■概 要:
・スクーバダイバー向け。プランクトン食の魚類や、藻食性の魚類に比べて、魚食性の魚の捕食行動は観察しにくい。そこで自作のルアーを使ってアカエソ等の魚類の捕食行動を誘って観察する。
■テーマ:
・魚食性魚類の捕食行動は…だ。
■ゴール:
・魚類の捕食行動を直接観察して、自分なりの感想を持つ。
・魚類の捕食行動を直接観察して、食物連鎖を考えるきっかけとする
■オブジェクティブ(参加者はこのプログラムを通じて):
・その海に住む魚食性の魚をいくつか言える。
・魚食性の魚の捕食行動の様子を説明できる。
■組 立:
1.魚類の捕食行動についての話
参加者に魚食性魚類の捕食行動を観察することの動機付けを行う。
2.ルアーづくり
捕食行動を誘発するためのルアーを作成する。場合によってはペイントなどの仕上げの作業だけを参加者に行わせるか、省略もできる。
3.観察プラン作り
観察活動を行うときの役割分担や手順の相談。
4.観察
5.感想を言い合う(シェアリング)
発 展
1.新たな観察プラン作り
例えば…
・アカエソの射程距離はどのくらいか?
・ルアーにかいた目玉模様はどのような意味があるか?(目玉を意識して攻撃しているか?)など新たな興味に基づいて実験のプランを立てる。
■テクニカルインフォメーション
・ルアーの作り方
ルアー作りをどのくらいていねいにやるかで全体の所要時間が大きく異なる。
ルアーフィッシングに使えるようなルアーを作るにはコーティング剤(ウレタンフォームなどの名称で釣具屋で売っている。マニキュアのような物)の乾燥を繰り返すために数日かかるが、そこまでていねいにする必要はないと思う。対象をエソにしぼれば、かなり雑なものでも反応する。ワインのコルク栓に目玉を描いてヒモをつけたようなものでも十分に反応する。私は、比重の軽い紙粘土をつかってルアーを作り、コーティングをしているが、工作もしやすく、できばえにも満足している(実際にルアーフィッシングに使って魚が釣れる)。
ルアーは中性浮力が一番操作しやすい。市販ルアーで言えばサスペンドだが、サスペンドのルアーからフックを外すと軽くなって浮いてしまう(市販ルアーを使うならシンキングがいいと思う)。前述の軽い紙粘土でつくるときは鉛で重さとバランスを調整する。
市販のルアーを買って行う方法は手軽だが、面白味には欠ける気がする。雑なできばえでも、手作りの方が面白い。ていねいに作るなら、バルサでつくるルアー作りの方法を参考にするとよい(釣り雑誌などに出ている)。
・ルアーに反応する魚
アカエソ/オキエソ…きわめて反応がよく、ロケットのようにすっ飛んでくる。同じ個体が繰り返し反応し、しかも迫力がある。
カサゴ…目の前に来るとぱくりと食わえる感じ。あまり大きい個体だと飲み込まれる可能性がある。
ミノカサゴ…少しづつ寄ってきてぱくりと来る。面白い。
ヤガラ類…寄ってくる姿勢が面白い。食わせるにはルアーをうまく泳がせる必要がある。
・注意点(重要)
魚に害を与えないように、ルアーを飲み込ませない注意を十分にする必要がある。ラインは太くする。ルアーフィッシングで使うような細いラインは危険。使わないときは収納すること。見ていないところで食われると飲み込まれる危険性がある(実際に実験中に事故があった)。これらに十分注意しないと、プログラムそのものが成り立たず逆効果にもなる。
魚を食いつかせて喜ぶだけにならないような演出が必要だと思う。
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