SFセミナー2000合宿企画「ネットワークのSF者たち Returns」についての雑感

 (5/4の日記から続く)こちらはわざわざスケジュールを都合し、家族の協力を得て、それなりのものを期待して「SFセミナー」なる全国的有名イベントに参加しているのである。何と言っても一般参加者にとっては「公的」なイベントである。それなのに体育会系・頑迷・強引・大声・発言多量なスタッフのために貴重な合宿の深夜1時間半も無駄で不毛な時間を過ごさなければならなかったことが、返す返すも口惜しい。
 聞く耳を持たない人にあれこれ言うむなしさで、後味が非常に悪かった。SFセミナーは来年からの参加者を何人か失ったかも知れない。薄いSFもののほんの数人など失っても、ばりばりのSFファンである彼らはheとも思わないかも知れませんが。まあ少なくともわたしは、薄いか濃いか人様の定義とは関わりなく自分は間違いなくりっぱなSFファンであるという自覚はあるのですが認定されないですかそうですか。
 SFセミナーにわざわざ時間とお金を使って行くのは、普通は少なくともSFに対する興味や思い入れがあるからであろう。私に関する限りはSFが好きだからである。SFは私にとって外すことの出来ないジャンルで、本読みとしてのアイデンティティに欠かせないどころかほとんど真っ先に来るものだが、一方私の読書の守備範囲はそれのみではない。SFと言うジャンルは非常に重みはあるが、あれも、これも、そしてSFも、なのである。SFのみが好きなわけではないから、「君らはSFファンダムなんだ!」と一方的・限定的に規定されることに対しては反発を覚える。
 どこで誰と落ち合って、どうやって会場へ行って、どんな話を聞いて、なにをした、かにをしたということをずらずら書いて「レポートと称して」わざわざ自分のサイトに挙げる、ということを非難するスタッフもあったようであるが、自分の視点から見たセミナーの内容、出会った人、話題、この点に興味を覚えた、等について記録にとどめておこうということにどういう問題があるのと言うのであろうか。

 「個々のサイトがそれぞれファンダムだ」という意見を大声で言っていながら、その実「ネットワーカー」とひとくちにくくり、あたかもその全員が(またはその多くが)同じ意見であるかのように個体識別もせずに議論の対象とする、と言う姿勢には疑問を感じずにはいられなかった。要するにあの「特別エッセイ」や今回の企画の対象とする者は、森太郎さん、u-kiさん、MZTさん、安田ママさんら数名の、「めぼしいネットワーカー」に限られていた、と言うことだろうか(*注1)。それなら一層不特定多数を対象としたであろうこのような企画が実行されたと言うこと自体、疑問である。
 事前に口裏を合わせるとか意見調整を行うとか言うことはなかったのにも関わらず、私たちの個々の反応が期せずして重なる部分が多かったと言うことに、私自身はやや驚きすら抱いたというくらいである。

 ついに小浜氏から明快な説明を得られなかった謎の用語ファンダムとは、たぶん「SFファン活動をしている一つのユニット」を指すのだろう。ファンダムは、これまでは複数の構成員によって構成されていたと考えられる。小浜氏はわれわれのWebページを指してそれぞれがファンダムだ、とおっしゃる。Webページは個人が主宰しているものではあるが、その主宰者が意識していようといまいと、それぞれのページが背後に隠れた賛同者(少なくとも影響を受けた者)を抱えていると思われる(=複数の構成員を持っている)、と言う点において、彼はそれぞれを新しいファンダムと定義付け(むしろ感じ取り)、多くの場合主宰者がこの点をあまり意識していないということそのものを脅威と見なしているのだろうか。だから「こわい」のだろうか?
 と考えたのだが、単に小浜氏は上記の数名のサイト主宰者とそのサイトのみを念頭に置いているにすぎなかったように今では思われる
(*注2)

 このように彼の糾弾の対象とされていない可能性大の私があれこれ考えることすら空しいとも思えるが、小浜徹也氏のSF−0nlineでのこの発言「特別エッセイ20年目のSFセミナー合宿」は、そもそも単なる個人が彼の個人的Webサイトで訳わかんない叫び声をあげたのとは訳が違うのである。発言する場所と論調、対象を間違えたという点において彼は大きなミスを犯したと言うことを正しく自覚すべきである。今になって「すべて計算違いだった〜」と繰り返すだけですませようというのはムシが良すぎる。

 小浜氏はイヤだとかきらいだとかおっしゃらず、ご自身でネットの世界へ飛び込んで体験されたらよい。そのあとでしかるべき場所と論調でしかるべき対象に対してものを言われるべきである。

 

*注1、*注2(5/21記)断定を避けるため当初このような書き方をしたが、かえって誤解を招く可能性があるので,この2カ所の文意を下記のように訂正してお読みください。

>それは、最終的に小浜氏の脳裏にあった発言の対象者は、u-kiさん、森太郎さんあたりであって、他人の言葉をお借りするが青木さん有里さんのおっしゃるようなところが彼の本意だったと私も理解しているからである。