,この一覧表が役立てていただけるように思います。


 そういう意味では,必要性を感じながらも今まで放置してきたのは間違いだったのかも知れません。



 それにしても,子どもたちに修得させたいのはごく基本的な操作ばかりなのに,先生方の力量が心配で,心の準備が必要というのは,考えてみると少々情けない話です。

 ぬるま湯体質ですね。やっぱり。



 明日こそ晴れるかな。

 運動会があるつもりで毎日早起きをするのはしんどいです。







 書き直し(10月4日)

 朝からサッカー部の大会があり,引率&指導&応援にあたっていました。

 結果は残念ながら1回戦敗退です。弁当持参で出かけたのに,午前中で終わってしまいました。



 午後からは,先日すっぽかしてしまい,締め切りを10/5に伸ばしていただいた研究授業の指導案を仕上げました。3時間ほどで完成しました。ふぅ,これでひと安心です。



 夕方からは,先月末に某上司に提出した「コンピュータリテラシーの発達段階別一覧表」を書き直しました。”某一番偉い管理職”からクレームがついてしまったのです。

 コンピュータリテラシーの発達段階を低学年・中学年・高学年と区切った私の案では,「責任の所在が曖昧になり,指導が先送りされてしまう恐れがある」とのことです。そこで,発達段階を各学年ごとに分けて作り直すよう指示されました。

 先日ようやく合意点を見いだしたつもりだったのですが,それは錯覚でした。ガッカリです。

 やっぱり”某一番偉い管理職”は,「コンピュータリテラシーの一覧表」を,コンピュータの授業を増やすために先生方に課すノルマとして利用したいと考えているわけです。

 初心者ユーザーが多く,しかも研修時間が確保されていない現状では,ノルマを課すやり方は先生方にとって大変な重荷になるので,系統的な指導を進めていくための一つの目安として「コンピュータリテラシーの一覧表」を提案したいと考えている私とは大きな隔たりがあるのです。

 いくら強く訴えても,私の思いは某上司&某中間管理職レベルに留まってしまい,”某一番偉い管理職”には届かなかったようです。


 ですが,言いたいことを言い,それでも駄目だというなら,もはや拒否することはできません。

 一から書き直しました。

 ちっ。





 提案するのは私だから(10月5日)

 授業後に,3年生の先生方と研究授業の指導案の最終検討を行いました。修正箇所を直して印刷し,明日先生方に配布します。そして木曜日にオリエンテーション(参観者による事前協議)を行い,10/12の本番に臨みます。

 作り直した「コンピュータリテラシーの発達段階別一覧表」を某上司に提出しました。”某一番偉い管理職”は,これをコンピュータの授業を増やすために先生方に課すノルマにしようと考えているわけですが,先生方に提案するのは一覧表の製作者である”私”です。提案の際にノルマではなく目安(あるいは努力目標)であるとはっきり言ってしまおうと企んでいます。

 「言った者勝ち作戦」なのだ。<それで良いのか。

 ”某一番偉い管理職”は裏で根回ししながらコトを進めていくのは大変上手(問題発言?)ですが,表に出てしまった意見を真正面から叩きつぶすような手法はとらないと思うので,おそらくうまくいくはずです。


 本年度はそれで何とかなるとして,しかし来年度はノルマにせざるを得ない雰囲気です。ですからもう少し頑張って下さいね。>先生方





 提案するとき(10月10日)

 先日作り直しを命じられ,再提出した「コンピュータリテラシーの発達段階別一覧表」は,ようやく”某一番偉い管理職”の了承を得ることができ,近日中に先生方に提案する運びとなりました。

 これまで日誌に書いてきたように,”某一番偉い管理職”はこれをコンピュータの授業を増やすために先生方に課すノルマとして活用したいと考えているのです。

 それに対して私は,「初心者ユーザーが多く,しかも研修時間が確保されていない現状では,ノルマを課すやり方は望ましくない」と反発しているわけですが,最近になって某上司の方には,私の考えを理解していただけるようになったので,ノルマとしてではなく,系統的な指導を進めていくための一つの目安,あるいは努力目標というかたちで提案できそうな雰囲気になってきました。

 それでもいきなりこんなものを提案すると,先生方がビックリすること請け合いなのですが,私が強く要求していた,「ただ提案するだけでなく,一覧表の内容を理解(練習)していただくための研修会を設けて欲しい」との要望も,某上司の方の配慮により実現しそうな見通しになってきたので,わけの分からぬものを突然押しつけられて先生方が困惑してしまうような事態は回避できそうです。

 どうやら職員室が重苦しい雰囲気に包まれずに済みそうです。


 もちろん私はコンピュータの授業を増やしたい立場の人間なのですが,それはあくまで先生方の自主的な取り組みから行われるべきものであると確信しています。

 小学校における学習活動の多くは,五感を働かせ,実際に体を動かして取り組んだ方が良いことばかりです。将来コンピュータが一般家庭レベルにも普及してくるとなると,なおのことせめて学校教育では実体験や手作業による活動を重視すべきだと思うのです。

 ですからコンピュータを使うのは,それが実体験(あるいは手作業を)を上回る効果が期待できる場面に限定すべきであって,本来のねらいから外れて,手作業で行わせるべきところをコンピュータで行わせるのは教育上かえって逆効果になってしまいます。

 先生方がコンピュータを使うことのそうしたメリットとデメリットをよく理解していない現状において,ただ単にノルマを課すことによって授業の回数を増やそうなどとという発想はどうにも納得できないのでした。






 怖い,緊張する,気が重い(10月15日)

 今年は1学期当初からずっとコンピュータ室の利用状況が芳しくなく,これまで一度も口出しをしなかった”某一番偉い管理職”からも,授業の回数を増やすために先生方にノルマを課せと言われるほどなのですが,最近になって,利用するクラスが徐々に増えてきました。

 運動会と秋の遠足が終わって余裕が出てきたということもあるのでしょうが,先日実施した「研究授業」が,一部の先生方にはかなり刺激になった模様です。

 今までコンピュータのことなどすっかり忘れて楽しくやっていたのに,

 「あ,そういえば...」

 って,思い出してしまうきっかけを作ったようです。2年生の先生方など,研究授業が終わったその日のうちに急遽自主研修会を開いていたのでした。日頃,先生方にとって,コンピュータ室の存在がいかに影が薄いかを垣間見たような気がしました。

 ですが,2年生の先生方はまだ良いとして,コンピュータ室の存在を思い出したとしても,

 「コンピュータ室に入るのが怖い」「すごく緊張する」「考えただけで気が重くなる」

 未だこのようなことを言っている先生方もいるのです。


 このような状況を見ていると,コンピュータの授業が激減したのは,やはり校内研修会の回数が大幅に減らされたことが最大の原因ではないかと思ってしまいます。


 でもひょっとしたら,「コンピュータ室に入るのが怖い」方々には,むしろ荒療治(=ノルマを課す)の方が効くのかなあ。(苦笑)




 木・金と研修旅行に出かけていた間に(というかその前から)溜ってしまった仕事を片づけるため,午後から学校に出かけました。

 3日ほど学校を開けていたので,職員室の私の机上は書類でぐちゃぐちゃ。

 ハァ〜。整理する気力もないので見なかったことにしよう。


 それから,教室とコンピュータ室の見回り。(一応気になるので)

 教室は思ったよりきれい。あ,でも雑巾がいくつか転がっている。まあそれはいつものことですが。私のクラスの子どもたちって,仕事はわりと真面目にやるのだけど,片付けは苦手なんだよなあ。


 次にコンピュータ室。あれれ鍵が開きません。変だなあ。

 でもガチャガチャやっているうちに何とか開いたようなので鍵を引き抜こうとしたら,錠の部分ごとスッポリ抜けてしまいました。ハハハ。<笑い事じゃなーい!

 早速明日にでも直してもらわなくっちゃ。




 思惑通り(11月15日)

 雑務を少し済ませた後,明日の職員研修会の資料作りを行いました。研修内容は,”某一番偉い管理職先生”の指示によって作成した「コンピュータリテラシーの発達段階別一覧表」の提案&操作練習です。(「コンピュータリテラシーの発達段階別一覧表」:子どもたちに修得させるべき知識や技能を発達段階に応じて定め,それを一覧表にまとめたもの。)

 本年度に入ってコンピュータの授業の回数が激減した状況に業を煮やした”某一番偉い管理職先生”は,これをノルマとして先生方に課すことによって授業の回数を増やそうとしているのです。

 一覧表を作成するよう指示を受けたのは9月下旬だったのですが,先生方に一方的にノルマを強いるのではなく,上司の方もそれなりのフォロー(研修会を開くなど)をしてくれなきゃヤダ!と私がダダをこねたので,日程の調整がつかず一カ月半も遅れてしまったのでした。

 それでやっと明日提案する運びとなりました。

 すでに1年の3分の2が過ぎ,2学期も残すところあと一カ月。今の時期に提案してももはや”某一番偉い管理職先生”の思惑通りにコトを進めていくことは不可能です。

 私の思惑通り,明日の研修会は来年度以降に向けての勉強会という感じで進めていけそうです。

 よかった。




 それにしてもこの話題になると,ついつい管理職批判になってしまいます。決定的にヤバい文章は隠しているものの,表に出してる文章でもバレたらかなりまずいかも。




 提案&練習(11月16日)

 職員研修会が開かれました。内容は,昨日の日誌にも書いた通り,「発達段階別コンピュータリテラシー一覧表」の提案および練習です。


 研修会の冒頭,私は余計なことを言ってしまいました。

 「リテラシー一覧表」を作成し,当初の予定にはなかった研修会を突然開くことになったのは,今年に入ってコンピュータの授業が激減したことに業を煮やした”某一番偉い管理職先生”の意向を受けたものであることをポロッとしゃべってしまったのです。

 それでコンピュータ室の雰囲気がシーンと静まり返ってしまいました。

 しまったなあ。研修会を突然開くことになった理由を納得していただきたかっただけで,先生方にプレッシャーを与える気は全く無かったのに...。

 ”某一番偉い管理職先生”に言われたからやるのではなく,子どもたちの技量を効率よく伸ばしていくためにはぜひ必要だからやるのだということを私は強調したかったのですが,私の言い方がまずく,上から押しつけられているようなニュアンスになってしまいました。


 さて,研修会後半の練習会では,「リテラシー一覧表」に掲げた基本操作のうち,現時点で自分ができないことを練習しましょうと呼びかけたところ,先生方がそれぞれに異なったことをやり始めました。

 これまでのように一斉方式で全員が同じ練習をするのではなく,各々が自分がやるべきことを見つけて取り組めるようになったのは,考えてみればかなりの進歩です。





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