「今度の貴方のお誕生日は予定空けておいてね」
と敦子が言うので、そのとおりにして待っていると、前日に
「じゃあ、明日午後5時にうちに来てくれる?お祝いしよう?」
と連絡があった。ちょうどその日は土曜日だし、好都合だ。飲み物は買ってきてね、ということだったのでワインを1本を買って敦子の家のインターホンを押す。新興住宅地のこのあたりは大きな家が多い。家庭の事情で今はこの大きな家に敦子は一人で住んでいる。ドアの鍵が開き、
「時間通りね。上がって?」
と家に招き入れられる。付き合って長くなったが、敦子の家に上がるのはそう多くない。ふかふかのスリッパをはき、リビングに入ると、テーブルに向かい合わ
せて敦子の手料理とグラスが2つ置いてある。向かい合って座り、乾杯をし晩餐をする。意外と、というと敦子に失礼だが思った以上に料理が上手いんだな、と
感心する。世間話をしたりTVを見たりして2時間ぐらいが経った頃、洗い物をすました敦子が
「じゃあ、特別なお祝いがしたいからこっちに来て」
と俺を別の部屋にいざなう。部屋に入って驚いた。


「ふふふ、私のイメージカラーはブルーって言ってたけど、貴方はどうかなと思って考えてたら、地味いーにグリーンかなと思って?」
「・・・」
「それもあるし、グリーンって一番大きく膨らむ色だったから、がんばってやってみました。ブロアー使ったけど、結構大変だったわ。師匠、いかがでしょうか?こういう、同じものがたくさん並んでいるの、何ていうんだっけ、ナントカフォビア?みたいな」
「それも言うならトライポフォビアな」
「さっすがあー!雑学王!」
「でも、どうすんだよ」
「年に一度のバースデーじゃない!楽しくやりましょうよ!」
悪戯っぽく笑う敦子を抱きしめようとすると、
「ちょ、ちょっと待って!まだ準備中なんだから!一緒に手伝って?」
そういうと、敦子は網のようなものを持ってきた。
「風船が逃げないように防鳥ネットを張るから、向う側持って。はい、出来上がり。」
ベッドをぐるりと取り囲む結界のようなものが出来上がった。
「じゃあ、あのサークルの風船を運んできてここに積み上げるから、手伝って。まだ割っちゃだめよ?」
部屋の間を二人で風船のリレーをして
「まだ天井までは積み上がらないかしら?もうすこし運んで詰め込まないといけないわね。」

「ふう、なんとか天井までいっぱい詰みあがったみたいね。じゃあ私、あなたが大好きないつものやつに着替えてくるから、あなたもこれに着替えていて?」
父親のものだろうか、古風なボックス型の紺の海パンだ。
「元カレが忘れていったの。ふふ、うそうそ、お兄ちゃんのお古でごめんなさい。」

ブルーの競泳水着に着替えて戻ってきた敦子は、腕を組み、積み上げた風船の山を下から上までじっくりと見て言う。
「風船、全部でいくつぐらいあるのかしら?60個ぐらい?」
「それぐらいかな」
「ねえ、たっくさんのおっきな風船、これから二人で割るんだよね?」
「そうだな」
「全部割っちゃうんだよね?」
「そうなるな」
「みんな犯され、処刑されちゃうんだよね?」
過激な言い方にドキリとする。
「きれいに膨らんだ風船、わたしたちにひとつ残らず割られたり潰されたりして、せーんぶバラバラのゴムの破片にされちゃうんだよね?そう考えたら、今からゾクゾクしてきちゃった」
すでに少し興奮しているのか、競泳水着の薄い生地に乳首が勃っている。
「割っちゃう前の写真、撮っておくね。私が入っている写真あなたが撮って?」
競泳水着を着て、風船を一つ手に持ち、風船の山の前でピースサインをしている敦子の写真を撮っておく。
「さて、お待たせしました。これが私からあなたへのお誕生日の特別なプレゼントよ。じゃあ、中に入ってみる?父がオーディオが趣味で、この家は防音はちゃんとしてあるから心配いらないわ。」
風船の中に二人で潜り込む。ベッドに二人並んで横になり、下から見上げると、天井まで周りの目に見えるものが全て色彩、透き通る風船の向こうにまた風船が見え、お互い反射し、映り込み、万華鏡のようにもなっている。まるで宝石色の風船の海の底にいるようだ。

隣の敦子の手を握ると、強く握り返してくる。
「なんか、きれいだね」
「そうね。割っちゃうの、かわいそうになっちゃった?」
「逆。もっと割りたくなる」
「そうこなくっちゃ!」
「君はどう?」
「中に入ったら、腕にも胸にもおなかにも両脚にも風船が触れていて、頭のてっぺんからつま先まで風船に囲まれて。わたし、これからいっぱい風船割るんだって思うと、ドキドキしてきちゃった。」
互いの健闘を誓いキスをする。
「そろそろ始めよっか?最初は個人戦ね。とりあえずいっぱい割っちゃお?じゃ、風船割り、戦闘開始!」
敦子はそう言やいなや身を起こし、まず目の前のバイオレットの風船を手に取り、
「まず一つ目ね」
と言いながらベッドに押し付け、その上から覆いかぶさり、圧をかけてから風船の腹に爪を喰い込ませ、ボン!と割る。紫のゴム片が飛び散る。
狭い空間に風船が密集しているので、体の全部に風船があたり、まとわりつき、よけてもよけてもくっついてくる。俺たちの動きにつられて風船が大きく左右に動く。
敦子は今度はベッドにあおむけに寝るとバーガンディの風船を手に取り、
「つぎ二つ目ね」
そう言って愛しそうに風船にハグをしてキスし、頬ずりしている。
「ねえ、あなたに教えてもらった、このUniqueの16インチの風船って、きれいな形だし、大きく膨らんでもふわふわ柔らかいし、割ってもそんなに痛くないし、大好きになっちゃった。クリスタル色の風船、向うが透き通って見えて、とってもえっち。」
そして胸に抱きしめながら、
「きれいなワイン色の風船、大好き。でも、割っちゃうの」
ハグしている両方の手に力を入れて、競泳水着の豊かな胸のふくらみに風船を押し当て、押しつぶしてから爪を喰い込ませる。水滴型のきれいな風船が醜く歪みギュウウと悲鳴をあげる。敦子はさらに力をこめ、ボン!と無残な破片にしてしまう。
敦子はベッドから身を起そうとするが、
「もう!風船の方から私に割ってほしいって寄ってくるんだから!くっついてこないで!」
そう言うと周りの風船を払いのけ、今度は立膝の格好でレッドの風船を抱きしめ、水着の胸に押し当て、何度も両腕に力を入れるが風船はひしゃげるばかりでなかなか割れない。
レッドの風船に敦子が手こずっていた時、立膝している尻に偶然グリーンの風船が触れたのに気が付くと、後ろを振り返り、
「ちょうど良かった。これが三つ目ね」
グリーンに透き通る風船に狙いを定めてから、レッドの風船を抱いたまま思い切りその上に腰を落とす。柔らか目のグリーンの風船は敦子の全体重をかけられてはひとたまりもなく、ボン!と粉々に割られてしまう。
「グリーンは易しいけど、レッドの風船ってなかなか割れないよね。あなたは針で割るのは好きじゃない、っていうけど私もそうよ。針で刺したら簡単に割れちゃうもの。カラダを使っていろんなことをして、きれいな風船、いっぱいいじめてから割るの」
そう言って立ち上がると、レッドの風船をベッドに置き、その上に座り、引き締まった形の良い尻で数度バウンドする。そのたびにネックが伸び、ギュイギュイという軋んだ音がする。力を込めて体を落とし、ボン!と最後はあっけなく割ってしまう。
気が付くと、BGMでうっすらレゲエが流れている
「気が付いた?わたし、風船割りする時なにかいいBGMないかなって探してて、レゲエにしたの。心臓のリズムみたいだし、風船をバウンドするリズムにも似合うかなと思って。運動会のBGMではおかしいでしょ?でも、風船の割れる音も軋む音やゴムの擦れる音も聞きたいから、小さく流しているの」
そう言いながら水着の尻についたゴム片をつまんで放り投げ、次はグリーン、次はオレンジ、次はイエローの風船にまたがり、リズミカルにバウンドして割っていく。色とりどりの破片があたりに飛び散り、敦子の長い髪にゴム片がからみつく。
「ねえ、わたし、風船割ったことなかったの。でも、あなたに教わって、大きくてきれいでふわふわのユニーク風船をいくつもいくつも割るうちに、それが快感になっちゃった。風船を割っちゃう瞬間、ドーパミンがいっぱい出てエクスタシーを感じちゃう。癖になっちゃったかも。」
そう言うと、敦子はうっとりした表情で風船に爪を立てたり、抱きしめたり、尻に敷いたり、上にのしかかったりして、手当たり次第に風船を割り、ゴムの破片に変えてゆく。
「もういくつ割ったかわかんなくなっちゃった。」俺の方を向いて言う。
「あなたにとって風船割るのって、風船を誰かに見立てて犯しちゃう感じなんでしょ?私の知らないうちに何回あなたに犯されたのかしら?」
クリスタルブルーの風船を手に取り、
「わたしは、こうやって風船いっぱい割ってくのって」
風船を胸にハグし、爪を立て、
「風船をひとつひとつ処刑していく感じなの。」
そう言うやいなや、両手に力を込め、ボン!と抱き割り、粉々の破片にしてしまう。
周りの風船を手でよけ、
「ねえ、ちょっとこれ見て?」
と言う。シーツの上には、敦子に処刑されたさまざまな色の風船の残骸が散らばっている。

「生き残ってる風船に、あなたたちも順番に処刑され、こうなるのよ、と見せつけてやるの。まだきれいに膨らんでいる風船に、折重なった仲間の残骸が映ってるけど、この風船も、すぐ同じように私に割られてゴムの破片になっちゃうの。ゾクゾクしちゃう。」
冷酷な笑みを浮かべる敦子。
ベッドに横たわると、さっきまで仲間のゴム片を映していたグリーンの風船を手に取り、添い寝し、愛おしそうにキスをして見つめたあと、
「あなたは今日、私に処刑される運命だったの」
と言い、風船の上にのしかかり、体重をかけ体で押しつぶしながら、両手の爪を立てる。ゴムの表面をゆっくり沿わせたあと、水泳で鍛えた両腕に力を込めてボン!割った時に指に絡みついたグリーンのゴム片を
「悪く思わないでね?」
そう言ってベッドに投げ捨てる。
二人でどんどん割っていくうちに、風船の数が減ったためか、周りにスペースができたような気がする。
積み上げた半分以上の風船を割ってしまったところで、
「戦闘中止!ちょっとここで休憩ね。写真も撮っとかないと。私の写真も撮ってね?」
敦子と俺によって無残な姿にされた風船たちの、様々な色のねじれ引き裂かれたゴム片の上に横たわり、まだ残っている多くの風船に囲まれている敦子の姿を撮っておく。
「じゃあ、ここからは二人で遊ぼう?まだいっぱい残ってる風船、そうして全部割っちゃうのよ。そうだ、私いい作戦思いついたの」
敦子はそういうと、釣りのテグスを取り出し、
「このテグスに風船を結びつけて、逃げていかないようにするの。テグスに輪を作って、吹き口のところを縛ってゆくのよ。」
二人で10個ほどの風船をテグスに括り付けたものを作る。

お互い結び付けられ、自由を失った風船を敦子は競泳水着の腰に巻き、
「できたわ。これであちこちに飛んで行ったりしない。あなたたちはもう、私から逃げられないのよ。」
体に結び付けたユニーク風船を、掌でぽんぽん叩く。
「ねえ、私の風船割ってみて?」
といたずらっぽく笑う。俺はものすごくそそられ、敦子に襲いかかる。
「違う違う、あなたは私じゃなくって、私の体にくっついている風船を割るのよ!わたしは風船を守る。」
敦子はベッドの上を逃げ回るうちに
「あっ」
と叫ぶとベッドに倒れ込む。敦子の体に拘束された風船の一つが俺の目の前に来たので、それを簡単に抱き割ると、水着の敦子の引き締まった尻の上に風船があったので、後ろから襲って腰を押し付けバウンドし割ってしまう。
横向けになった敦子の腹に水着と同じブルーの風船があったので、添い寝し、ぴったり張り付く競泳水着に包まれた弾力のある尻に手を回し、力強く数回抱きしめて割ってしまう。
「はぁっ」
敦子の口から、言葉にならない息が漏れる。
「ちょっとタイム!これじゃあまりにハンディがあるわ。試合として成立していないし!うーん、ルール変更!」
敦子は俺に立て膝で向かい合うように言い、
「いい?いち、にい、さんで抱き合って割ることにして、でも、私はフェイントをかけるから、失敗したらあなたの負けね。いい?いち、にい、さん!」
敦子がフェイントをかけようがお構いなしに、俺はボン、ボン、とつぎつぎに敦子に拘束された残りの風船を割っていく。敦子はなすすべもない。
ところどころ汗で濡れた競泳水着にゴム片がはりつき、腰のテグスには割られた残骸となった吹き口やさまざまな色のゴム片と、きれいな水滴型だった風船がひしゃげて形が変わってしまったものが、まだ背中の方に一つぶら下がっている。
敦子はそれを手で探って見つけ、容赦なく爪で割ってしまうと、テグスを解いてベッドに投げ捨て、

「ふう、これで全部割ったよね?私、まるで敗残兵ね。ちょっとハンデありすぎじゃない?でも楽しかった。」
そう言うと、ベッドに仰向けに寝転んですこし休憩したあと、俺を見て、
「じゃあ、今度はあなたの体に結びつける風船作るわね。残ってる風船もそう多くなさそうだし、できるだけ結び付けちゃって?」
ベッドルームを見回すと、あれだけたくさんあった風船が、もう数えるほどに減ってしまっている。
「じゃあ、攻守交替ね。今度は私が攻める側よ」
俺が風船を付けると、俺に襲い掛かってくる。
「おれが風船つけてる間は、爪割り禁止な」
「どうしてよ?」
敦子は一つ掴み割ったようだが、
「違うな。やっぱり、俺が敦子を割る」
というと、腰に風船をぶら下げたまま、敦子をベッドに組み敷き、抵抗する敦子の腕をつかみを腿を腿で、腹を腹で押さえつけ、ブルー競泳水着に手をかけ、荒々しく脱がそうとする。
敦子は俺を下から睨み、
「待って!今日はだめなの!私が招待したのだから、私の言うことを聞いて!」
あまりの権幕に俺が押さえつけている力を抜くと敦子は起き上がり、
「もう!二人で協力して風船割るんだって言ったじゃない!ちょっと来て!」
髪と競泳水着のあちこちにゴム片を付けたまま、俺の手を引いてバスルームに連れて行く。
天井まで積みあがるほどたくさんあった大きくきれいな風船が、もう数個の風船しか残っていない。廊下の途中にも風船が一つ二つ転がっていたが、敦子は無視する。
バスルームにはクオラ24インチのサファイアブルーの風船が一つ大きく膨らませて置いてある。
敦子は俺の体からテグスでぶら下がたままの風船を持ち上げ、
「ねえ、この残った風船、二人でハグして割らない?」
二人の間にネックを上向けにはさみ、敦子の引き締まった腰と尻に手を回し、抱き寄せる。抱き寄せるたびにネックがぐんぐん飛び出し、それを繰り返すうちにボン!と割れてしまう。
お互いの胸と胸、腹と腹、腰と腰にはさみ同じようにいくつもいくつも抱き割る。ゴム片がまわりに飛び散り、バスルームの側面のタイルや浴槽の中にも張り付いている。
俺の体に付けた最後の16インチを二人で抱き割った後、そのまま敦子をも割ってしまう強さで抱きしめたまま
「割る」
と更に腕に力を込める
「苦しいわ。ねえ、いいことしてあげようか?」
と敦子は俺から体を離し、
「本当はユニーク風船二人で全部割ったご褒美にしてあげようと思ったんだけど」
と不満げに言いながら24インチ風船の結び目をほどき、
「この吹き口にあなたのものを入れて中で出しちゃうとすごく気持ちいいらしいよ?やってみる?」
というと、しゃがんで俺の海パンを降ろそうとする。
「ちょっと待てよ!」
「私はいつもあなたの言う通りにしてるじゃない?今日は私の言うこと聞いてよ!」

「こんどはちゃんと割るからな」
「ふふ、そして私の水着の上にいっぱい出しちゃうんでしょ?」
「・・・」
「たぶんだけど、あなたがお家でひとりでする時、ベッドの上で風船いっぱい割ったあと、おっきいブルーの風船バスルームに連れて行って、最後はその上に射精しちゃうんでしょう?」

衣服を整えて二人で敦子のベッドルームに戻ると、シーツは乱れ、ピローは飛び、おびただしい数のゴム片がベッドに散らばり、壁にも張り付いている。あんなにたくさんあった、大きくてきれいな風船が、敦子と俺によって、割られ潰され、犯され処刑され、ベッドルーム当たり一面に散らばる、さまざまな色の引き裂かれ捻じ曲げられた無残なゴム片とされてしまった。まだ風船が隅に数個転がっているが、色あせて見える。
「戦勝記念に写真、とっとくね。私は…もう着替えちゃったから、いい」
あれだけたくさんの風船が敦子と俺に割られ、数え切れないほど多くの様々な色と形のゴム片となって散らばるベッドのまん中に横たわる競泳水着姿の敦子の写真を撮っておきたかったと思う。
「どうする?泊ってくの?」
「いいや、今日は帰るよ」
勇んで出てきた結果、敦子の返り討ちにあい今日はひどく疲れた。結局、敦子をイかしたけれど、シてないじゃん。ま、割ったことは間違いないか。
「そう、わかったわ。大奮戦の後始末はちゃんとしておくから大丈夫よ。今日は家まで来てくれてありがとう。楽しかったわ」
敦子の家を出た次の曲がり角まで送ってくれ、軽くハグしてキスし、
「あの生き残った風船、処刑されちゃうのかな?」
「さあどうかしら?あの子たちの始末は私に任せて?」
敦子は見えなくなるまで手を振って見送ってくれた。